六月の花嫁
>146氏

「きゃー!エドすっごくきれいー!」
「素敵ね。とても似合うわ」
「まさかあんたが先に結婚するなんてねぇ」

初夏に薫る風誘うこの良き日、小さなチャペルの控え室は友人等の祝福の言葉で華やかだった。
「…なんだよーそんなに羨ましいか?」
 今一ピンと来ない当の本人はその容姿からはあまりにも不似合いな口調で。
「だってそうでしょ?こんなガサツな女の子なのにねぇーハボックさんも苦労するわよー」
「〜〜〜!」
反論できない。
言われなくてもわかっている。男勝りで口も悪くて料理もあまりやったことがない。
シェスカまではいかないが書物があればいつまでま引きこもるくらい本の虫だし、時間にもルーズだ。
なのにそんな自分を好きといってプロポーズまでしてくれたハボックに自分は一生着いていこうと決めたのは今から4ヶ月前。それから準備やら手続きやらでやっと今日に至る。
「せっかくの素敵な旦那さんなんだからちゃんといい奥さんになんないとね」
「がんばってね!何かあったら相談してね。私たちはエドの味方よ」
「……うん」
友人等の一言一言に勇気つけられる。
そんな中ノックの音が聞こえ、今回のもう一人の主役ともうすぐ彼の義理の弟になるエドの弟アルフォンスが入って来た。
「もう準備はいいのか?」
「あとはブーケが届くだけだ。もうちょっと待っててくれな」
「……姉さん、せっかくの綺麗な花嫁さんなのにその言葉使いはないだろ?」
アルフォンスががっくりと肩を落とす。
ドアを開けた時はそこに天使がいるかの如く神聖な花嫁が立っていたのに一言目にはもう自分の実の姉に
戻っていたのだからあまりの落差にこれから先の事が心配だった。
「しょーがないだろ?こんなもん治しようがないさ、それにジャンもこのままでいいっていってくれたし」
「そうだ。今更大将の口調が女々しくなっても聞いてるこっちが鳥肌モンだしなー。な?」
「…なんだよ、そんなに言わなくてもいいだろー」
「…ジャンさんも姉さんの呼び方、それはないよ…」
もう諦めてるとはいえ全く困った新郎と新婦である。
だがそんな姉ももう他人のものになる。血は繋がっているとはいえども、明日からは別々の人生を生きるのだ。
それが家族としての「別離」だからなのか、アルフォンスにとっては少し寂しく思う。
それでも大好きな姉が愛する男と幸せになる事も自分の願いだった。
だから今日はどんなに辛くても笑顔で送り出そうと決めていた。
「…姉さん」
「ん?なんだ、いきなり改まって」
姉がおまえはそれが似合うよと行ってくれた笑顔で。
「…幸せに、なってね」
「……………!!」
花嫁は瞳を見開いた。弟の気持ちを悟って、それからもう何も言えなくなった。
胸から熱いものがこみ上げてきて、気がつけば薄化粧に朱く染まる頬に数本の涙の筋が流れていた。
やっと「うん」という言葉がでてきたが俯いてしまった今はもう表情が伺えない。

たった二人の家族だけだった。二人が幼いとき父親は家をでて、母親は病気で亡くなった。
それから二人だけで誰かに引き取られることも無く生きて来た。
だからこの姉弟の絆は強い。それを知っていたからこそ花婿も友人等も二人を温かく見守った。
 そこに再びノックの音が聞こえる。
「おまたせ。ブーケ出来たぞ」
温かな静寂を壊したのは両手に大輪の白い薔薇のブーケを持ってきたロイ子だった。
周りの静けさにその場の雰囲気を悟ったロイ子は途端に顔色を変える。
「…もしかしてお邪魔だった?」
済まなそうに顔をしかめたロイ子は即座に外に出ようとしたが。
「あ、いやいいですよ大佐。それそろ俺等も式場に行かなきゃいけないし、大佐もエドの事頼んでいいっスか?」
ハボックはアルフォンスや友人等に声を掛けそろそろ…と外に出るように促す。
姉と弟のやりとりで崩れた化粧も今回花嫁の世話役を駆って出た大佐に直してもらおうと自分の上司に言付け、エドの肩を軽く叩くとハボックは静かにその場を後にした。

