me too.
>275氏

最近、夢見が悪い。以前良く見ていた夢は、出来損ないの母さんが出てくる夢。
血まみれのいやな姿で。その度、俺は叫び声を上げて目を覚ます。一度そんなことで目が覚めてしまったらもう明け方まで眠れやしない。嫌な汗をかきながら、空が白々しくなるまで自分の機械鎧の右手を眺めていた。
けど、最近はどうも違う。母さんの夢の代わりに見る夢は…弟のアルの夢。
あ、正確には、弟だった今は妹のアルの夢。
アルはようやく生身の身体を取り戻す事が出来た。でも、ちょっとした間違いで身体は女になっちまったんだ。ところがそんな事を気にする素振りもなく、アルは素直に生身の身体を再び得た事を喜んでいた。
けど、こっちはどうしても意識してしまう。背はガキの頃と一緒であいつの方が少し高いんだけど、体つきは俺とは全然違う、細くてやわらかそーな身体になってしまった。俺が思いっきり掴んだら潰れちゃいそうな、そんな感じ。んで、それを思い起こす度、変な夢を見ちゃうんだよな。あーあ。
そして、今もその夢を見て、目が覚めたところ。
夢の中でアルは俺に背を向けて泣いていた。肉体を失う前の10才ぐらいの姿で。俺は声を掛ける。アル、どうしたんだ?って。すると、振り向いたアルはなんと、今の女の身体のアルに変わっていて、俺に抱き着いてくるんだ。
「兄さん、なんで僕のこと、避けるの?前みたいに一緒にいさせて…」
「もうお前は女なんだぞ。今までみたいにしてちゃダメなんだ!」
「じゃあ、今までと違う事ならいいの?こういうのは…?」
なんて言って、洋服を脱ぎはじめた…。
柔らかで豊満な胸が俺の身体に押し付けられる。
「兄さん…大好き。兄さんの好きなようにしていいんだからね」
おいおいおいっ!そんな事言われたら…。更にアルは俺の右手を自らの胸に持っていき
「兄さん、もっと触って。僕、ずっと寂しかったんだ。兄さんの身体、暖かくて気持ちいいから、いつも一緒に居たかったのに、兄さんてば、僕の事避けてるから…。すごく悲しくて…」
そんな事を言いつつ、俺の股間に触れて来た。とたんに堅くなるナニ。
「ん…気持ちいい…。下の…方も、触って?」
今まで胸をまさぐっていた俺の右手はアルに導かれて下腹部へと移動した。
柔らかな茂みをかき分け、熱く湿った部分へと辿り着く。
「濡れてるでしょ…?ずっと触って欲しくて、我慢してたんだ…。あんっ…」
その部分の余りの熱さに、俺はびっくりして指を引いた。でも、それがアルの一番敏感な部分にふれてしまったらしい。身体をぴくッと反応させ、声を上げた。
「ごっゴメン!大丈夫か?」
「いいの…もっと、して欲しい…」
その声に俺は指を動かしてみたい誘惑に駆られ、少しだけ、亀裂の奥へと指を滑らしてみた。ぬるっという感じで中指の第一関節くらいまで埋まる。
「はぁっ…そ…こ…」
アルの白い肌が上気して紅く染まっている。その姿を見て、俺の体中の血が一気に沸き上がった。アルを押し倒し、腰を抱えて突き進んだ。
目を覚ましたら…そこには当然アルの姿はなく(今は別々の部屋で寝てる)、代わりに下半身に妙な感覚が残っていた。うっ…やってしまった。夢精してる…。
まぁ、健康な男だったらあって然るべき現象なんだろうけど、その相手が弟と言うか、妹なのがなんとも俺を落ち込ませた。しかも俺、夢の中で喜んでたよ…。そういえば、挿入したところで夢から覚めたんだよな。ちょっと勿体無い気もす…いや、そうじゃないだろ、俺!…もう何度目だろうか…。

ふぅーっとため息をつき、俺は時間を確かめた。まだ夜中の2時。
下着を洗っておかないといけない。油断してるとアルが勝手に洗濯してこいつを見つけるかも知れないから。

俺はそーっと、バスルームへと向かった。で、シャワーをあびつつ、できる限りすばやく下着を洗うつもりでいたのだが…。
「…兄さん、なにしてるの?」
あ、アルぅー!なんでここにぃ!バスルームの入口の前に立っていたのはさっきまで俺のイヤらしい夢に出演していた妹だった。
「え…いやその…あ、アルこそ何でっ?」
「…寝る前にお茶飲み過ぎちゃって。おしっこしてた…」
ななな何で今日に限って目を覚ますんだ、妹よ!
「…ねぇ、兄さん、なんでパンツはいてないの?」
「うっここここれはっ!ななななんでも」
その時、運の悪い事に俺は下半身丸出し状態だった。しかも左手に下着を握りしめて。だってまさかこんな所ではち合わせするとは思っていなかったし。
俺はパニックになってしまい、慌てふためいていた。すると、アルはにやり、と笑って言った。

