錬成失敗アル子
>710氏

「そういう訳だから、よろしく」
「はあ」
日頃から冷静沈着晴れの日は有能と言われ部下からの信頼も厚いロイ・マスタング、しかしながらこの時ばかりは間抜けな返事をしてしまった。
母親の人体錬成に失敗してから賢者の石を探す旅を続けてきたエルリック兄弟が、ついに石を手に入れ元の体に戻る事ができた、というのは少し前の事だ。
「…君の説明では結局どういう訳なのかわからなかったのだが」
「ほんっとに無能だねあんた」
兄のほうは手足片方づつだったため支障など全くと言っていいほど無かったが、もう一人の、弟のほうは全身(しかも感覚さえも全て)であるので、様子見のためにと二人で兄弟の故郷リゼンブールでの療養を申し出た。
もちろん報告書はまだ出されていない。
今日はその遅れた報告書を出すために軍へと赴いてきたらしいのだが、どうも話題がずれてきている。
「ボクから説明します」
申し出たのは弟のアルフォンスだった。
ロイの知っているアルフォンス、とは鎧の姿だけだったので、今目の前にいる小さな子供がアルフォンスだと言われてもとてつもない違和感がある。
きっとロイの部下達も皆そう思うだろう。
「まあちょっとした失敗ってやつで」
「失敗じゃない!」
「明らかな失敗だよ、じゃなきゃ兄さんの頭の中が間違ってるんだ」
始まった兄弟漫才を、事態をよく飲み込めずにいたロイはぼけっと見ていた。
しばらくしてその漫才はアルがエドに鉄拳を加えることで強制的に幕を下ろした。
「で、君達のいう失敗というのは、やはり、その」
「ええ、たぶん、大佐の言いたい事の通り…です」
ロイは兄弟二人の顔を交互に見たあと、エドを見てため息をついた。
「ひとの顔見てため息つくなよ、失礼だろ」
「失礼もへったくれもないさ鋼の」
そう言ってもう一度ため息をつく。
アルはといえば、心中お察しします、という風に苦笑いを浮かべていた。
ロイはアルの身体を見て、錬金術でなにかを作り出す時には術師のイメージが重要になってくるものだから
弟のいう通り兄の頭の中がどこか間違っているのかもしれない、と思い再三ため息をついた。
「オレの弟じろじろ見んな、ため息もつくな!」
「…弟、ねえ」
「なんだよそれ、アルはオレの弟だ」
その当の弟のほうをちらと見ると、目が合いそして彼は困ったように笑った。
うちの兄がご迷惑をかけて、と言う。
すると隣の兄が弟をがなり立てついでにロイにも八つ当たりをする。
アルフォンス・エルリックと名乗った見慣れない少女は、確かに鋼の錬金術師エドワード・エルリックの「弟」だったのだ。









PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル