リザ男とロイ子
>376氏

「大佐、どうされました?」
リザ男は書類をめくる手を止め、ロイ子に問いかける。
ロイ子の手は止まっていた。
いや、完全に止まってはいない。ペンを持つ手は小刻みに震えていた。
「その書類、あと30分で期限なのですが・・・聞いていますか?」
リザ男はやれやれと肩をすくめてみせると、椅子に座ったまま俯いている
ロイ子の顔を覗き込んだ。

一見、ロイ子は柳眉を顰めて何やら考えているように見えた。
だがよく見ると、白い頬はほんのりと上気し、汗ばんでいる。吐く息は荒く、短い。
大佐、とリザ男が耳元で呼ぶと、びくりとロイ子は身を震わせ、思いっきりリザ男
から顔をそらせた。
「大佐、きちんと仕事をしてもらわなければ困ります・・・そろそろ我慢できなくなって
きませんか」

ロイ子の頤に男の指が絡む。抗うまでもなく、いや、もうロイ子は抗う気力すらなかった。
指に誘われるがままにリザ男を仰いだ黒い瞳は、身を苛む情欲にしっとりと濡れていた。








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