タオル
>516氏
私はロイ子・マスタング大佐。
東方司令部で司令室を任されている。
ところでこの間小耳に挟んだのだが東方指令部の「グッズ」、というものがあるらしい。
そしてそこには「ハボックの(柄の)タオル」があるというっ!
私はこれを手に入れたい!
でも、自分で行くのは恥かしいのでリザにお願いして買ってきてもらおう(職権乱用)
早速入手!さすがリザは仕事が早いッ!(私用だけど)
「大佐。お望みのものです、が。私もう2度とあそこには行きたくありません」
物凄く疲れた表情をしたリザにねぎらいの言葉をかけて、帰らせる。
お楽しみはお風呂の後だ。
パジャマに着替えて、寝る支度もして。鍵はさっき風呂に入る前に確認したし。
リザに買ってきてもらった袋を開けると、そこにはッ!
ハボックだ〜ちょっと悪そうな顔をしている。
でも私はハボックが優しい表情をする時も知っている。
おっとこれは惚気になるかな。いかんいかん。
早速枕にあてがってみる。うん。なかなか良い。
顔の上に自分の顔を置く気になれなくて余った布地の方に顔を寄せる。
ほっぺたの部分にそっと唇を落す。
困った事にこれだけで物凄く恥かしい。
が、気を取りなおして唇の部分にもキスしてみる。
思わず布団の上で転がりたくなるほど恥かしい。
タオル地の感触なんだけどね。
やっぱりハボックだから。
「でも、やっぱり本物の方がイイなぁ」
「何が本物の方がいいんですか?」
「は、ハボック…?!」
そこに立っていたのは紛れもなくハボックだった。
「どこから入った?!」
「合い鍵で、玄関から」
そうだ、私が渡したのだったな。
「何をしてたんだ?」
「連れないですね。恋人に会いに来ってのに」
こ、恋人。
そうか、そうだよな。
でもどきどきする。
「ロイ子・マスタング大佐がお風呂に入っている間、台所の食料を拝借しておりました」
報告調で決めるハボック。あーやっぱりカッコイイよなコイツ。
「しかし、いい物みちゃいました」
ハボックがニヤニヤ笑いながら
はっと気付いて枕を抱きしめる。
「ど、どこから見ていたッ!」
「んー嬉しそうな顔でなんかの包み紙を開ける所からかな?」
一気に顔に血液が集まる。最初からではないか!
「ばっ馬鹿者!声くらい掛けんか」
ベッドの上には顔を真っ赤にして枕を抱きしめているロイ子。
「キス、してましたよね?」
相変わらずのニヤニヤ笑い。
「本物にはくれないんですか?」
トントン、と自分の頬を指で叩いて見せるハボック。
しぶしぶベッドの端の方まで行き、立っているハボックの頬にキスをする。
「よくできました」
笑顔のハボック。
ほっとしたのも束の間、ハボックはトントンと、自分の唇を指で叩いている。
ええいもう覚悟を決めよう。
チュッと唇を合わせる。
と、そのまま抱きしめてベッドに押し倒された。
「さっきから俺のタオルの方がいい目見てません?」
え?と思って下を見ると胸にしっかりタオルごと枕を握り締めたままだった。
「んーこの位置からするとこの辺かなぁ?」
私から取った枕とタオルと私を見ながらなにやら検分している。
「な、何がだ?」
恐る恐る聞くと、ハボックがニヤリと笑った。
「タオルの唇の当たってた辺りですよ?」
「は?」思わず間抜けな声が出た。
「と言う訳、で、いっただきま〜す♪」
「こら待て、ハボック!ちょ…っ、やめ」
「駄目です。嫌です。やめません。」
「や、だめぇ、だ、ハボッ、ク、そこは、違う…」
その日は結局ハボックが「ここかな?」「それともこっちだったかな?」などと嬉しそうにロイ子の体中にキスの雨を降らせたとかなんとか。
翌日の東方指令部では上機嫌のハボックと暑いのにきっちりと着こんだ不機嫌な大佐が見れたらしい。
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終