「アルフォンス君との別れの挨拶をしたのかい?」
ブーケをテーブルに置く。ロイ子は控室の化粧台から道具を一式持って来てブーケから少し離した所にそれらを並べた。
「あぁ、せっかくの化粧が流れてしまったね。仕方ない、少し時間が掛かるがいいかな?」
余韻が残っているのかエドはまだ愚図ついて鼻を啜っていたがもう涙は流れていなかった。
「…ごめん。まさか泣くとは思っても見なかったから…」
「人は誰も悲しい事があると涙を流すものだよ。誰かと出会えれば誰かと別れる時もある。女が男の元へ嫁ぐのは女の家族との別れでもあるのだよ。」
淡々と、それでも優しい口調の彼女はハボックの上司であり、エド子とアルの後見人だった。

 幼い姉弟に錬金術の才能を見いだしたロイ子は後見人となり専門の学校に通わせた。
結果優秀な成績で卒業した二人は姉が国家錬金術師へ、弟は更に大学をも経て医者として民間の大きな病院に勤めている。
二人を温かく見守ってきたロイ子だったが軍の指揮官ということもあり、多忙な毎日を過ごしていたので時折自分の部下に様子を見させていた。
ハボックとエド子に何かがあったのはおそらくその時だろう。 
エド子と結婚する、とハボックから報告があった時彼女は。
「そうか…少尉、私のかわいいエド子を頼んだぞ」
と、寂しそうに笑った。
「…でも、君は君だ。そして私も私。わかるね?」
ロイ子はエド子の正面に立ち両手であどけない頬を柔らかく挟む。そのまま顔を上に向かせてロイ子に視線を合わせる。
エド子の瞳が釘付けになる。
ロイ子の顔には明らかに情で潤んでいた。漆黒の眼差しはこの二人しか知らない複雑な感情が映されている。
この瞳を見せられるとエド子にも感染されたように金の眼が潤んでしまうのだ。
そのままロイ子は身を屈ませエド子の紅を引いた唇に自分のそれを持って行った。それは互いに火傷のように熱く、痛く、優しい。
ハボックとのキスとは全く違う。エド子は体が徐々に熱くなっていくのを感じていた。
ロイ子の舌がエド子の咥内を蹂躙していく。
「…ん……ぅっ…ふ…」
お互いの滑まかしい舌を絡めながら飲み込めきれなかった唾がつうとエド子の口から溢れて顎に伝う。
ロイ子は唇を離して垂れ流された唾液を追って嘗めていく。顎まで滴った唾はロイ子に綺麗に嘗められたが空かさずエド子の唇が追い掛けてきて再び濃厚な接吻が始まった。
キスに陶酔していたエド子の胸に紅のマニキュアをひいた指が這ってきた。気がつくとウエディングドレスの肩紐が解けていてその下にあった下着の紐も擦らされ、白い肩と胸が浚け出されていた。
「……っ!…やっ…」
我に返ったエド子は必死にもがいたが、さすがに軍の上層部にいるだけに男性顔負けの腕力はエド子の抵抗をも無効化と化す。もがきながらもロイ子の手は確実にエド子を高みへと上り詰めさせていた。
細く長い指が年頃の娘にしてはやや頼りないくらいの大きさの乳房を揉みしだき、時折その突起に触れれば
エド子の嬌声が呻き声としてロイ子の耳に届く。
ロイ子はもっとはっきりと聴きたくて、ゆっくり唇を離した。互いの間には銀の糸が引き伸ばされて消えた。
「ふふ…エド子。君は…私の何かな?」
「…………っ」
その問いにエド子の表情は高揚する。
それはこの二人の本来の関係を意味するものだった。
「…お。俺は…ろい…の…いぬ…」
「そうだ。君は私に拾われた時、約束したね。狗になるって…狗になる代わりに君と弟を不自由させないと」
 話しながらロイ子の空いた手はドレスを捲り、エド子の秘所へと向かう。
下着の隙間から指を潜り入れて既に濡れていたそこをゆっくりと撫でる。エド子は溜まらなくなって
即座に口を塞いでなんとか声を出さないようにしていたが、漏れる吐息は少しずつ大きくなっていった。
「……ひぁ…もう…」


つづく






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