幼馴染
>49氏

「えーっど!」
明るく背をはたかれて、おれはあやうく土手から転げ落ちそうになった。
「いってェ・・」
「おっはよー。もー、探しちゃったじゃない・・ってどしたの、そんな格好で」
そう言って、ウィンリィは、ぴらっとおれの長ーいスカートをつまんだ。
お花の模様の、ひらひらした、ちょっとこどもっぽい布地。
「・・母さんが、たまにはいいでしょって」
できるだけすまして答えた。だけど内心、落ち着かなくてしょうがなかった。
「えぇー? あんなに嫌がってたのに?」
そう。
キュロットくらいならはけても、これだけはやだって言ってたのに。
「うるせえ! なんでもいいだろっ、ばーか」
ウィンリィはきょとんとした。
「へんなエドぉー。おっかしいんだあ」
ぶたれたみたいに、頭がぐらっとした。
そうだよな、おかしいよな。
誰に見られなくないって、ウィンリィに見られるのがいちばん、いやだった。
だって、どう考えてもそれはおれには似合ってなくて。
ウィンリィがいっつも着てるような服だったから。
それでも、アルや母さんが褒めてくれるから、ちょっとは女の子らしく見えるのかなって、やっとはけた服だったから。
うじうじと思いつめちゃうところが、ウィンリィにはおかしかったんだと思う。
母さんとアルが可愛いって言ってくれた時のどきどきとか、そういう恥ずかしい姿まで、
おとなびたウィンリィには見抜かれてしまった気がして、すっごく傷ついてしまったおれは、とち狂ってスカートを脱ぎにかかった。
「もういい! こんなの、こんなのっ」
「ちょ、ちょっと!」
さすがにびっくりしたのか、ウィンリィが止めると。
どこにどう力がかかったのやら、せっかくのスカートがぴーっと裂けてしまった。
いっぱいいっぱいだったおれは、とうとうべそをかきはじめた。
そこで大弱りしたのがウィンリィ。ごめんねごめんねって、一生懸命謝ってくれた。
自分は悪くないのに謝るウィンリィがうれしくて、申し訳なくて。
おれも、ちゃんと自分の気持ちをつたえて謝ろうと、がんばった。
「あいつ、あいつから手紙がきて、」
「あいつって、だあれ?」
「・・父さん」
「あ、そか・・ごめんね」
「予定だと、今日こっちに帰ってくるからって、だから母さん、すごくうれしそうで」
ウィンリィは、はっとしたように口に手を当てた。
「それで、スカートを・・?」
もうのどが詰まって、なにも言えなくなった。
"きっとお父さんもエドに惚れ直すわよ"
いつになく晴れやかなお母さんに向かって、わがままなんて言えなかった。
あんなやつのために、お洒落なんてしたくない、なんて。
うそばっかり、本当は似合ってないんでしょう! とやつ当たりしたくっても、できなかった。
男の子にしか見えないおれが、こんな、ウィンリィがいつも着てるみたいな格好したって、ぜんぜんだめなのに。
おれにはほんっとうにそう思えたのだけれど。
ひとから見れば吹き出しちゃうような、なんでもない悩みなのも、ぼんやりとだったけど、分かっていた。
だから、途方に暮れて、ひとりでぼーっとしてたんだ。
「ごめんね、あんたはいじっぱりだから、さぞ恥ずかしかったでしょ」
「は、恥ずかしくなんかっ」
「でも」ウィンリィはおれの胸のあたりに手を当て、「ここがぱんぱんで、苦しかったでしょ?」
よしよし、なんてウィンリィが頭をなでてくれるものだから。
「・・えらかったね、エド」
ほっとして、ぼろっと涙をこぼした。

「よーっし」
ぴん、と糸を噛み切り、ウィンリィは伸びをした。
そして、ウィンリィの部屋のベッドに座ってるおれを、振り返る。
「これでおっけぃ」
おれは口をあんぐり開けた。
「すっげー! ぜんぜん分かんないよ!」
そーでしょおー、とウィンリィは胸を張った。ウィンリィは手先が器用だ。
「運針もあんたの母さんのを真似といたから、まずバレないはずだわ」
大きなお針子道具をてきぱきと片付けながら、ウィンリィはちょっと頬をあからめて、いつまでもスカートをながめているおれを指さした。
「ほらぁ、さっさと着ちゃいなさいよ。恥ずかしいじゃない」
忘れてた。おれは下がぱんつ一枚なんだった。
へどもどしながら、慣れないスカートをはく。
「ああ、逆よ逆、先にしめちゃわないと・・やだ、服が食い込んでるじゃない、ちょっと貸してみなさいよ」
ウィンリィがおれの腰に手を回すから、ゆでだこみたいにかーって顔が赤くなっちゃった。
ウィンリィのきれいな髪がさわさわって足をくすぐって、びくってなっちゃったり。
「や、やだあ、エドってば」
ウィンリィは無理に笑った。
ウィンリィも、すごく顔が赤かった。
「えっちだあ」
「ち、ちがっ、これはウィンリィがっ」
「あ、あたし!? あああたし、えっちじゃないもんっ」
ぷいっと横を向いたら、スカートがすとんと床に落ちた。
「きゃ!」
くすぐったい空気に耐えられなくなったウィンリィが、とうとうぷーっと笑い出す。
「あーもー、ほんっとーにあんたってば、恥ずかしがり屋よねえ」
そして、続けてこういった。
「かっわいー」
――びっくりした。いっぺんにどきどきが二倍くらいに跳ね上がった。
か、かわいいだって!
