贖罪
>418氏

「ちゃんと咥えてください、大佐」
大佐の髪に指を差し込み、引き寄せる。むせるように咳き込んだが、無視をした。
「ぁ……ふ…んっうぅ…!」
「苦しいですか?」
でも止めようとは思わない。目じりに涙が浮かんでいるのが見えた。
じりじりと、情欲に火がついていくのが分かる。もう止められない。
「償ってくれるんでしょう…?もっと気持ちよくしてください」

三日ほど前のことだ。錬金術の実験をする、少々危険だが手伝って欲しいと言われた。
私に断れるはずも無い。いや、断ることは無かっただろう。
たとえ危険なことであっても自分を頼ってくれるのが嬉しかった。
だが、その実験は失敗した。その結果、私と彼の性別が入れ替わってしまったのだ。
それからの彼、いや彼女の私への接し方は壊れ物を扱うかのようだった。
きっと、責任を感じているのだろう。性別を奪ったことに。
「償いたい。殴るなり殺すなり君の好きなようにすればいい」
そんな風に、私の元にやってきたのがついさっきのことだった。
「本当に、好きなようにしていいのですね?」
返事を聞くや否や、私は彼女を引き倒し、組み敷いた。その時の、彼女の顔。
怯えたように私を見る目。ぞくぞくする。そう、今私を見ているその目。
「あっ…ふぁ………」
「これが、男の人の性感なんですね…気持ちいいです」
まとわり付く、温かい舌と粘着的な音。羞恥に顔を染めて奉仕する彼女の姿。
隠し通してきたつもりだった狂暴性が、加速していく。
自分から生えている男根に何かが込み上げるのを感じた。一層強く頭を押さえつける。
夢のような、射精だった。
「げほっ…ぅぐっ……げほげほっ!」
「吐かないで、ちゃんと飲んでください」
顎を上に向かせ、白い喉が上下する様子を眺める。扇情的だった。
下腹部に新しい熱が生まれる。もっと、彼女の乱れる姿を見たいと求める。
大佐の服の襟口に手を掛けた。一気に下に引き裂く。大佐の体が身じろいだ。
「あっ…」
現れたのは、生気が失われたような白い肌と、豊かな胸。
元の自分の体と変わらないのに、どうしてだろうか。こんなにも美しいと思うのは。
「綺麗な体…まだ誰も触ってないんですよね」
そう思うとより一層、壊したいという衝動が膨れ上がる。
乳房に手を掛けて、乱暴に揉んだ。勃ち上がる乳首を指先で潰すと喉を引きつらせた。
そして右のほうを口に含む。舌で転がし、歯で甘噛みする。
「…はぁ…ん……」
その声を聞いた後、少し強めに噛んだ。肢体が跳ねる。
反応が面白くて、私は強い愛撫を続けた。まるで子供のおもちゃのようだ。
口で乳首を執拗に責め続けて、手は胸から腹、背、尻と移動する。
すべすべとして触り心地のよい肌を念入りに撫で上げ、感触を楽しんだ。
彼女の息は短く浅く、ずっと何かを吐き出せないようで苦しそうだ。
胸に埋めていた顔を上げた。膝裏に両手を入れて、胸に付くほどに折り曲げる。
苦しい体勢からか、羞恥心からか、大佐が息を詰める。
彼女の体の隅々を眺めた。見られるのがよほど恥ずかしいようだ、足を閉じようとする。
勿論私はそれを許さない。太股の内側をぐっと押してさっきより開脚させた。
「あっ…」
より見えやすくなった性器は、ぬらりとてかっている。
「まだここには触ってないのに、こんなにしたんですか?」
声に嘲笑を含ませた。大佐の顔にさっと朱が上る。指を触れるか触れないかの所へ持っていく。
ひくひく動くピンクのひだが、まるで私を欲しているように見えた。
そのまま、ゆっくり、肉の壁を押し分けて指を挿入した。彼女の体が強張る。
膣内はひどくきつかった。やはり、処女だからだろうか?抵抗が強い。
慣らす様に、指でこねくり回す。大佐はきつく目を瞑って、やり過ごそうとしていた。
しかし、わざと音を立てるようにかき回して、聴覚から犯した。
「や…だ、中尉…いや……」
指を増やす。溢れる愛液で最初よりは滑らかに入った。
「濡れやすいんですね、もうこんなに」
深く指を埋め込んだ。ぶちゅ、卑猥な音が室内にこだまする。そして一気に引き抜いた。