「兄さん、もしかして、エッチな夢でも見てたの?」
軍部に出入りしてると色々と耳年増になるのか…。ズバリ言い当てられてしまい、もう何も言えなくなってしまった。
「あっ、図星ー?ふーん、兄さんもそういうの、見るんだ?」
その、愛らしい瞳を丸く見開いて、楽しそうに笑うアル。
「お前黙ってろよ!どっか行っちまえ!」
ああ、もう駄目だ。馬鹿にされてる。俺。
目の前が真っ暗になっていくのを感じながら、そう叫んでバスルームに入って扉を乱暴に閉めた。
シャツを脱ぎ捨て、シャワーの栓をひねる。勢い良く噴出した湯を頭からかぶった。髪の毛を伝って湯が顔を濡らして、いつの間にか溢れ出ていた涙を隠した。
アル…明日の朝、まともに顔見られねぇよ…。いや、顔どころか、このままどこかに消えてしまいたいくらいだ。…本当に、どっか、いっちゃおうかなぁ…。ハボック少尉の所でも…。
ところが!そんな風にぐちゃぐちゃの頭でぼーっとしていた所にバスルームの扉が突然開く。それは、涙と鼻水で顔をグチャグチャにしたアルだった。
「に…うぇっ、さぁん…うっ、ご…めんなぁさい…。うえっうぅ」
「あっ、アル?」
「ごめんなさ…いぃ…うっく…。も…いじわるな、こと、言わないからぁ…えっ」
パジャマ姿のまま、抱き着いて来た。シャワーは出しっ放し、当然アルの身体にも湯が掛かり、薄い色のパジャマの下から、うっすらと乳首が浮き上がった。
「ぼくのこと、嫌いにならないでぇ…えぅっ。ご…めん、なぁさい…」
何度も、ごめんなさい、とくり返し、アルは俺から離れる事はなかった。
俺はとりあえず湯を止め、嗚咽に震えるその肩をそっと抱き、濡れた髪を撫でた。
「いいんだよ。俺こそ…ごめんよ。恥ずかしくて…言い過ぎた。お前の事、嫌いになる訳ないだろう?なぁ、アル?」
そうだ。悪いのは俺の方だ。勝手にいやらしい想像をして、何度もお前をおもちゃにしてた。そんな翌日はなんとなくばつが悪くて、ふて腐れて話をしなかったり、1日中外へ出掛けてできる限り顔をあわす時間を少なくしてた。
そんな俺を見て、アルは内心不安になっていたのかもしれない。
「ぼく…この身体になってから…兄さん、前みたいに一緒にいてくれなくなって…。
組手も本気でやってくれないし…。だから、嫌われてるんだって、思ってた」
「ばか…。お前、女なんだぞ?本気でやって身体に痣なんか作ったら大変じゃないか?」
「…うん…みんなにもそう言われた。これまでみたいに、兄さんと一緒には行動出来ないって…でも、僕…今まで通り兄さんといろんな所に行って、一緒に居たい…。昔みたいに。どんな事があっても、足手纏いにならないように、頑張るから…」

