〜いつか見上げた空は今〜
110氏

軍事国家である中央国「セントラル」。その国の正当な王位継承者であるエドワード・エルリック姫は、亡き両親の後、 自らの意思で女王陛下に即位した。女性が即位するなど、セントラル国の歴史上始めてのことだった。
本当はエド女王ではなく、彼女の弟のアルフォンス王子が国王として即位するはずだったが、 彼の要望と、エドの意思で彼女が国の陛下に即位したのだった。
もちろんそれには、誰もが賛成しエド女王陛下に信頼を厚くしていった。その中で一番信頼が厚いのは、 ロイ・マスタング隊長率いる国の軍隊達だった。

「エド女王陛下!いけません!そのようなお格好で!!」
「大丈夫、大丈夫。ちょっとだけだから。」
ある昼下がり。セントラル城の中庭にメイド数人が慌てていた。
それもそのはず。国の女王様がドレスのまま高い木の上に登っている最中なのだから。
いつ落ちるかわからない状況。メイド達は、早く降りるようにエド女王に何回も呼びかけていた。
だが、エドはというと巣から落ちた鳥の子供を大事そうに抱えて木をぐんぐんと登っていく。
もはやメイドの声は聞こえていなかった。
「エド様あ〜!!危ないですよ!!」
「だ、誰か人を呼んできてください!!」
数人のメイドが城の中へと走っていく。そんな中、エドはやっと小鳥の子供の巣へと到着した。
「さあ、もう大丈夫だ。良かったな。」
ピーピー!とまるでお礼を言うようにエドに可愛い声で鳴く小鳥。
そんな小鳥を笑顔で見たエドだが、次の瞬間気が緩み、態勢を崩してしまった。
「あっ!!」
ずるっ!と体が中に浮き頭から勢い良く落ちていく。
「きゃあああっ!!」
もうダメだと目をつぶった時だった。
フッ!とまるでクッションに飛びこんだような感覚。香水の良い香り。
死ぬのが早いなと、一瞬思ったが大好きなあの声が聞こえてきた。
「大丈夫ですか?エド姫様?」
「ロ・・・・ロイぃ。」
自分を助けてくれたのは、軍の隊長。ロイ・マスタングだった。
そしてようやく彼の胸の中に居るとしったエドは、顔を赤面して自分の今までしていた、 姫らしくない行為を後悔した。
「姫様!あー!ご無事でしたんですね!」
「マスタング隊長、ありがとうございます。」
「いや、姫様が無事で良かったよ。」
ロイが微笑んで言う。そんな中、いつまでも彼の胸の中に居ることを恥ずかしく思ったエドは、 そっと立ちあがってメイド達に謝った。
「ご、ごめん!俺、女王なのにっ!」
「良いんですよエド様。」
「あなたがご無事なら。」
メイド達の優しい声に、情けない気がしてしまうが、エドは笑顔を取り戻した。

「ほんとに、楽しい人だと思うよ姫様は。」
「そんなこと言うな。恥ずかしいだろう。」
メイド達の手によって、汚れた身体を綺麗にしたエドは、ロイと城内を歩いていた。
美しい長い金髪に白い肌。まるで誘っているようなぷっくらとしたルージュ塗りたての唇。
そして青と白のドレスを着込んだ彼女は、国始まって以来の美姫として名が高かった。
「わたしが助けていなかったら、どうなっていたか・・・・。」
「そのことに関しては!そのっ・・・・ありがとな。」
不器用ながらも、エドはロイに感謝していた。









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