start


 「寝るぞ、楊ゼン」



そのことばが僕にとって夜の始まり。



寝台に腰掛けて、ぎゅっと彼を抱き締める。 
肩に顎をのせて、くすりと笑うと、彼はくすぐったそうに身をすくめてこう言うんだ。 
「こら……くすぐったいぞ」 
同じように彼も僕の肩に顎をのせているから、そのことばが僕の耳元でささやかれることになる。 
僕も、くすぐったくて軽く身をすくめると、彼はまた笑う。 
だから、くすぐったいんですってば。 
そっと首筋に顔を寄せてちょっとくぼんでいるところに口付ける。 
「楊ゼン」 
そのまま首を辿って、彼の耳に。 
「ちょ……息は反則であろう?」 
こういうことに反則はつきものでしょう。 
「だあっ!耳元でしゃべるな!!」 
思い切り身体を離される。 
ちょっと離れたところで息を整えている彼。 
耳をかきむしってさっきの感覚を追い出そうとしているのだろうけど………。 
それじゃ、無理ですよ。 
「わかっておるわい」 
べえっと舌を出して悪態をつく。 
どうしてあなたはこんなに色気がないかな。 
「あって欲しいか?」 
いいえ、そんなものなくても十分魅力的ですよ。 
「それはよかった」 
ああもう。 
そんなに惹かれる笑みを浮かべないで下さい。 
「ちょ……」 
いきなり肩を掴んで抱き留めて、文句を言おうとした唇を僕のでふさぐ。 
「ん……」 
ちょっと驚いたみたいだけど、彼はすぐに黙って受け入れてくれた。 
本当、魅力的なんだから。



このあとは、その日の気分次第。 
僕がしたいと言えば大抵は受け入れてくれるし、彼がしたくないときは素直に言ってくる。 
僕だって、無理にするつもりなんてないから。 
彼の疲れ具合とかを見て、それを判断する。 
たまに彼からしたいというときもあるけど、それもやっぱりその日の体調次第。 
明日早いのにしたいとか言い出すときは、何とか言い包めて一緒に眠る。 
無理、しすぎる人だからね。



「ふ…あ」 
師叔? 
「むぅ」 
ああ、どうやら今日はしてもいいらしい。 
良かった。



口付けを深くして寝台に押し倒す。 
朝はまだまだ。






fin.





………えーと………
久々に、同人誌からの再録以外のお話です。
書いたのは例によって一年以上前なのですが(汗)
フロッピーの中で眠らすのには忍びなく、
かといって本に出す勇気も無かったので…こっそりと畑に植え付けてみたり。
私の書くお二人はまあ、大体こんなテンポでこういうことするみたいです……

は、今読み返すとこれって甘々か?





novels top

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル