「………困ったなぁ………」
そう呟いて雄介は深く深くため息をついた。
ぐうぐう
始まりはいつも通りのことからだった。
……もはやいつも通りとしか言いようのないことはそれなりに一条の頭を悩ませているらしいのだが
それはまあ置いておくとして。
とにかくいつものように雄介が一条の部屋に遊びに来て。
いつものように雄介が夕食を作って。
……いつものように二人身を寄せ合ってベッドに入った訳なのだが。
「………困った」
更に呟いて目の前を見る。
そこでは一人で上掛けを占領した一条が幸せそうに眠りこんでいた。
それを抱き込むようにしてしまっているので、軽く引っ張ったぐらいでは取れそうにない。
かといって無理遣りに引っ張ると起こしてしまいそうで……
「………一条さん…?」
軽く呼んでみるが起きる訳もない。
また雄介はため息をついた。
今日は何もしないで二人眠っただけだったのだが。
ふ、と雄介が寒さで目を覚ましたらこの状態だった。
いい加減秋めいてきた今日この頃。
夜は冷える。
「……………困った…………」
素直に叩き起こせばいいのだろうが、こんなに幸せそうに眠られるとどうにも心苦しい。
かといってこのまま眠るには実に冷え込んできた。
「…………仕方ないですよね、うん」
一人納得したように首肯いて。
雄介は一条に口付けた。
同じ起こすなら楽しい方がいいに決まっている。
軽く隙間を空けて、呼吸の妨げにならない程度に触れ続ける。
ときおり軽く音立ててみたり。
「…ん……」
すると少し一条の眉が動いた。
起きたかな?と雄介が思い動きを止めると、すぐに表情がゆるんでまた規則正しい寝息が聞こえてくる。
「………どうしよう」
当惑したように雄介。
「………楽しいや、うん」
くす、と笑みをこぼして、今度は器用に服の前を開けさせはじめた。
横向きに寝ているのを起こさないように静かに寝返らせる。
それでも反応がないのをいいことに雄介は綺麗に浮き出た鎖骨に舌を這わせた。
軽く吸い上げるとほのかに色付いて、ふと顔を見ると無意識にか眉を寄せている。
その寄せられた眉根に口付けるとすぐにそれは緩んだ。
どこか安堵したようなその表情。
「……………」
一条には悪いが、しかし。
「…………すっごい嬉しい…………」
ふうう、とため息をついて、雄介は当初の目的を忘れて一条に触れ続けた。
「…………」
数分後。
目が覚めた一条は無言で額に青筋をたてていた。
「……あの、その……」
「……どうして素直に起こさないんだ……?」
蛇に睨まれた蛙のように縮こまった雄介が、しどろもどろに口を開く。
「だって寝てても反応があったんで……つい」
「………つい、で………」
「大丈夫ですよ、服に隠れるところにしか付けてませんから」
「……ほう」
一条は起き上がって洗面台の方へと向かおうとした。
「ちょ、待ってくださいよ!」
焦った雄介は急いでそれを阻む。
「……なんっで、邪魔するんだ!」
「いや、本っ当に大丈夫ですって!マジ!!」
「………ますます怪しいぞその態度!!」
その後雄介は、鏡を見た一条によってこころゆくまで叩かれることになる。
fin.
1000カウンタゲッターのあかね様に捧ぐ小説第二段。
これも51…ですよね?
すみませんこんなのばっかりでm(_ _)m
わんこ五代くんイメージ……
しかしいつもうちの五代くんは困ってますね……
やけに一条さん暴力的だし(汗)
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