ウィンリィのほうがかわいいの、分かってるくせに。
「ばかにすんなっ!」
おれはスネた。
するとウィンリィは、ぎゅーっとおれに抱き付いてきたのだった。

おれはすこぶる本気で怒った。
「やめろよ! やだって!」
嘘だった。本当はウィンリィの、ぽやぽやの腕とか、胸とかにどきどきしてた。
だからこそ、抵抗せずにはいられなかったんだ。
「はいはい、あばれないの」
これがウィンリィでなければ、ぐーのひとつもかますところなのに。
「だいじょうぶ、だいじょうぶよ」
やたらにひっかくのら猫でもあやすように、ウィンリィはおれの頭をなでた。
「エドはかわいいんだから」
ほら。またそんな嘘を言う。
「・・リィのほうが」
「ん?」
「ウィンリィのほうが、可愛いもん」
「えーっ・・」
今度はウィンリィが照れる番だった。また、ぽぽぽっと顔が赤くなる。
ぶんぶか手を振り回して、しどろもどろ答えた。
「あたしは、だめよー・・だってほら、うるさいし、すぐ怒るし、いたずらして叱られてばっかりだし」
「で、でも! あかるいし、楽しいし、大人っぽいし、すんごいこまかい機械だって作れるし、さっきは裁縫だって」
ウィンリィはもう一回、あたしなんか、とか呟くと、それっきり横を向いちゃった。
意外、だった。
こんなに可愛いウィンリィが、自分なんかだめだって言うなんて。
もっともっと励ましてあげたくて、今度は自分からウィンリィにすり寄った。
ウィンリィのぷくっとなめらかなほっぺたが、おれの頭にむにっと押し付けられる。
やさしい手が、おれの髪をすべる。
「・・」
「・・」
お互い何も言えなかった。緊張で、かちこちだった。
急に、さっき言われた『可愛い』って言葉が、すんなり胸にしみてくる。
ウィンリィも、なのかな。
ウィンリィも、こんな気持ちだったの?
