男装の麗人
>528氏

上着を脱いだロイ子の胸のふくらみにハボック少尉は絶句した。
ハボックの視線にロイ子は慌てて、上着をはおる。
後ろ手に司令室のドアを閉め鍵をかける。その音にロイ子の肩がびくりと震えた。
「あ…、すみません。驚かすつもりじゃなかったんですけど。」
ハボックが言い訳を口にした。
「なら、どうして鍵をかける?」
上擦った声でロイ子が尋ねる。
「だって、鍵あいてると誰か入ってきますよ?そっち見ませんから早く上着着ちゃってください。」
ハボックは煙草を咥えると火をつけた。さっき見た光景を無意識のうちに思い出し赤面する。
小柄なわりにおっぱいは大きいなと思っていたが、それはハボックの想像通りだった。
きゅっとしまったウエストとそれなりに肉付きの良い尻。軍服を脱がして、流行の服を着せ隣に連れて歩けば道行く男の大半がうらやましそうに振り向くだろう。
色気のない軍服に身を包んで、その色香を隠してくれている事にハボックは心底感謝した。
かちゃかちゃと軍服の前をとめる音が室内に響いた。手が震えているのかなかなかまとまらないようだ。鍵はかけているが、誰か戻ってきたら扉を開けざるをえない。
「マスタング大佐〜、まだですか?はやくしてくださいよ。」
せかすつもりはないが、はやくしてもらわないと精神衛生上大変よろしくない。
チッと後ろで舌打ちの音がする。
「ハボック少尉。」
「何ですか?大佐。」
「私に触れずに上着の前をとめてくれ。」
とうとう自分で何とかするのをあきらめたのだろう。あせるほどにロイ子の上着は乱れていく。
「せめて目瞑ってとかじゃダメですかね?」
司令室の外の廊下を足音が通りすぎる。いつ誰かがくるかもしれないとロイ子も気が気ではない。
「もう、何でも良いから頼む。」
「最初から素直にそう言えば良いのに。」
咥煙草でぼそぼそとハボックがつぶやく。
「何か言ったか?」
「いいえ、何も。じゃ、そっち向きますよ。良いですか?」
「うん。」
俯いたままロイ子が応えた。
「それじゃ……。」
ロイ子の許しを得てハボックはロイ子に向き直る。
「うわっ。」
肌蹴た上着から覗くブラウスにはうっすらとブラの模様が透けている。
「失礼しますよ。」
視線を微妙に外してロイ子の上着の前を掴む。ロイ子の頬にさっと朱がはしった。
「大佐、ちょっと顔上あげてもらえませんかね?」
「こうかね?」
「うわ〜、もうダメです……。」
「何を言っておるか、少尉。さっさとしたまえ。」
あせるほどにハボックの手も震える。どうにかして、ロイ子の上着をきちんとととのえた時、ロイ子もハボックも汗びっしょりだった。


ありがとうとロイ子は小さな声で呟いた。
「いーえお役にたてて何よりです。」
ちゃかすようにハボックが答える。
「んじゃ、鍵開けますよ。良いですか?あと、次から上脱ぐ時はきちんと戸締りする。
わかりました?言っときますけど、軍部なんてケダモノの集団なんですから。あんたみたいのは良い餌食です。」
「そうか……。でも、ホークアイ中尉だって。」
「中尉とあんたを一緒にしちゃいけません。はっきり言いますけど、大佐は隙だらけです。だからこんなコトされちゃったりして。」
ハボックはロイ子の顎を掴むと上向かせた。驚いて目を見開いたロイ子にゆっくりと口付ける。ロイ子は慌ててハボックの胸を押し返そうとしたが、腕に力がはいらない。
角度を変えて何度もついばむようなキスをロイ子にふらせる。
ぺろりとロイ子の唇をなめあげるとはぁと熱い吐息がもれた。抵抗がないのを見て取ると癖のない黒髪に手を差し入れて包むようにロイ子の頭を胸に抱きしめる。
ロイ子の耳にハボックの鼓動が響く。胎内で聞いた母の心音にも似て、ロイ子の不安を溶かしていくようだった。
「大佐は俺のこと、キライですか?」
「え?」
「誰か好きな人いたりします?」
「いる。」
ハボックのキスにぼーっとなったロイ子がささやくように答えた。
「そっかー。そうですよね。いない方がおかしいか。」
今まで、ロイ子を抱きしめて背や頭を愛しそうに撫でていたハボックの大きな手が肩におかれ、ぐいとおされる。呆気にとられてロイ子はハボックを見上げた。青い瞳が寂しそうにゆれた。
「大佐、さっきも言いましたけど俺みたいな良い加減なやつばっかりなんですからもっとしっかりして下さいね。こんなトコに大佐をおいとかなきゃいけないの、その好きな人
すごい心配してると思いますよ。」
にっこり笑ってハボックはロイ子の髪を梳いて整えてやる。
「ほら綺麗になった。すみませんでした。じゃ、俺、訓練に戻ります。」
唐突なハボックの行動にロイ子は混乱していた。背を向けて部屋を出て行こうとするハボックに慌てて手を伸ばすと軍服を掴んだ。
「待て。ハボック少尉。」
「離してください、大佐。これ以上ここにいると俺何するか責任もてませんよ。」
ロイ子の方を振り向かないままハボックが言う。
「好きだ。」
消え入りそうなロイ子の告白にハボックの心臓は飛び上がりそうだった。
「おまえといると安心する。」
ハボックが振り返る。首筋まで真っ赤に染めたロイ子がためらいがちに顔を逸らす。逸らした視線の先にハボックは跪いた。ロイ子が大好きだと思っていた優しげな笑みをハボックは満面に浮かべている。おずおずとロイ子は
跪いたハボックの額に己の唇を押し当てた。そのまま顔中にキスの雨を降らせる。
どちらからともなくあわさった唇と絡み合う舌に我を忘れそうになった瞬間、がちゃがちゃとドアノブが乱暴にまわされた。
はっと正気にもどった二人は見詰め合ってくすくすと笑いあう。
「今あけまーす。」
ハボックがドアに向かって叫ぶ。
「続きは後で。」
そっとロイ子の耳元にささやくと恥ずかしそうにロイ子が頷いた。










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