幼恋心
>27氏

「小さい……」
 何度見ても、何度触って見てもそれに変りはない。
 エド子の、背が小さい事以外のもう1つのコンプレックス。それは、胸が小さい事。同じ年くらいの女の子と比べると、かなり小さい。
 先ほど、町で見た少女たちも服の下からその大きさが見て取れた。
 機械鎧の所為で成長が遅れている。そう自分に言い聞かせても、気になるものは気になる。普段、女らしい生活をしていないだけに、それも影響してしまっているのではとすらおもう。
「何をやっている、鋼の?」
「うわっあっ、勝手に入ってくんな!」
 今のエド子の格好は、上着を脱いで、上半身裸の状態。リザやウィンリィに下着くらいちゃんと身に着けろとうるさい位に言われているが、締め付けられる事が嫌なのだ。それに、悲しいかな、自分に合いそうな品がなかなかないのも現実である。
「相変わらずだな」
「だ〜れが、洗濯板以下のまな板だって?」
「別に胸の大きさや、身長について言ったつもりはないのだが?」
 わかっていて、紛らわしい言い方をした。
 今のロイの言動なら、エド子の姿の事にも聞こえれば、行動に関する事のようにも聞こえる。予想通りの反応に、ロイは内心、笑いが込み上げていた。
「くっそ、何見てるんだ? 出て行けよ!」
 出て行けったら、出て行け。
 まだ、身支度すら整えていないのだ。今の格好では流石のエド子も恥ずかしくて仕方ない。横に置いていた上着を取って身に着けようとしたら、その手を止められてしまった。
「どれ、私が大きくしてあげよう」
「なっ……さわ……んなっ……」
 他人に揉んで貰えば胸が大きくなる。
 そう言ったのは、誰だっただろうか。
「は……ぅ……ぁ……」
「どうした鋼の? 変な声を出して」
 ロイが、そう云う意図で触っているのではないとわかっているのに、溢れ出る声がエド子には止められない。もっと、触って欲しい。そうおもってしまった事に、愕然とした。
 胸を揉まれているだけなのに、体が煽られている。熱くなり始めた体を、止められそうにない。理性で押さえつけようとしているのだが、陥落するのは時間の問題だった。
「大佐……」
 力の抜けた体で、ロイの手に縋りつく。
 何故、自分はこんなにもこの手に弱いのだろうか。
 ロイへの恋心に気づいたのは国家錬金術師になってすぐの頃の事。その頃は、子供にありがちの憧れを恋だと思い込んでいるのだとばかりおもっていたのに、彼の存在が自分の中で大きくなっていた。
「そろそろ、軍議の時間だ。君も、いつまでもこんな所に居ないで、宿に戻りなさい」
「なっ……」
 男は、エド子の体を煽るだけ煽って、部屋を出て行ってしまう。
「大佐の馬鹿やろう……」
 その背に浴びせようとした罵声は弱々しいものだった。
 煽られるだけ煽られた体を、1人でどうすれば良いというのか。このままでは、到底この部屋から戻れそうにもない。
 エド子は、仕方無しに自分の秘所へと手を伸ばした。
 今までに、自分でそこを弄った事など、1度も無い。ロイと、こう云う関係になるまで、性的な事にはまったくといって良いほど知識がなかった。
 錬金術に関しては大人顔負けの知識を持っていても、1人の人間としては子供レベルの知識しかもっていない。色恋事とは無縁の生活を送っていただけに、同い年の子供よりも知識が少ないであろう自覚もある。
「ひゃっ……あぁ……ん……んっ……」
 指は、エド子の想像以上に、吸い込まれるようにして、入っていった。
 でも、これでは足りない。こんなのでは満足出来ない。
 自分を、こんな風にしてしまったロイを恨む。泣きたい気持ちを抑えながら、必至に指を動かしていた。
 それでも、何時まで経ってもイけそうにはない。
 そういえば、女性の場合は、行為の最中でもイけない事があるという話を最近聞いた。自分は、何時もロイにイかされてばかりだったので、その話とは無縁だとおもっていたが、こういうことなのかと頭の中で妙に納得している自分が居た。

 止めよう。

 無理にこれ以上弄るよりも、夜にでもロイの自宅を訪れる方がよっぽど有意義な時間を過ごせそうだ。
 エド子は、上着を拾うと、乱れた服を整えて部屋を出る。
 流石にこのまま宿に戻るのは気が引けて、1度軍のシャワー室に寄ってから宿へと帰って行った。

END







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