熱情
>126氏

「…鋼のが欲しい」

熱に潤んだ瞳でこんな台詞を、惚れてやまない女から言われて心を掻き乱されない男がいるなら教えて欲しい。
エドワードの胸は早鐘を打った。
ロイ子は己と同じく、およそ必要だと思われる知識などを習得するということ全てにわたり、異常な程の集中力を持っている。
それが、まさか閨においても適用されるとは、エドワード自身ですら彼女とこういう関係になって改めて気付かされた。

彼女は非常に自分の欲望に素直だった。
まず躊躇う事をしない。
勿論、仕事に関して等、時と場合によってそうでない事もあるが、プライベートの事柄においては己の感情のまま突き進む。
却って、こういう時にはエドワードの方が照れて赤くなることがしばしば……。
今回だって、エドワードが彼女のブラウス脱がそうとそのボタンを外しかけた状態で逆に押し倒された。
そして、向けられたのがこの言葉である。

ロイ子はエドワードが着ていたパーカーに手をかけるとすばやく脱がせようとした。
勿論エドワードに抵抗する理由はないし、ついつい自分からロイ子が脱がしやすい体制をとってしまった。
流石にジーンズのフロントに手をかけられたときには慌てて、自分で脱ぐからとロイ子を制したけれども…。
脱がせるという行為自体に性的興奮を感じるというのは確かに事実かもしれない、とエドワードは思う。
エドワードもロイ子の服に手をかける時には妙に心が騒がしくなるし、今だって脱がせかけた服を更に脱がせようと手をかけている事にいつもながらドキドキしていた。
先程のロイ子も、少し興奮した様子を垣間見せるかのように、時折無意識に下唇を舐める仕草がやけに色っぽくて、無意識に彼女の唇ばかりを目で追っていた事に気付いたものだった。
お互いが何も身に付けていない状態になると、ロイ子はエドワードをベッドに寝かせたままエドワードの唇をゆっくりと塞ぐ。
「ん…、ふぅ…ん、む…」
どちらからも熱い息が漏れ、絡め合う舌の感触に夢中になる。
エドワードの手は自然にロイ子の柔らかな身体のラインを滑っていた。
ロイ子は唇を離すと、そのままエドワードの首筋に唇を下ろしてその感触を味わい出した。
「っ、ぁ…」
エドワードの口から甘い声が漏れる。
そして、ロイ子はさらに唇を下にずらす。
そのまま、まだまだ発展途上ながらもバランス良い筋肉で覆われた胸板の小さな突起を口に含み舌で転がし始めた。
反対側は白くほっそりとした指先で優しく愛撫しながら……。

「…いいよ…大佐…スゲー気持ちいい」
自然にエドワードはその指をロイ子の艶やかな黒髪に滑り込ませた。
全身に強烈な快感の波を送り続ける彼女の愛撫はとどまることを知らないかのようだった。
そうする内に、更にロイ子は自らの体をエドワードの下半身へとずらした。
「ちょ、た…大佐ッ!!」
流石にエドワードもそこまではと腰を浮かせて、動こうとした。
それよりも前にロイ子はエドワードの若い雄をすばやく手にとって扱き始めた。
エドワードがあまりの気持ち良さに眉根を顰めた瞬間、ロイ子はその舌で瑞々しい先端をぺろりと舐めあげると、うっとりと長い睫を伏せて濃密な愛撫を始める。
エドワードにじっくり見せつけるように、舌先を大きく伸ばして…。

