罪人詠みしうたなれど
>987氏
【注意】ホーエンハイム陵辱・エド子攻
男が目を覚ました時、そこは酷く狭い地下室のような場所だった。
床は綺麗に掃除されており、机の上には見覚えの有る数冊の書物。
ここは…以前に自分が使っていた地下の書斎だ。
家はもう、外観は完全に焼けてはいたがここはまだ大丈夫だったらしい。
身体を起こすと、腕や足がきつく縄で縛られている事が分かった。
誰が何の目的でこのような行動に出たのだろうか?
暫く横になり、色々と考えを巡らせていると…
かつん、かつん。
誰かが石段を降りてくる足音が聞こえた。
「やっと見つけたぜ?
この……糞親父。」
この自分を父と呼ぶ
その顔は忘れ様も無い自分の娘「エドワード」。
あの時殴り飛ばされてからの記憶が無い事から…そのままここへ連れて来られたらしい。
「エド…私を恨んでいるのだね。
母さんが亡くなって…とても寂しかっただろう?」
愛する者を失う。
それは…とても悲しい事だ。
私もこの長い生涯を様々な人々と出会い、過ごし、彼等は急ぐように天へと召されて行った。
トリシャの病に効く薬を見つける為に家を出、シンの地で念願の薬を手に我が家へと戻った時見た物は焼け残り炭化した材木がさらさらと風化して行く様だけ。
6年ぶりに見る娘の顔は増々、亡くなった妻に似て来ている。
その私譲りの金色の目が猫のように細められ…怒りだろうか。
眉間に寄る皺と空気さえ凍り付かせるような敵意の視線。
「お前はのうのうと…この6年間一体何をしてたんだ?!
俺とアルは…お前のせいで…軍の狗に成り下がったんだぞ!
母さんだって……。」
地下室の壁にガッ!と言う音が何度と無く響く。
娘が泣きながら壁へ鋼の拳を打ち付けているのだ。
ピナコさんから詳しい事は聞いたが…エドとアルも人体練成の禁忌を犯しエドは腕と足を、アルは身体を持って行かれた。
…私がもう少し早く薬を見つけて戻ってさえいれば。
長い事感じていなかった、茫洋とする意識に浮かんだ悔やみの感情。
綺麗だった…私の大好きだった
この長い生涯でもっとも愛した人…トリシャ。
そして、彼女が残して行った二人の子供達。
私は何も言えずに娘の顔をただ、眺める。
何時だって向日葵のように眩しい笑みを浮かべていた記憶の中のエドワードが今では悲哀の表情で涙を流しているでは無いか。
その娘が突然向き直り…赤いコートをぱさりと床に落とす。
コートに描かれた印は錬金術における賢者の石の構築を顕わすフラメルの十字架。
ダブリスにいる錬金術師の女性に師事を受けたと聞いたが、中央で出会った錬金術師の女性もこの印の入れ墨を入れていた記憶が有る。
「お前がいない間…俺がどうしてたかを教えてやるよ。」
低く掠れぎみの娘の声は涙声混じりにそう言った。
その手が上着にかかり…黒いシャツへかかると
鋼で出来た腕と…その幼く白い少女の肌に不釣り合いな程無惨な傷跡が露になった。
「ピナコさんから聞いてはいたが……。」
それは途中で声に成らずに絶句と言う二文字に終わった。
「…これだけじゃ無いぜ?」
次には厚い革のズボンをぱさりと床に脱ぎ落としたその身体、左足の付け根にも同じような接合痕と鋼で出来た足が露になり鈍い光を反射している。
「俺とアルは…禁忌を犯した。
母さんを……人体練成しようとしたんだ。」
一糸纏わぬ娘の身体はいつか本で呼んだアンドロギュノスを思わせる。
エドワードの姿は少年のような無駄の無い筋肉、そして少女の柔らかさを備えていた。
「エド……辛かったんだな。」
その言葉で一気に力が抜けたのだろうか。
しゃがみ込み、子供が愚図るように唇を噛み締め…わなわなと震える指。
「お前何かに…わかってたまるかよ……。」
呟いた娘の身体が突然前屈みになり、拘束された私の身体を引き倒す。
振り上げられた生身の拳が何度か頬や腹を打ったが…
私の罪はこんな物では消えてしまわない…大変に罪深い物だ。
「何で!何で抵抗しないんだよ!!」
口の中に独特の苦みばしった鉄の味を感じた時、娘の腕が止まった。
