眠り姫にキスを
>984氏

「まったく、どうしたらこの状況で眠れるんだ」
ロイは、そう溜息混じりに呟いた。

東方司令部内の小さな図書館。
小さいながらも、本来ならば国家資格を有する者以外は閲覧することさえ適わない、重要文献ばかりを取り揃えたこの部屋。
つい先刻、資料を探しに。と、この部屋に来たはずのエド子が閉館時間が近づいても全く戻ってこないのを心配して様子を見に来てみればこちらの心配など他所に、机に突っ伏したままあろうことが重要文献を枕代わりにして熟睡していた。

「起きなさい、鋼の」
揺すり起こそうとしてみるが起きる気配は無い。
「そろそろここを閉めたいのだが」
軽く頬を叩きながら声をかけてみても一向に起きない。
ためしに――とりあえず手近な本でガードしながら、耳元で「チビ」と囁いてみる。
幸いにも(?)何の反応も示さない。
さて、どうしたものか。
もう一度、耳元で声をかけてみようか、と思いながらその顔を覗き込む。
と、その時。幼い無防備な寝顔にうっすら隈が浮かんでいたのに気づいた。
おそらく研究に没頭するあまり、ここ数日まともに眠ってなどいないのだろう。
座り心地の悪いこの椅子の上でも、熟睡できるほどに疲弊しきっているのであればそのまま眠らせてあげたいという気持ちはある。

しかし、この部屋にこのまま残すわけにはいかない。
「・・・仕方ないな」
そう呟いて、机に突っ伏すように眠っていた、エド子の背と膝に手を回し、小柄な身体をひょいと抱き上げる。
相当眠りは深いらしく、エド子はこの状況でもまったく起きる気配を見せない。
「いいご身分だな、まったく」

ロイは、再びエド子の顔を見下ろした。
いささか疲労の色が浮かんではいるがいつもの男勝りな表情はどこにも見えてこない、あどけない少女の寝顔。
片方の手足それぞれに機械鎧を装着してもまだ軽い、小さな身体。
この小さな身体で、一体どれだけの重荷を抱えているのだろう。
「エド子・・・」
囁くように名前を呼び、その小さな身体を抱き寄せる。
彼女の背負ったもの全てを受け止めるかのように、きつく、抱き寄せた。






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