大きくなりたい
>878氏
「アル、お前胸を大きくする運動ってどうやるんだか知ってるか?」
「...さあ、知らないけど?」
東方司令部から今日の宿へ帰ってきてから不機嫌そうだった姉さんが、おもむろに口をひらいた。
東方司令部に顔を出す前後はいつも不機嫌だから、別に気にしてなかったんだけど。
「こうやってな、両手を胸の前で合わせて、力をこめるんだと」
いいながら、姉さんは手のひらを胸の前で合わせた。
「ふうん、それって錬成のポーズだね」
「......なんで大きくならねえんだろうな...」
さらに目つきを険しくして、渋々という風に口に出す。
姉さんの背負う空気の重さと、発言内容のギャップに思わず吹き出しそうになったのを必死でこらえる。
気取られないように話をそらした。
「どこでそんなこと聞いてきたの?」
「今日!!司令部で大佐に言われたんだよ!!
『どうして大きくならないんだろうね』って、あのスカした面で!!あんのセクハラ大佐めー!!ガーッ!!」
ああ、もうそれ以上目つき悪くしてどうするの。
枕振り回して暴れないで!!
「ね、姉さん!落ち着いて!
これから大きくなるんだって自分でいってたじゃない」
「むかつくものはむかつくんだよ!!」
そんなに歯を剥き出しにしたら猿みたいだよ!
「...じゃあ我慢して牛乳飲む?」
「それとこれとは話が別!!」
きっぱりと断言すると、不貞寝だ!とばかりにベッドに大の字になった。
姉さんが怒りっぽいのはカルシウムも足りてないのかもしれない、なんて思いながらボクはこっそりため息をついた。
おしまい。