最初は全体的にソフトクリームを舐めるようにしていた舌使いが徐々に激しさを増して括れを擦り上げ、次第に喉元まで大きく含んで唇と舌で丹念にエドワード自身を愛した。
『…「あの」大佐が、俺のを咥えてるなんて…。その上、あんなやらしい顔して上目遣いに見上げらたら…もう気が変になっちまいそうだ…』
「……気持ちいい?」
時折、ロイ子は唇を離してエドワードに問い掛ける。
そんな事を尋ねなくても身体の変化がそれをありありと物語っているのに、どうしてもエドワードの口から聞きたいらしい…。
「…っ、…良すぎ…だよっ…」
あまりの快感にエドワードはその波を乗り過ごそうと眉を顰めた。
先程からロイ子の口腔での愛撫が激しさを増し、どうやらエドワードをイカせたいという素振りを見せ始めたからだ。
これにはエドワードも正直マズイと思い、ロイ子の愛撫から逃れようとするが、彼女の巧みな舌使いや妖しく潤んだ眼差しからなかなか逃れられないでいた。

「だ、め…だって。…このままだと…口ん中に出しちまうから…放して…」
エドワードが振り絞るように言った言葉にロイ子が答える。
「…いいから…このまま…」
そう言って、更にエドワードを深く咥え込んだ。
エドワードの限界は極限だった。
ロイ子に「良い」と言われても、そう簡単に受け入れる訳にはいかず、快感の嵐に身を投げ出す前に彼女の頭を軽く押さえて腰を引いた。
その際、思わずロイ子の舌先がエドワードのポイントを舐め上げる。
意に反してエドワードはそのまま達してしまった。

「…くっ…」
エドワードは思わず声を上げた。
快感の波が去るまでの少しの間目を閉じていたエドワードだったが、目を開いた瞬間、目の前の光景に驚愕する。
そこには、辛うじて口内には出さなかったものの、完全に腰を引く前に達してしまったが為にエドワードの吐き出したモノを口元から胸の辺りに浴びたロイ子がいたからだ。
「うわっ!…ご、ごめん!!」
ロイ子の美しい顔を己の欲望で汚してしまったと、エドワードはオロオロとひどく慌ててベッドサイドのテーブルに置いてあったティッシュを手に取った。
すぐに彼女を清めようと近づいた瞬間、すっとロイ子の白い手がエドワードを制するように前に出される。
そして、エドワードがロイ子を不安そうに見つめた時…ロイ子は妖しく微笑んだ。
「……鋼のの匂いがする…」
うっとりとした眼差しをエドワードに向けて、振り掛けられた白濁を手の甲で少し拭うとぺろりと紅い舌で舐めとった。

その行為の淫らさにエドワードの心臓はいきなり跳ね上がる。
ロイ子の頬が紅潮して、エドワードのモノを浴びて興奮しているのは明らかだった。
その姿にエドワードの胸は熱くなり、自身がふたたび熱を持ち始めた。
ロイ子の妖艶な姿はエドワードの興奮も誘ったのだ。
ただ、大切な彼女を汚してしまった事への微かな罪悪感に心が疼き、とにかくその体に纏わり付いたソレを拭いたいと、ロイ子へ手を伸ばそうとした時、すばやくロイ子がベッドから下り、バスルームの方へ歩みを進めた。
ドアを開ける時に、こちら側を意味深な流し目でちらりと見やる事を忘れずに…。

身体を清める為にバスルームへ行った筈の彼女が、完全に自分を「誘っている」のだという事をエドワードは悟っていた。
ほどなく、シャワーの微かな水音がエドワードの耳に届き始める。
「…やっぱ、大佐には敵わねえな」
ふっと苦笑うと、エドワードはギシリときしむベッドから下り立ち、今度は躊躇う事なくバスルームへ向かった。
エドワードの精を洗い流がしてしまうのは少し惜しい気がしたが、酷くうろたえているあの様子を見て、このままにしておけば彼は後悔ばかりしてこれ以上自分に手を出さないことをロイ子は分っていた。
だから、わざと見せつけるようにエドワードの精液を舐めて見せ……そして「誘い」をかけたのだ。
ロイ子はシャワーの湯で全身を洗い流して、先程の行為の名残をすべて消し去る。
改めてエドワードと愛し合う為……。