「あのさ、エド、知ってる?」
ウィンリィは突然妙なことを言い出した。
「女の子同士は、恋人になれないんだってさ」
「・・うん」
「どうしてなのかなあ」
寝たまま、首を器用にひねる。
「へん、じゃないかなあ? 好き同士でも、だめだなんてさ」
そう言ったウィンリィの声は、調子っぱずれの楽器みたいに、震えていた。
「・・うん。へん、だよね」
おれも、いがらっぽい声でうなずいた。
ウィンリィの喉がこくっと鳴る。
「あたし、知ってるんだ――どうしてだめなのか」
おれの耳が、燃えているように熱かった。
ウィンリィがささやく。とても大事な事を打ち明けるように、そっと。
「えっちなことができないから、なんだよ」
おれたちはまた黙ってしまった。
ずきんずきんとこめかみが痛む。
「出来る、よ」
おれは、やっとそれだけ言った。
「できるよ、その、女の子同士・・でも」
「うん」
ウィンリィはうわのそらだった。
「・・知ってる。でも、だめなんだって、したらいけないことなんだって」
「だけど、好きな人同士ですること、なんだよね」
「そうだよ」
「そういうの、ムジュンしてるっていうんだよ」
おれたちは、指と指をからめて、手をにぎった。
ぽちゃっとしたウィンリィの手は、かすかに汗をかいていた。
なにかおおきな予感のようなものがして、くらくらする。
「エドは、あたしのこと、好き?」
「――うん」

きゃあっと悲鳴をあげるウィンリィ。
「よかったあ、あたしてっきり、へんなの、気持ち悪いって言われるんだと思ってた」
「そんな!」
そんなこと、あるもんか。だっておれは、もうずっと前からウィンリィに触ってみたかったんだから。
「あたしも、好き、エド」
「ウィンリィも」
胸の底がじわっとあったかくなっていく。
「・・あのさ、ウィンリィは、してみたい?」
「うん、して、みたい」
ウィンリィはそっと、おれの胸に触れた。
うわあ。心のなかで悲鳴をあげる。触られてる。もうどきどきして、死にそう。
すっごく恥ずかしい。でも、もっと触って欲しかった。
おれもあわせて、ウィンリィの胸に、さわった。むにゅっとして、とってもあったかかった。
「おれも、してみたい。――へん、かな?」
「ううん」
「気持ち悪い、かな」
「ちっとも! だって、恥ずかしがってるエドって、とってもかわいいんだもん・・」
そしてウィンリィはむちゅっとおれにキスを、した。

ウィンリィのくちびるは、びっくりするくらいふにゃふにゃだった。
歯に当たったらそれだけで壊してしまいそう。血が、つうっと出てきそう。
きゅーっと押しつけあって、やがておれたちは顔を離した。
「・・ねえ、ウィンリィ」
「なあに?」
「さわってみたいな」
おれはそっと、ウィンリィの胸を、服のうえからなでた。
そのあとで後悔する。おれ、今、すごい事言ってるんじゃあ。
「いいよ・・さわって」
「違うんだ、あのね、服のうえからじゃなくて」
すそのところからするっと指先だけ入れたら、ウィンリィはちょっと肩を硬くした。
「じかに・・ウィンリィのからだ、気持ち良さそうだから」
とまどいながら、やがてウィンリィはひとつうなずいた。
「いいよ、もちろんだよ」
おれはほっとして、ため息をついた。
服の間に手を入れて、ぺたっと、ウィンリィのおなかをさわる。
指がぷにと、かるく埋まった。
ぺた、ぺた。
ゆっくり時間をかけて、肋骨を数える。いち、にい、さん――
「ウィンリィ、ぷにぷにしてる」
「うーっ・・どーせあたしは太ってますよーっだ」
「太ってないよ、すっごくやーらかくて、好きだよ」
「あーあっ、エドはいいよねー」
ウィンリィはとつぜん、おれのシャツをがばっと持ち上げた。
「――わああっ!」
はだかの胸に、窓からの風が当たって、おれはびっくりしたやら恥ずかしいやら、変な声を出してしまった。
「う、ウィンリィ!」
「ううっ、やっぱりほっそーい・・おなかぺったんこー・・」
「服、服やめて、見ないでったら!」
「でもー、ちょーっとおムネがさびしーかなー・・っと」
ウィンリィは、おれの胸を、ぺろんっと舐めた。
そのとたん、背にぞくっとしたものが走った。
「や・・ひゃっ!」
「おお?」
ウィンリィはぱっと顔を明るくした。
ちょっとしたいたずらを思いついたときの顔だった。
おんなじように、アイスクリームみたいに、べろんって。
な、なんだろう、なにこれ、へんな感じ――なんだかくすぐったい。
「うくく、やだやだ、やめて、やっ、あはは」
「あ、こら、逃げるなっ」
そのうちに、だんだんウィンリィも悪ノリしてくる。
なまあったかいウィンリィの舌。
ぺちゃっとされると、すごくくすぐったいのに、ちょっとぴりっとする。
頭がふわふわしてきた。
そしてウィンリィは、てらてら光るまで、ぐっしょりとなめてくれた。
ぼーっとしてたから、ウィンリィが真剣な顔しておれを見つめてるのに、しばらく気がつかなかった。
なに、ひょっとしておれ、変な顔してた?
