お仕置き
>698氏

東方司令部司令官室に幼い声が響いた。
「ヤっ…こんなの、イヤだ…っく」
すすり泣くような少女の声は必死に懇願するが、された方は平然と受け流してしまう。
むしろ満足げに口端を持ち上げていた。
「おや、もう降参かね?それなら私に言うべき言葉があるだろう」
鋼の、と後ろから甘く耳元で囁くが、ロイの指は声とは裏腹にエドの狭い秘部を容赦なく掻き回す。

(何で…こんな事に)

エドが朝も早くここへ来た時からロイの様子はおかしかった。
普段なら温かい笑みを向けるのに、今日に限ってその笑顔は冷たいもので。
まるで値踏みをするかのように彼女の全身を眺めていたかと思えば、珍しく書類が溜まっていない机を離れ立ち竦むエドの二の腕を掴み上げる。
指が回って尚余るその細さに一瞬ロイの手が緩むが、すぐに痛い程の力で引き寄せられ椅子に座った彼の膝の上へと乗せられた。
「た…大佐?」
エドは呼びかけてから気づく。
いつもは煩いぐらい饒舌なのに、今日のロイはまだ一言も声を発していない。
(怖い)
振り向いて顔を見ようにも、彼の広い胸と腕がエドを身体ごと固定しているので僅かに身動きするのが精一杯である。
「大佐?!どういうつもりだよ!!」
もともと気の長くない幼子は暴れ始めるが、当然ロイには全く通じない。
椅子を引くとくるりと後ろに向ける。
エドの視界に綺麗に磨かれた広い窓とその向こうに広がる爽やかな青空、そして下の方には忙しそうに歩く軍人の頭が映った。
「な、に…」
無言が肌を痛めつける錯覚すら覚える。
徐にロイの左手がエドの両手を拘束すると、右手だけで器用に服を脱がし始めた。
「ちょっ…何すんだよ!!!」
ベルトを抜かれ、もがく足を物ともせず厚底のブーツを剥ぎ取る。
後はあっさりと下着ごとズボンを奪われた。
「はーなーせーーっ」
「大きな声を出すと下の人間に見られてしまうよ」
ぴたりとエドの動きが止まる。
「君の細い足も、白いお腹も、まだ綺麗なアソコも、あぁついでだから
 こっちも見えるようにしようか」
そう呟くロイの声に、エドは背筋をまるで氷が滑っていったような寒気が走った。
長い指が機械的に動いて、エドの黒いTシャツを捲り上げる。
ほとんど膨らみの無い胸が白い陽光に曝け出されるが、反応する事が出来ない。
「ほら、鋼ののいやらしい身体が丸見えだな」
薄く硝子に映るロイが硝子よりも冷たい目で、同じく硝子に映るエドを見つめた。
ここへきて彼女はようやく悟る。
彼が静かに、深く怒りを湛えている事を。
「あっ…んぅ、んく」
こんな状況でもくちゅくちゅと水音をたてる自分の身体を憎らしく思いながら、エドは小さな手で必死に口を押さえる。
ロイの脅迫の言葉が決して冗談にならないと判っているからだ。
だが逃げるという選択肢はもう選べなかった。
今逃げれば、おそらくロイは二度とエドを抱かないだろう。
すでに強い快楽を与えられた身体はその予想に怯え、エドから逃げる意思を奪う。
ロイ以外誰も、彼女に快楽を感じさせる事が出来ないのも事実である。
昨日までの旅で、それを嫌という程実感していた。
「ほら、早く言わないと誰かが気づいてしまうかもしれないよ」
優しい口調が残酷な事実を告げる。
「あっ…!!」
広げていた足を更に持ち上げられ、濡れた秘部も、そして奥の窄まりまでもが外界に曝された。
途端、トロリと透明な愛液が溢れ窄まりまで伝っていく。
その様子をどう思ったのか、ロイは微かに目を細めると愛液を指で掬い上げ赤く膨れた小さな突起に塗りつける。
「ダメっ…あ、あぁっ!!」
内腿を震わせて軽く達したエドは荒い息を吐いて身体を弛緩させた。
己の胸にかかる体重にロイが複雑な表情をするが、目を閉じたままの彼女にはそれが見えない。
すぐに表情を消したロイは、徐々に息が整い始めたエドの身体を持ち上げた。
まだ力が入らずふらつく腰を支えて向かい合うように立たせる。
「いつもより簡単にイったようだな。人に見られるのがそんなに好きなのかね?」
「違っ!」
確かにエドの身体は快楽を求めていた。
しかしそれは人に見られるという刺激ではない。
ロイの指が、声が、熱が、香りが。
それだけがエドを堕としていく。
それを伝えたいのに、余韻の残る思考はうまく働いてくれない。
「……っ」
想いを言葉に出来ない悔しさに大きな瞳が揺れる。
そんな自分をひどく惨めに感じて、せめてとTシャツの裾を引っ張ってしきりに下腹部を隠すが両足を濡らす愛液までは隠せなかった。