それまで、俺の胸に顔を埋めていたアルは、ようやく顔を上げた。
伸ばしたらかわいいとみんなに言われて伸ばしはじめた髪が頬に貼り付いている。俺と同じ金髪…。泣いたせいで鼻は真っ赤になってるし、目も赤い。
「お前なら…出来るよ」
下瞼に留まる涙を指ですくった。顔を近付け、昔、母さんが良くやってくれたような、軽い口づけをアルにしてやる。すると、アルも同じようにキスを返して来た。
「あり…がとう…」
ところが…ああ、なんだって、こういう、感動的なシーンで、こうなっちゃうんだか。
全く、俺の身体はデリカシーが足りない。
そう、アルの、濡れて透けて見える胸元や、身体の柔らかさや、キスの感触でまたしても俺の愚息がむくむくと…。
「…兄さん…なんだか…」
「悪ぃ…。殴ってもいいぞ…。正直に言っちまうと、その…お前がそうなってから…こうなっちまったんだ」
もう隠すつもりはなかった。母さんの夢の代わりに、アルの夢を見るようになった事。何度も見た事。その翌日はどうしても普通に接する事が出来なかった事。
アルはじっと、俺の瞳を見つめ、やがてこう言った。
「夢の中で…僕がやってた事、やってあげようか?」
「はぁ?」
「出すと、すっきりするんでしょ?僕、手伝ってあげる」
こっちが驚くほどにあっけらかんと言われたものだから、俺はついつい
「う…頼む…」
なんて、返事をしてしまった。
「…よく、子供の頃さわりっこしたじゃない?僕達。1つしか年が離れてなかったから、だんだん僕が兄さんに追い付いちゃってさー」
アルは思い出話をしながら俺のモノを手に取り、まず亀頭の部分を撫ではじめた。
「2人でお風呂に入って、どっちがおっきいか?なんて比べてたよね」
「う…ん…」
アルの指が竿の部分をしごきはじめる。
「わー、おっきくなったー!なんか、先の方がぬるぬるしてきたよー?」
「そそそそう?うっ…」
無邪気なアルとは反対に、俺は敏感な部分を擦られ、あっという間に爆発寸前に追い詰められた。
そんな俺の反応が面白いのか、アルは更に激しく指を使う。
「大人になると、こんなにおっきくなるんだねー。僕、知らなかった。どう?僕上手かな?」
「あっ…ダ…メ…。アルぅ、もう出そう…」
男なのに、なんか情けない声を出しちまった…。でも、本当にすごくいい気持ちだった。自分でするよりも数百倍。もと男っていうことで、気持ちのいいツボが分かるのかも知れない。
「兄さん、気持ちいいの?もう出ちゃう?」
「あっああ…出る…出る…でも、まだ…」
「いいよ…出しちゃって…僕に…」
もっとこの時を味わって居たかった。夢の中のように俺もアルに触れてみたかった。
その豊満な胸を鷲掴みにして組み敷き、夢の続きを完遂させたかった。けれど、次の瞬間−アルの紅潮した顔を目にしたその時、身体の中心から、熱く、どろったしたものが一気に噴出した。
「んっ…ああっ…だぁっ…いっくぅ…」
ああ。遂に。俺は白い液体をアルの腹に盛大にぶちまけた。頭の中が真っ白になり、立っていられなくなり、ずるずると壁にもたれ掛かり、座り込んだ。
「兄さぁん…大丈夫?」
「ん…すっごく…気持ち、良くて…」
はあはあと荒く息をする俺を、心配そうにアルは覗き込んだ。が、
「はっくょーい!」
と、盛大なくしゃみを俺に向かってしてくれた。
「ごっ、ごめーん!」
「風邪ひくなよぉ。…服脱いで。シャワー浴びて、すぐ寝ろよ…」
まだ、快感に内股やら背骨の辺りが痺れていたけれど、一応、兄として妹を気遣ってみる。
すると、アルは素直に
「うん!」
と言って、濡れたパジャマや下着を脱ぎ捨てると、シャワーの栓をひねって湯を身体に当てはじめた。せっけんを泡立て、身体に塗り付けて行く。
…左腕から洗いはじめるの、昔と一緒だな…なんてことをぼうっとしながら眺めていた。
「兄さんも暖まらないと」
自分がシャワーを浴びるついでに、アルは俺にも湯を掛けてくれる。でもくすぐったくて、自分でやるからと遮り、先に出るように促した。
「じゃあ、僕のベッドで待ってる」
アルはすっかり身体を洗い流し、こんな風に言ってバスルームから出て行った。
えっと…ベッドってことは、この先もやるって事か…?
まさか本当に夢の続きを…?ちょっとどきどきしながらアルのベッドに忍び込んでみたら、奴はもう、安らかな寝息を立てていた…。はぁ…そうだよな。そう夢の通りにはならないって事だよな。
結局、俺はアルのベッドにもぐり込んで寝た。ちょっと窮屈だったけど。
翌朝、目を覚ますともうアルは身支度を整えて朝食の支度も終えた処だった。
「おはよ…」
「おはよう!風邪引かなかったよ!兄さんはどお?」
アルは夕べの事がなかったかのように、いつもと同じ笑顔で俺を出迎えてくれた。
「大丈夫みたいだ…」
ほんの少しだけ照れくさかったけど…普通に言えた。
「よかった。はい、トースト。食べるでしょ?」
「ああ」
「はい。…あのね…」
トーストを手渡しながら、俺の目を見つめ、アルが話しだした。
「僕ね…兄さんと同じなんだ」
「同じって…何が?」
「夜…眠れなくて。寂しくて。だから、自分の手を兄さんだと思って…してた」
俺の手から、トーストが落ちる。
「夕べも。だから、兄さんと鉢合わせになってびっくりしちゃって、あんな事、言っちゃったんだ。…ごめんなさい」
俺達は、時を同じくして互いに想いを馳せ、自らを慰めていたのか…。
ふと、アルが俺から目をそらした。そして、言う。
「兄さん…」
「え?」
「また…したくなったら言って」
「あ…お…おう!」
うれしい、いや、恐ろしい事を言うな、妹よ…。
今度こそ、最後まで行き着いちまいそうだ。
俺の捧げた右腕から練成された魂を持つ、アルフォンス。
お前は一人の人間であっても俺の一部なんだろうか?だから通じ合えるのか?

俺はずっとテーブルの向こうの妹ををぼんやりと見つめていた。

おわり






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