だから、もー………

 いい加減に分かってほしいんだけど……無理?



じじょう



 「一条さん」

 「どうした?」

 がしっと両手をつかんで正面から見つめて、名前を呼ぶ。

 それでもこの人は何でもないように平然としてこちらを見返してくる。

 「………えーと」

 「……おかしなやつだな、君は」

 苦笑する。

 あああ、その笑顔も嫌いじゃないんですけど否むしろ好きですが。

 今見たいものとはまた別で……

 「……何でもないんだったら、手、放してくれないか?」

 「や、ちょっと待って下さいよ!」

 慌てて両の手に力を込める。

 目を真っすぐ見てはっきり迷い無くしっかりと。

 「………好きです」

 「ああ、俺も好きだ」

 ふ、と笑って同じことばが返ってくる。

 ……だからどうして。

 「……じゃなくて……」

 「?何が違うんだ五代??」

 そう簡単に、好き、って言うんですか。

 「……ことばの大安売りはやめて下さいよ」

 たまに言ってくれるけど、どうもこの人はいつも笑みに紛らわしてしまう。

 もちろんそれはそれは最高の笑顔何だけど……ちょっと、何だか。

 「……同じことばを君に返そうか?」

 「俺はいつだって真剣直球勝負です!」

 「………分かるが」

 ちょっと困ったようにまだ俺が掴んでいる手を見下ろす。

 「だからこー……一条さんもこう、真剣に!」

 「アイシテイルとか?」

 平坦な発音。

 「あああ片言で言わないでくださいよぅ」

 「……せっかく言ったのに」

 言わなきゃ良かったか?と首を傾げる。

 …まあその仕草も大好きなんですけどそれも置いといて。

 「教科書読むみたいに読んでもダメです」

 「これでも朗読はいつも誉められていたんだが」

 「感情込めて?」

 「ああ」

 訝しげに聞くとはっきりと首肯かれる。

 「…………だったらこうもっと………」

 どーにかなりませんか?と半分あきらめながら呟く。

 すると捕まえたままの手ごと軽く引かれた。

 「………五代」

 「?」

 「……好きだ」

 目を真っすぐ見てはっきり迷い無くしっかりと。

 「…………」

 そう、これ、これが見たかった……

 「これで、いいのか?」

 「あああああああ、一秒も保たないんですかっ」

 「………出来ないことはないが」

 「…が?」

 「………顔、鏡見てくるか?」

 「へ?」

 言われて一条さんの手を放して自分の頬を触る。

 「……あは、は」

 「……言わないほうが、いいだろう?」

 ふ、と笑う。

 ……駄目だって、決定打打っちゃ。

 「………ですね、これは」





 きっとこれじゃ、耳まで真っ赤。





オハリ。





ちょっとそこまで逝ってきます……
………少し塩辛いものを書いていて、
ああ何だが甘いものが欲しいな………と思った結果の産物。
………病気になりそうな甘さですね、これは。
五代くんが頑張る予定だったのに……
あ、ちなみに予定は未定ってことばすごく好きです(死)
…………本当に何なんでしょうねえ、この甘さは(泣笑)
でもわのが赤面書くのって珍しいんですよ、実は。
大抵は熟年夫婦になっちゃいますから……でもあくまで大抵;





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