偽りの再会
>428氏

深夜の中央司令部、優雅な黒いピンヒールを鳴り響かせロイ・マスタング大佐は司令部内を巡回…ではなく残業からの現実逃避の為ただふらふらと歩いていた
そろそろ戻らないとハボックが逃げ出してしまうな…
「よぉ久しぶりだなロイ」
背後からかけられた言葉にロイは背筋が凍りつくのを感じた
それは有り得ない、有ってはいけない人物の声だった
「……ヒューズ…なのか?」
信じられない、私は夢を見ているのか?
だって私は確かに見た、棺の中で青白い顔をしたヒューズを
確かに触れた、氷のように冷たくなったヒューズの頬に
怪談好きな部下達からだって司令部の廊下で出るなんて聞いたことはない
きっとこれは夢だ、悪い夢に違いない
「何ボンヤリしてるんだよ、まさかオレの顔忘れちまったのか?」
「オマエは誰だ?」
「はぁ?何言ってんだよ、オレはロイの親友マース・ヒューズだろ?」
「嘘だ…オマエは確かに死んだ…死んだはずだ…」
「知らなかったのか?実は極秘の指令を承けてな
世間的には死んだ事にしたんだ、あの死体はよく出来た人形なんだよ」
「嘘だ、嘘だ、オマエは誰だ!!」
「これでも嘘だって言うのか?」
そう言うなりロイの細い腰を抱き寄せると紅色の唇を奪った
甘く柔らかな感触にロイは頭の奥がじんわりと痺れていくのを感じた
「んっ、ヒューズ…あぁ逢いたかった…今までずっと寂しかったんだ…ヒューズ…ヒューズ…」
無我夢中で首に抱きつき、自分の舌をヒューズの舌に絡め
無意識のうちに腰をヒューズの下腹部に擦りつけた
しかし、とっさにロイは我に帰り、ヒューズを突き飛ばそうとしたが反動で尻餅をついてしまった
「どうしたんだよロイ?」
昔と変わらぬ笑顔でロイに手を差し出し、その手を叩かれると嫌がるロイを無理矢理抱き起こした
「離せっ離さないとケシ炭にしてやるぞ!」
「どうしたんだ?もしかしてずっとほっといたから拗ねてんのか?」
ロイを壁に押し付けると片手で軍服と、その下のブラウスのボタンを外し武骨な軍服に似合わない菫色のレースに包まれた胸を露にした
「オレが紫が好きだって覚えていてくれたんだ…」
「違う、これはハボックの趣味だ」
「そういう素直じゃない所、変わってないな」
そう言うとベルトに仕込まれたナイフを取り出し、ブラジャーのフロント部分をプツンと切り離すと唇と同じ紅色の乳首を持つ豊かな白い乳房が弾け出た
「これは一番のお気に入りなんだぞ…どうしてくれるんだ」
「心配しなくても後で弁償してやるよ」
「本当に?」
「してやるって、疑り深い奴だな…」
「出来る訳ない…だってオマエはもう死んでるんだ…死んでる人間に出来る訳ない…」
ロイの瞳から澄んだ涙が溢れ落ちた、それを拭おうとヒューズが手を伸ばした瞬間強烈な蹴りがくり出され、華奢なヒールがミゾオチに突き刺さるような衝撃を与えた
「…ロイ、……相変わらず…だな…」
ヒューズは袖に隠したナイフを手に立ち上がろうした瞬間、顔色を変えた
そこには氷のように冷たい微笑みを浮かべたロイが発火布の手袋をはめ、自分を見下していたからだ
「何する…」
その言葉は途中で途切れた
パチンッ
軽く指を鳴らすだけで魔法のようにヒューズの体は焔に包まれた
「すまないな、本当は最初から正体はわかっていたんだよ
オマエは鋼のが言っていたホムンクルスだな?」
「何故……わかった……」
「何故って…オマエはバカか?死んだ人間が現れる訳ないだろう?
それにヒューズのキスはあんなに下手じゃない」
「それじゃあ何故…」
「決まってるじゃないか、最近忙しくて欲求不満なんだよ、いい暇潰しになると思ったが
大したことないなオマエより鋼のの方がよっぽどキスは上手いぞ」
「このボクが…あの小娘よりも劣るというのか…」
「オイ、ヒューズはボクなんて言わないぞ?」
「煩い…答えろボクより…」
「ああ劣るね、最初はからかってキスしただけなのに鋼のときたら本気にして
最近は逢う度にキスをねだるようになってね、仕込んでやったらあっという間に上手くなったよ、さすが天才だな」
「そんな訳ない!あんな貧乳豆粒チビにボクが…」
「あ〜煩い、まだ残業が残ってるしハボックの相手もしてやらないといけないんだ、大人しく捕まれ」
もう一度指を鳴らそうとしたが隙を突かれて窓を蹴破って逃げられた
後に残った物は壊れた窓、焼け焦げた廊下、そして無様に晒された自分の胸だった
もうちょっと…遊んでやれば良かったな…
そう思いながらロイはかつてヒューズがしてくれたように自分の胸の先端を強く摘んだ
自分の手だとつまらないな…早くハボックに…それとも鋼のを呼ぼうか?
あれこれ考えてるうちにやっとハボックと警備兵が駆け付けてきた
ロイは残業の事、明日叱られるであろう中尉の事
様々な頭痛の種を思い浮かべながら軍服のボタンを閉じハボックに向かって叫んだ
「何やってるんだ遅い!!」
本当は全然そんな事考えてなかったロイだった
……なんでヒューズは紫が好きだって知ってたんだろう?まあいいか、そんな事

終り






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