ちょうどその時、バスルームのドアがゆっくりと開く。
ロイ子が湯を止め手に持っていたシャワーヘッドを壁のフックに掛けた所だった。
背後からエドワードの手がロイ子の身体に廻される。
「…鋼の」
望んでいた少年の腕に軽く自分の手を置く。
エドワードの唇がロイ子の首筋に触れ、舌を滑らされるのが分った。
そして、腕がそっと離れると今度は後ろから、柔らかいバスタオルと共にその腕がふわりとロイ子を包み込んだ。
「…えっ?」
ロイ子は僅かに振り向いた。
「ちゃんと拭かないと…風邪引いちまうから…」
そう言ってエドワードはロイ子の背後から腕を回してロイ子の身体を拭い始める。
首や腕の部分をすばやく拭うと、そのままロイ子の胸に場所を移した。
「あ、鋼の…」
自然にロイ子から声が漏れた。
エドワードはバスタオル越しに微妙な力加減でロイ子の胸を揉みしだいた。
そして敏感だと知っているその先端もバスタオル越しに指で擦り上げる。
いつもと違う感触にロイ子は震えた。
「…まだ、拭いてないところがあるな…」
エドワードは屈みこんで、ロイ子の両足を丁寧に拭う。
一部分だけを残して……
すっと、エドワードはロイ子の腿のあたりに軽くキスをして、手を添えてロイ子の脚を開いた。
「…ここはもっと丁寧に拭かねぇと…」
エドワードが吸い寄せられるようにその奥へと舌を差し入れ、ロイ子の秘所の周囲を舐めていく。
「…やっ、…あぁ…ふぅ…ん…」
ロイ子の声が次第に艶っぽくなる。
自然に腰がエドワードに押し付けられた。
エドワードは少し焦らした後、一番濡れている秘所に唇を寄せる。
女の蜜特有の甘酸っぱい匂いが溢れてエドワードを誘う。
濡れそぼった秘所に荒々しく舌を差し入れて、吸ったり舐めたりを繰り返す。
ロイ子はエドワードの髪にその白くしなやかな指を絡めて慈しむように髪の毛を触った。
その手の動きが次第に落ち着きを無くしてゆく。
「……あぁっ…ぅ…ん…っ…イイ…」
エドワードが見上げると潤んだ瞳が見下ろしていた。
その視界の中に、ロイ子の快感を象徴する胸の突起がくっきりと形を成しているのを見届ける。
すぐにエドワードは立ち上がると、先ほど使っていたバスタオルをロイ子の背中にあるタイルに張りつけ、そこに彼女の身体をもたれかけさせた。

「…冷たくねぇ?」
触れるか触れないかロイ子の耳元で囁くように問いかける。
エドワードの肩口をロイ子の手が少し力を込めて掴んだ。
真近で感じている様子を湛えたロイ子の瞳を見て、エドワードの感情は一気に煽られた。
最初は優しくロイ子の唇を塞いだけれども、その後は思う存分激しく舌を絡める。
ロイ子自身もそれに積極的に応えて、二人とも夢中でお互いの唇をしばらく味わい続けた。
すっとエドワードが顔を離した時、一番にロイ子の紅く濡れた唇が目に飛び込む。
その様のなんと妖しく、厭らしいことか…。
思わず、ぐっとエドワードは自らの腰をロイ子の柔らかな狭間に押し当てた。
「んっ…ぁ、……鋼の…少しいきなり過ぎる…」
「…ごめんっ、大佐。…だけど…俺…もう、こんなにあんたが欲しくなっちまってる…」
エドワードの自分への欲望をはっきりと感じる下腹部に押し当てられた硬いモノが、容赦なくその存在感をロイ子に示す。
熱に浮かされたようなエドワードの言葉にロイ子も小さく笑って同意した。
「…ふふっ、…すごく硬いな…」
「っ…あんたが俺をこんなにしてんだよ…」
ロイ子の体を思って動きは緩やかだが、エドワードは熱い息を漏らしながら腰を揺らした。
一瞬、二人の視線が絡んでそのまま強く抱き合い唇を合わせる。
今度は短い時間であったが眩暈のするようなお互いを貪るような激しいキスに、二人ともが限界が近いことを知った。
「…はぁ…いいぞ…はやく…中に来て…」
ロイ子はエドワードの首に腕を回した。
その言葉をきっかけにロイ子の片足を抱え上げ、エドワードは己をロイ子の秘所に押し当てた。
ロイ子の身体が瞬間小さく震える。
既にその場所はエドワードをいつでも受け入れるように、濡れそぼっていた。
それを満足そうにエドワードは自身で味わい、
そして、たっぷりと濡らした先端に手を添えるとロイ子の秘所に少し挿し入れてゆっくり掻き回す。

