エド子誘拐
>172氏
強烈な一撃をお腹に入れると、自分に向かって倒れ掛かってくる。
「あれ……?」
「どうしたの、エンヴィー?」
「鋼ののおチビさんって……」
女?
そんな事、考えた事も無かった。
あれだけの多人数で監視していたはずなのに、どうして気づかなかったのだろうか。
「なあおばさん、あとでちゃんと返すからおチビさん、連れて行っても良い?」
「あんた、なに考えているのよ」
「ナニって良い事」
流石に、このまま連れ去ってしまう訳にもいかなくて、一度外に出る。
そして彼、否彼女の弟の前へと姿を見せた。
「ちょっと、お姉さん借りて行くね」
「なっ、知って……」
借りて行くという言葉より、『姉』という言葉に反応していた。
アルの近くに居たロスが銃を構えようとした時には、すでにエンヴィーの姿はなかった。
「何、鋼のが誘拐された!?」
「ええ、なんでもアルフォンス君たちの目の前でとの事です。どうされます?」
「どうするって……」
今すぐにでも助けに行きたい。
だけど、大佐という地位がそれを許さない。
エド子が誘拐されたという事が中央から東方に伝わってきたのは、事件から1日も経たない内だった。