ふとロイが視線を落とせば、自分も軍服の腿の部分が濡れて青が濃くなっている。
無論エドの秘部から零れた蜜である。
「やれやれ、軍服が汚れてしまったではないか」
大仰にため息をつくとエドの身体が滑稽な程にびくついた。
上目遣いでロイを見る眼差しは多分に恐れを含んでいる。
ついぞ向けられた事の無いその視線が、かえって彼を煽る結果になってしまった。
「察しの良い君の事だ、もう気付いていると思うが」
手を伸ばし、さっきはほとんど触れずにいた乳首を服の上から摘む。まるでサクランボの小さな種のように硬くしこっていた。
「んぁっ!」
こんな些細な刺激ですら電流が走ったように身体を震わせ、エドは冷たい床へとへたりこんだ。
「私は今君に対して非常に怒っている。お仕置きはまだ終わっていないよ」

おいで。

「何をすればいいか、賢い君なら判るだろう?」
そっと囁くと、形の良い頭を撫でる。
サラサラの金糸を指先で堪能して、目を細めた。それだけでいい。
エドの無垢な身体にセックスを教え込んだのはロイなのだから。
すぐに小さな手が彼の股間を弄り始めた。
ジッパーを下ろし、下着の上から震える指が反応を見せ始めたモノをくなぞるとゆっくりと取り出す。
コクリとエドが喉を鳴らしたのが聞こえた。
それが怯えなのか、それとも物欲しさなのかは俯いているので顔を窺えず判らないが、どちらにしても常は強気なあの顔が、朱に染まっている事だけは間違いないだろう。
そんな彼女の姿を、この男は何よりも楽しんでいる。
嗜虐的な喜びに顔を歪めるのと同時に温かく柔らかいものがロイ自身に触れた。
「ん…ふっ…」
エドのくぐもった声にどこか艶を感じる。
ぺちゃっ、と濡れた音をたてながらエドの舌と手が本格的に奉仕を始めた。
すっかり硬く、屹立したモノを歯が当たらない様に咥えるが、身体同様口も小さいので亀頭を包むのがやっとである。
それでもちゅくちゅくと吸われたり、舌先で鈴口を擽られれば、敏感な箇所なだけに思わず腰が揺らめく。
長い竿の部分は両手で扱かれ、裏筋を指先が辿った。
時折口を外して熱い舌で袋を舐められると、瞬間息が詰まる。
「流石だな、鋼の…本当に君は、教え甲斐がある…」
再び咥えられて、右手をそっとエドの頭に乗せると強引に動かそうとした。
その時。

ジリリリリン

硬質なベルの音が、今までの淫靡な雰囲気を払拭する。
突然の物音にエドは文字通り身体が跳ね上がってしまった。
それと共に頭が離れていこうとしたので、ロイは逆に己のモノを狭い咥内へと押し込めてやる。
「ングッッ!!」
抗議の小さな悲鳴は聞き流してさっさと受話器をとった。
「マスタングだ」
何事も無いように平然と喋り出す。
どうでもいい世間話は適当に相槌をうって、重要な情報は脳に記録しておく。
いつも通りの光景だ。
その日常に取り残された少女は身動きどころか呼吸すら満足に出来ずに、ロイの張り詰めたモノを咥えたまま呆然としていた。
下手に動けば電話の相手に覚られてしまうかもしれない。
本当にばれたら危険なのはロイの方なのに、突然の事に混乱しているのだろう。
エドは必死に己の存在を消そうとしていた。
しかしそんな崖っぷちに立つ彼女を嘲笑うかのように、悪魔は指先で背中をつつきバランスをいとも容易く崩す。
「あぁ、その事に関してですが…少々お待ちください」
受話器を机に置き、器用に後ろ向きのまま右側に備え付けられている引き出しから資料を取り出した。
すると下半身も微かに動き、小さな水音がエドの咥内で漏れる。
『いつまで焦らすつもりかね?』
吐息だけで囁かれる言葉に目を見開く。
縋るように視線を向ければ、暗い影を宿した黒耀の瞳がどこか楽しそうに細められた。
『それとも下のお口に入れて欲しいのかい?』
乗せたままだった手に力をいれ、行為を続けるようエドの後頭部を揺すり始める。
「ふ…ぅッ!!」
ロイのイチモツを咥えさせられているせいで喋る事が出来ない少女は、鼻にかかった嬌声にも似た悲鳴で止めるよう訴える。
だがやはり大きな声は出せず、手の動きに逆らうことも出来ない。
その時、電話の相手が部下に呼ばれたらしく会話を中断して離席する。
一応通話口を掌で塞ぎ、エドを見下ろした。
僅かに角度があるのか丸い頬に先端の形が浮き出ていて、あどけない顔立ちとのギャップが男を興奮させた。
「…いやらしい顔だな。電話では映像を送れないのが残念だ」
エドの蜂蜜色の瞳には、ゆったりと微笑む悪魔が映っているのだろう。
彼女の身体が恐怖に震え始めたのが判った。
すでにお仕置きというには度が過ぎているのかもしれないが、もうロイにも止める術は無かった。
「君がいけないのだよ、鋼の。君が…可愛いのがね」
ベッドの中で囁けば、盛大に照れながらも受け止めてくれるだろう台詞。
今は残酷にエドの心を切り刻む凶器でしかなかった。

「続けなさい」

ロイの言葉に、とうとう大きな瞳から涙が一筋零れた。


つづく







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