俺の幸福の時
>914氏

静かな男子便所。
大便器の蓋を閉じ、ロイに手を置かせる。
四つん這い態勢のロイに身体を多い被せ、両腕を交差させながら右手は左の、左手は右の乳房に重ねる。
ロイの耳の裏に下を這わせる。
声を出すのが恥ずかしいのか、ロイはクチビルの端を震わせながら声を殺す。
静かに胸を揉んでみる。
それほど大きくはないが、それでも指に伝わる柔らかさに俺は興奮を隠せない。

ロイが微かに喘ぐ。

目の前が真っ白になるほどの興奮が湧く。俺は必死に『ロイを貪ろうとする感情』を押さえる。
ただ、暴走して全ての意識を飛ばすのが惜しい。
この時間をもっと味わいたい。そう思った。

ふいに、痛いほど膨らんだ股間が、ロイの尻に当たった。ロイは驚いた様にビクッとする。
しまったと思った。怖いと思われてしまっただろうか。必死さを感じられてしまっただろうか・・・
頭の中に恥ずかしさが満ちてくる。冷や汗に湿った両腕で、女の身体をちょっと強く抱き締めた。
すると、おもむろに手を腕の上に重ねてきたロイ。こちらを見てにこりと微笑んだ。
「して」
クチビルは確かにそう動いた。
そして、口付けをねだる様にクチビルを半開きにし舌出した。
女の腰が股間の強ばりを擦る様に、上下に揺れている。

心臓が爆発しそうなほどに動きだす。
クチビルを奪う様に合わせ、舌で舌を抉る様に絡ませる。
鼻は荒く呼吸をし、空気を吸い込む度にむせ返る様な女の匂いを感じている。
胸を練り上げる様に揉みしだき、腰は下着ごと挿入しそうなほど股間を擦り付けた。
さっきまで必死さを悟られまいと自制していた感情は、霧の様に消え去ってしまった。

触れあう肌が痛く感じるほど敏感になる。目が痙攣し焦点が合わない。
頭に血が昇っているのだろうか。
下にも血が回っているだろうに、よほど血の気が多いのだな。
と、必死にロイを貪る身体とは裏腹に、頭ではそんな事を考えていた。
口の端から涎がポタポタと垂れる。
お互い、どれくらいの涎を飲み下しあったのだろうか。
結構な時間をお互いの愛撫に費やしてしまっていた。
気が付けば、俺はズボンを履いていなかった。
直立する俺のペニスは、挿入を待ってビクビクと痙攣している。
普通の俺なら恥ずかしがってしまうだろう。が、そんな余裕があるはずがなかった。
ロイの匂い。ロイの涎の味。ロイの肌の手触り。ロイの乳房の感触。ロイの尻の迫力。
全てが俺を狂わせていた。

目の前で、四つん這いのロイがスカートの中に手を入れた。
するりと布が擦れる音がする。
しわが目立つ様になった制服のスカートの下から、愛液に濡れたショーツとストッキングが現れる。
薄いピンクのショーツは愛液に濡れて色が濃くなり、その色は月明かりのみの薄暗い男子便所の中でも分かるくらいになっていた。
脱いだショーツをひざ元で止め、ロイはスカートを捲りあげる。
ロイの尻は、薄い紅色をしていた。
汗で水滴ができている。月光に照らされ、淫猥さよりも神々しさが際立っていた。
おもわず、両方の手の平で尻を包み込む様に触る。
直に触る尻は、まさに手に吸い付くと言う表現がピタリと来る触感。
やけどするほど熱した肌は、触っているだけで股間の強ばりを更に強めた。
ロイと目が合う。
潤んでいて焦点が合っていない目。明らかに快楽に目を濁らせている。
口元は弛んで閉じきっておらず、口付けで汚れたまま。
汗で湿った額や頬に、乱れた髪の毛が張り付いている。
普段では見せない。誰にも見せない、淫蕩に溺れた顔。

それを見て、俺は泣きたくなるほど切なくなる。
他人を愛おしくなると言う事は、何故心を切なくさせるのか。
不意に弛んだ目もとを隠す様に、俺はロイに口付けをした。

口付けをしながら、俺はロイの秘部を指の腹で撫で上げた。
ロイはそれに合わせてピクリと身体を震わせる。
秘部は出来上がっている。既に愛液がポタポタと溢れ出していた。

ロイと向き合う。
ロイは耳もとで
『きて…』
とだけ言って微笑んだ。
俺は挿入した。
何も思考していない。自然に身体が動いた。
俺のペニスが膣の奥まで行き、天井を擦る。その時、挿入した事に気付いた。

ロイの膣の中。それだけで達してしまいそうだったが、中の具合は想像を絶する。
が、それ以上に繋がっているその時のこの時間が嬉しかった。

正上位。身体を抱き合い、クチビルを合わせる。
ロイは足を絡め、俺は必死にロイを抱き締めた。
身体を揺らす度、耳もとでロイが声を押し殺して喘ぐ。
段々と頭が麻痺してくる。感覚がなくなっていく。
俺は必死にそれを手繰り寄せようと、ロイを感じようとピストンを繰り返した。

泡立つロイの秘部。滑る膣内に俺は一回目の射精をする。
睾丸が引きつり、イタイほどの射精感が尿道を通る。
口の端から涎を垂らし、ロイは大きく痙攣した。
口から喘ぎ声の代わりに大きな溜め息が出る。
ふと目が合い口付けをする。
ただそれだけで俺の股間は強ばりを取り戻した。
なめくじの様に絡み合う。官能的だが本能の交わり。
当初はそんな感じだった。
だが、時間を得るごとに様相は変わる。

重ね合わせていたクチビルは離れ、身体を限界まで動かす為に呼吸のみ専念する。
情愛を深める為に絡めあっていた手足は、ピストンを少しでも早くする為の道具と化していた。

俺は必死に突き上げる。
そして射精する。
ロイはそれを受け、身体を痙攣させる。
ピストンで掻き出され膣より溢れた精液は、大便器を伝い床に拡がる。
身体をロイの身体に打ち付けながら、最後の射精をする。
顔をロイの胸に預け、大きく深呼吸をした。
俺の頭を撫でるロイ。
「ごめん。少し寝る」
俺はそう言って意識を深く沈めた。

俺とって、一番幸福な時は『ロイに抱かれて眠る』その時。

終わり







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