「あっ、ああ……」
益々ロイ子の秘所からはエドワードを求める愛液が流れ続ける。
少しの間、その状態を味わっていたが、ロイ子がエドワードを欲しがる乱れた腰の揺れ具合と掠れた喘ぎ声に自身の限界を感じた。
「…いくぜ」
そっとロイ子に告げ、力を込めロイ子の中を貫いた。
「…っ、…大佐……痛く…ないか?」
何回身体を合わせてもロイ子の中は狭くて熱い。
容赦なくエドワードに絡み付いて、締め付ける。
初めの内こそ、あまりの気持ち良さに直ぐに達してしまい、凄く恥ずかしくて情けない思いをした事があった。
なんとかそれでも慣れてきたとはいえ、ロイ子の身体はエドワードの理性をことごとく打ち崩し、少しでも気を抜けばあっという間に快感の渦に巻き込まれてしまう。
だからこそ、同じように自分をロイ子に感じて欲しくて…ロイ子の乱れる姿を追い求めた。
「…鋼の…」
「…凄ぇ…大佐の中…いつも以上に俺のに絡み付いてくる…」
−ロイ子は意外と淫らな言葉に弱い−
それを知っているエドワードはわざと厭らしい言葉をロイ子に向けて放つ。
すると、ロイ子の気持ちが胎内にダイレクトに伝わり、エドワード自身に更にきゅうっと絡み付いた。
エドワードを狂わせるに十分過ぎるほど…。
なんとか快感の波を潜り抜けてエドワードはロイ子の腰を掴むとぐっと自身の腰を突き上げた。
「ああ…や…」
ロイ子が目を閉じて首を振る。
余裕の少ないエドワードではあったが、そのロイ子の様に満足するとさらに腰を揺らした。
「…・あぁ、ん…鋼の…もう……ふぁっ…」
ロイ子はエドワードの肩口で息を切らせる。
「…俺も……最高に気持ちいい…」
エドワードの動きが激しさを増す。
ロイ子の足が心持ち伸びて迫りくる快感を追いかける。
「おねがい…もう、そろそろ…イカせて…」
「ッ…ロイ子…一緒に…イこう……」
さらに腰を突き上げた瞬間、ロイ子は心地よさに酔いしれて、エドワードに縋りついた。
「……ん…ああぁっ!!」
それと分かるようにロイ子の内部は激しく伸縮し、エドワードを締め付ける。
それがエドワードの限界を超えて、次の瞬間ロイ子の中に自身の欲望を吐き出した。

その衝撃と更にエドワードの絶頂を知らせる震えに再びロイ子は感じ入って声を漏らす。
余韻にしばらく二人ともそのままの状態できつく抱き合って酔いしれていた。
その内、ふとロイ子が少し身体を放してエドワードを見つめる。
「…エドワード……」
ロイ子の言いたい事はすぐに分かった。エドワード自身同じ気持ちで、すばやくロイ子の甘い唇を吸う。
包み込むような甘いキスを繰り返しながら、エドワードは自分の熱い感情をその行為の中で表したかった。
『あんたが俺の事を欲しいと望む以上に、俺はあんたが欲しい』…と
「大好きだよ、ロイ子…」
キスの合間に何度となくエドワードは囁き続ける。
言葉は返されなくても、キスに必死で応える柔らかな唇が彼女の心情を雄弁に物語っていた。






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