「そうだ…
お前には最大の禁忌を味合わせてやるよ。
……一生苦しんで、母さんの事も一生悔やんで
死ぬまで忘れられない屈辱を与えてやる…。」
表情を壊れた笑いの表情に変えた娘は私の股間に手を伸ばし、ズボンの上を指でつつ…となぞる
娘の言った禁忌を漸く理解した私の心の内に走る戦慄。
「っ……!!エド!やめなさい……っ!」
ズボンの前を空けた幼い指がそこから入り込んで私の性器を鷲掴んだ。
ひんやりとした体温の低い娘の指はぞくりと私の背に決して感じてはならない物を伝えてしまう。
「ふぅん…案外柔らかいんだ?」
それを指で確かめるように擦り、掴み不思議そうに眺めた後…不意に前屈みになる娘。
ぴちゃりと音がし、這わされる舌とぐにぐにと揉みしだかれる陰嚢に思考が断絶させられる。
この感触は数年ぶりに味わう感覚だった。
「ぐ……やめ!やめるん……だっ!!!」
膝を使って無理矢理引き剥がそうとするが、鋼の腕にがっしりと押さえ込まれ更には拘束されているこの身ではまま成らない。
激しさを増す舌は辿々しく、初めて娘がこのような行為に及んだのが判り私に堪えようも無い背徳感と罪の意識を増々思い起こさせる。
「ぷっは……スゲぇ……
こんなに大きくなってやがる。」
銜えきれなくなったそれから口を放し感心したように娘の目が光る。
そして、先端を銜え直したかと思うと…私が先程強く反応を示した亀頭の部分を吸い、歯を立て舌で追い詰める。
「ぐっ……っ……くっ!!エド!!………っ!!!
っぅう…ッ!!」
強い感覚に私の膝が立ち、娘の身体がその勢いで跳ね飛ばされた。
生暖かい舌が一気にそこを擦り上げ…その瞬間、私は射精してしまっていたのだ。
「はぁ……はぁ………っ。」
出した後の気怠い倦怠感と空気を求めてきりきりと痛む肺が目眩を起こさせる。
私が反射的に蹴り飛ばしてしまった娘は擦りむいてしまった手首を舌で舐めこちらをきっと睨んだ。
その顔には私が放ってしまった物がこびり着き白い雫が顎から伝っている。
それをごしごしと手の甲で拭い、手で舐め取り一瞬顔をしかめるとしかめ
「どんな気持ちだ?
実の娘の顔に…思いっきりぶっかけた気持ちは。」
返答を求める様に襟首を掴んで頬を猫のように舐めた娘の目には狂気が棲んでいた。
「エド……もう、やめるんだ!
母さんもこんな事は望んでいない…。」
我ながら力無く呟いた言葉は見窄らしい自己保身だけの言葉だけでしか無い事は判っていた。
「いまさら…いまさら母さんの事を言うなッ!!!」
叫びと腹に重たい物が叩き付けられる感覚。
吐き気はしなかったが、くの字に身体を曲げて苦悶の表情を私は浮かべているのだろう。
だが、この痛みも贖罪なればどんなに楽な物だろう。
霞む目と喘鳴を吐き出す身体。
目の前では娘がその足を開き、羞恥に震えながら幼い花びらを慣れない指で弄んでいた。
くちゅぴちゃと言う音は濡れている証拠の水音。
花びらの上に有る突起に指が触れる度に漏れる声は…雛鳥の儚い歌声の様だ。
「うん……ぁ…………ゥ………んっ!。」
花びらから伝う雫は奥から次々と湧き出、娘の白い太ももにまで滴っていた。
そして…悲しくも私のそれは不浄にも娘に欲情し、先程までの硬さを取り戻しているでは無いか。
「へぇ……娘の自慰でもそこ、大きく出来るんだ?
アンタって最低の男だな。
マジで…こんな男の血を引いてるって思うだけでホントやんなるぜ。」
おもむろに立ち上がり、娘は今だ腹の痛みで蹲る事しか出来ない私の上に馬乗りに跨がった。
「……アンタなら知ってっと思うけど
生き物にゃ近親交配を回避する「本能」ってのがあるんだよ。
人間でも無い限り、んな事はしないと思うけどな。」
卑しくも屹立してしまった私のそこに手を添えて……
「駄目だ!!これは…いけない事だ!エド!」
必死に身体を捩り、行ってはならない禁忌を何とでも止めようとする力は空しくも天には届かなかった。
先端がぐぷりと飲み込まれ、苦悶の表情を浮かべた娘の腰が突如、ガクンと落ちる。
「っぐ………ぁっ…うぁああーっ!!