「うぁぁっ!」
大佐が、一際高い声を上げた。秘部と指が、透明な糸で繋がれていた。
咥える物を失って、ひだがだらしなく広がったまま、ひくりと切なげに震える。
自分の屹立したものを取り上げて、そのまま下腹部へ宛がった。
「ちゅ、中…い……」
「もう十分でしょう…入れますよ」
「やだ!止めろ中尉…っそれ以上は」
「それ以上は何ですか?」
「それ…以上は、お願いだから……止めて欲しい」
本気で怯えているのが見て取れた。
でも彼女はそんな風に哀願するほど私を加速させるということに気が付いていない。
「聞けません」
彼女の訴えを無視して、私は入り口に自らでこじ開けるように押し入る。
逃げようとする腰を掴んだ。痛いのだろう。目に溜まっていた涙が筋となっている。
その映像が、どれほど私を駆り立てたことだろうか。
この体になる前から、この人を乱れさせてみたいと、思い描いていたのだ。
跪かせて組み敷いて、征服したかった。
そして、押し返そうとする肉壁を無理やりに貫いた。
「うああぁぁぁっ……!!!」
高い悲鳴が、私の耳を打つ。それは甘く、どんな音楽より私の脳を痺れさせた。
思うままに腰を打ちつけた。溢れる汁には血が混じっている。
彼女の体は私をどこまでも拒んだ。とてもきつく締め上げ、痛みさえ感じるほどだった。
それでも体を進める。より深く、深くと突き刺していく。
「あぁっ、あ、あ、ぅあぁっ!」
喘ぐ声は悲痛なものだ。涙の筋が幾つも幾つも出来ている。体を折り曲げ、顔を寄せた。
睫毛に舌を這わせ、頬、顎、耳たぶと舐めあげる。
「ずっと…」
ずっと、あなたをこんな風に犯せたらと思っていました。耳元で囁く。
「こんな体になったこと、後悔しません」
いや、むしろあなたをこの手で汚せることは幸せなほどだった。
「恨んでなんかいません、全て許します」
こうやって抱かせ続けてくれれば。呪文のように、低くゆっくりと呟いた。
その時、大佐の目が諦めたように伏せられた。おずおずと首に手を回してくる。
「続けて…もっとぐちゃぐちゃに、して、くれ……」
何も考えられないくらいに。その声は、どんな媚薬よりも私の性欲を煽った。
寝かせていた体を抱きかかえ、より深く繋がるような体位をとった。
元の体より、ずっと細くなったことに今更になって気が付いた。
腰を抱え、殆ど抜けるような位置まで持ち上げて、一気に降ろす。
重力も手伝って、私は根元まで飲み込まれた。
また新しい血が滴り落ちた。今の衝撃で裂けてしまったのかも知れない。
気にせずに律動を始めた。理性を手放した彼女は深く疲れるたびに声を上げる。
「ふぁっあ、あ、あァあ、あっ……」
その声の感覚が短くなる。私の吐き出す息も、荒くなっていく。
拒んでいた肉壁は、奥へ奥へと導くように蠢いて、私を放そうとしない。
「大佐…」
愛してます、と言いかけて止めた。だって私はこの人を愛せていない。
ただ、純粋にあなたを犯したかった。その夢は、今、叶えられている。
「…ァ、あぁ、あ、ふぁっ!あぁァああぁっアアぁァァーーー………っ!!!!!」
「うっ……―――」
長く細い悲鳴と同時に、中が収縮する。同時に私も熱を吐き出した。
大きく酸素を求めて、大佐が肩で息をする。その体を横たえて、栓を引き抜いた。
揺れる体を裏返して、四つんばいにさせた。
「…ちゅ、うい……?」
こちらに怪訝な目を向けた大佐は、すぐに次の行動を察して、顔色を変える。
「まだ、です」
まだ足りない。もっと、めちゃくちゃにしたい―――……。
「いやだ!中尉、い…んうぅっ!」
抗議の声は聞かない、と唇を無理やりにあわせて塞いだ。引っ込む舌を、絡めとる。
それが、初めてのキスだった。
再び硬くなった強張りを押し当てると、小さく肩が跳ねた。傷口に触れたようだった。
唇を離し、今度は一息に中に収めてしまった。
「もっと、あなたの壊れる姿を見せてください……」

終わり






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