大人遊戯
>467氏

天気のいい昼下がり。
外の様子とは裏腹にカーテンを閉め切って薄暗い資料室。
部屋には男と女。そして散らばった資料が床に落ちている。
荒い息遣いと堪えようとして堪え切れない喘ぎが響く。
急に腕を捕らえられ、壁に押しつけられた女の軍服の上から男の手がまさぐる。
「んッ…急に、こんな事…どうしたんすか?」
壁に体を凭れさせ、男の体との狭い隙間に身を捩じらせる女。
男はただ黙々と作業の様に女の服を脱がせながら、耳に、首に、顔を埋めていく。
軍服の前を開き、その下の黒のアンダーシャツを胸の上までめくりあげるとすばやくブラのホックを外す。
プルリンと形のよい大きな胸がこぼれる。
ハボ子は男の舐めまわすような視線と、ともすれば敏感な箇所にかかる吐息に背筋を何かが駆け上ってくるのを感じた。
思わず両腕で胸を隠そうとするとその腕を取られ壁に押しつけられる。
恥らうハボ子の表情を楽しむ様に口の端だけで少し笑うと男はアンダーシャツの裾を口にくわえ、ゆっくり、ゆっくりとそれを下げる。
胸の頂きを焦らす様に擦る微妙な感触にハボ子はだんだんと我慢が出来なくなっていた。
「大佐っ、あの…焦らさないで、下さい」
ようやくそれだけを、絞り出したハボ子の顔は真っ赤だ。
シャツを元の位置まで下げ終えた男はそれを見て満足そうに微笑うと、へそのあたりをチロッと舐めた。
「あぁっ!」
快感を待ち構えていた体には、それだけで充分な刺激だったのか、ハボ子は白い喉を曝す。
その隙に男はハボ子のベルトを緩め、ズボンを落す。
とはいえ軍服は裾を軍靴の中に入れるようになっているのでこれで足の動きは制限される。
そこを無理に肩を押してハボ子を壁の方へ回転させる。
案の定、ハボ子はズボンに引っかかり壁に腕を押し付けるような体勢になった。
背中から抱きしめる様に手を前に回し、シャツの上から胸をやわやわと揉みしだく。
「やぅ、っふ…」
ハボ子が悩ましげな吐息をつく。
しかし胸の頂には触れてくれない。触れるのはシャツだけ。
「うぅん…大佐ぁ」
焦らされて既に涙目のハボ子。
なんとか指を触れさせようと身を捩ろうとするが男はそれを許さない。
「大佐…っ!やだぁ、お願い、します」
背後で溜め息が聞こえる。
そしてアンダーシャツの隙間からそっと男の手が侵入する。
先程からの愛撫で充分に刺激された体に直接触れられる。
やっともたらされる快感を予想して目を瞑るハボ子。

そして違和感。

「…なんで手袋…アっ」
いつもと違う感触に薄目を開け、男の手に手袋が着けられたままなのを確認して抗議の声をあげようと振向いたハボ子の息ごと飲み込むように口付ける。

いつもと違う…!

感触が、刺激が布越しなだけで別の人に触られてるみたいだ。
「………誰の事を考えている?」
この行為が始まって初めての、大佐の声。
低く、暗い。
「大佐…?」
怖い。
「誰の事を考えている、ハボ子」
明らかに苛立った大佐の声。
怖い、けど。
「何言ってんですか。コトの最中にそんな事」
「そんな事ではない!」
「アンタが俺をこんなにしてるのに」
大佐の手を俺の疼く所に当てる。
「アンタ以外の事考えてる暇なんてある訳無い」
「そ、そうか…」
ハボ子の明け透けなもの言いに赤面する大佐。
「その話は後でゆーっくり聞かせてもらうとして、続き、して下さい」
「で、何で急にこんな事になったんすか?」
「…いや、その…」
目を逸らす。
「人を散々あんあん言わしといて自分は他のコト考えてるし」
「そ、それは…」
「あーあ。資料散らばってるし」
拾い集めるハボ子。
その光景を見ながらポツリと。
「お前の良さが解るのは私だけだと思ったんだがな」
「はぁ?なんすかそれ」
せっかく拾い集めた資料を落した。
「鋼の、をお前だけ別の呼び方で呼んでいるだろう」
「え?あ、大将?」
するっと出てくるのにも苛々するので叫ぶように言った。
「だ・か・ら!…ただの嫉妬だ」
「……」
ハボ子の視線が痛い。
「アンタってホントに無能ですね」
クスッと笑ってキスを贈る。
「ロイって呼べばいいですか?それとも何か他の名前でも考えてくれますか?」
「お好きなようにお呼びしますよ?ご主人様?」


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