痛い位に圧迫される感覚と悲痛な程の娘の悲鳴。
そう…私達は犯してはならない禁忌を犯してしまったのだ。
自らの血を分けた半身と契りを結ぶ、人間としての…生物としての最大の禁忌。
破瓜の血が白い太ももを伝い愛液と混ざって流れ落ち、もう戻る事は出来ないと言う事を嫌でも確認させる物となった。
「っ……痛っ………痛ぇ………。」
大粒の涙が伝うその顔は出会った時のトリシャの様で私の心を捕らえて放そうとはしなかった。
ぎこちない動きで娘が腰を動かすと、まだ、硬い処女のそこから痛々しく血が伝う。
「うっ……ぐ!くぅ………もっと
苦しめよ………!ぜってぇ………許さねェ!!っ!」
苦鳴混じりに私への言葉を漏らす桃色の唇は痛みを噛み締めた為か僅かに震える。
ぐじゅっぐぷっ…
厭らしい音が耳に突き、私と娘を繋ぐそこからは血と愛液が混じりあい泡立っていた。
娘の目はその間も私を逃すまいと睨み付けていたが幾度目かの時にその悪態混じりの声には艶が混じって来たようだ。
「っん!……はぁ……っ!なん……いや、違っ!!」
必死でその快感を開きはじめた身体で否定する娘とその娘の中を心地よいとさえ感じ、結果的に受け入れてしまっている私は既に同じ罪の共犯者だった。
その悲鳴が嬌声に変わって来た時、既に娘は自分を失い…貪るように私の上で踊る。
「んっふぁぁ…気持ち……んっ…ぁぁ…ぁん!………やっ!ぁん」
対して私は身動きも取れずに…ただ、捕食されているだけの草食動物のようだ。
「っあ!……もっと!!…………っはぁ!やっあ!あ…はぁ!」
もっと、それが欲しいとでも言うように蕩けた目で花園を擦り付ける姿は7つの大罪「色欲」よりも罪深くそれでいて純粋な獣の様な貪欲さで更なる刺激を求めて肢体をくねらせる。
腰を使い、壁際にその身体を押し付けると腰に足が回された。
7つの罪すらも生温い最大の禁忌は私の理性をもかくも簡単に奪い去り…今では娘と身体を貪りお互いがその歓喜に震え悶えているのだ。
トリシャ、私の唯一愛した人よ…どうか許してくれ。
壁に押し付けた腰を強く突き上げる。
「っぁ!……やっぁああ!
…あっふぁ…!!ゃ!ぁん!!!ぁあっ!!」
「っぐ!」
びくんと身体が跳ねて
娘の再奥がひくひくと痙攣をし、私を包み追い立てた。
それはかつて抱いた妻の様な懐かしいあの感触を伴い自らの半身にそれを構成している物をを注ぎ込む。
達し寒気を覚え始めた身体に寄り添うように
娘が小さく呟いた言葉は…
「俺、本当は凄く寂しかった。
何も言わずに出てったのが許せなくてさ…。
だから…いけない事だって判ってんのに…
縛り付けて置きたかったんだ…。」
あの後も娘がねだるように私を幾度と無く求めた。
私もその罪に溺れきり、もう戻る事すら考えずに…それに応えた。
ガシャン…
突然、地下室の階段口で金属の音がした。
「ね……姉さん?
………父さんも…何で………?
これって……嘘、でしょ…。」
其処に現れたのは…息子のアルフォンス。
いつも、姉の後ろを付いて回っていた気の優しい子だ。
今の私達の姿を目にしたその子は…信じられないのだろう。
面当てを手で覆い、其処から逃げるように駆け出して行った。
賢者の石をその身に抱えたままだと言うアルフオンスはそのまま…行方も知れ無いものとなったらしい。
翌朝、まだ陽の光も昇らぬ内に娘と私はリゼンブールを後にした。
……数ヶ月後
北の大国ドラクマ、そこに二人の人物の姿があった。
金髪金目の一見目立つ風貌。
1人は顎髭に眼鏡の黒く長い外套の男。
追い掛けるように赤い外套の一見少年にも見える小さな少女が付いて歩く。
この親子の秘密を知っているものは此処には…誰もいない。
「あの子は、ここに居ないな…。」
「そうだな…じゃ、もう行こうか?」
塩の柱で滅びたと言う古代都市の住人達よりも重い禁忌を幾度も重ねた私達は…
最初の殺人者カインの子の様に当て所無く彷徨う運命なのだろうか?
答えは今だ出る事は…無い。
(終)