不安になったおれは、ふざけて、ちょっと強引にウィンリィの服も引っ張った。
「もー、やったな」
ウィンリィはいやがらなかった。
ぼたんがぷち、ぷち、と外されるのを、まるで熱があるときみたいな目で、ひとごとのように見てる。
おれはなんだかぞくぞくしながら、ふくらみかけのウィンリィの胸に口を押し付けた。
ウィンリィの肌は、なんともいえないいいにおいがして、とってもおいしそう。
お花のサラダに似てる。すぅっとさわやかなにおいがして、ちょっとしょっぱくて。
ウィンリィは色が白いから、ゆきくれないの花のイメージだ。
「エド・・」
ウィンリィが、おれの腕を頼りなさそうに引っ張った。
こんなウィンリィは、はじめて見る。
「うえのとこ・・てっぺんのとこ、もっと、して・・」
乳首のところを、ちょっともったいつけて、口先で包み込む。
「あは、それいい・・すてき、もっと・・」
言われるままに、おれはほっぺたをへこませて、ちゅううっと吸った。
ぺろりぺろりとやるたびに、ウィンリィはとろんとなっていった。
「エド、ねえエド・・お願い、こっちも」
ウィンリィはおれの腕をつかんだと思うと、引いた。強い力だった。
よろめくように手をついた場所は、足のつけねの。
ウィンリィのそこは、きれいな桃色をしていた。
「あ、あの、ウィンリィ、おれ、どうしたら」
「どう・・って、エド、したこと、ないの・・?」
うなずくと、ウィンリィはきゅっと目を丸くした。
「いいわ、じゃあ、先にエドをしたげる。足、どけて?」
「で、でも」
「いいから。だいじょぶだから」
恥ずかしかったけど、気迫に押されて、ふっと力を抜く。
そしてウィンリィは、指でくにっとひだひだを割り広げた。
「い、いたっ」
「あ、いたい? ごめんね」
自分でもあんまりじっくり見たことがないところだから、なにがどうなってるのかよく分からないけれど、どうされても痛いだけだった。
ウィンリィの指が、硬い鉄かなにかみたいだった。
「うあ、いた、いたた・・、ウィンリィ、痛い」
「ここ、こうしてると・・気持ち良くない?」
「いいよウィンリィ、おれはいいから」
つらかったので、おれは飛び起きてウィンリィもベッドのうえに引きずり倒した。
「ウィンリィのしたいとおりにしてあげるから。ね?」

「・・笑わないでね」
ウィンリィはそう言って、ゆっくり足を開いた。
付け根に、桃みたいにぴっちりすじが入っている。周りに、薄くお日様色のうぶ毛が生えていて、なにかの果物みたいだった。
すなおに、なんだかおいしそうだと思った。
さっきウィンリィがやったみたいに両手の指で薄皮をひっぱると、くぷっ、と音と・・
なんだろう、透明な、つばみたいな、涙みたいな、そんな感じの泡とを立てた。
いちばんてっぺんに三角形の、薄赤い魚のひれみたいなのがつきでていて、その中につるんとした、ざくろの実をもっとピンク色にしたようなのがはみ出ている。
「すごぉい・・初めて見た」
「あたしも、はじめて見せた。・・照れちゃうね」
舌を出して笑うウィンリィ。
「ここを・・」
ウィンリィがうっとりとした動作でおれの手を取って、小粒のざくろにみちびく。
ここを触ればいいんだなと思ったおれは、ぷちゅっとそれをつまんだ。
「ひゃ、いたあっ!」
「あ、ご、ごめん」
さっきウィンリィにされたときの痛みを思い出しながら、よくよく気をつけてもう一度。
「・・いたくない?」
「ん・・へいき」
つきでたところが、くむくむと、たよりなく右に左に流れる。
あんまりつるつるで、指紋のざらざらがこすれても痛そうだと、おれは心配になった。
「ほんとに、へいき? ウィンリィ・・ねえ」
くちゅり、くちゅりといじる手を止めて聞くと、ウィンリィはうらめしそうにぷるぷる首をふった。
「い・・いたいの?」
「そうじゃないの、ね、やめないで・・」
おれは、犬みたいに自分の耳が動いたような気がした。
外からは小鳥の鳴き声と葉ずれの音が聞こえる。静かなのに、ここは静かじゃない。
音はしないけど、大きな流れのようなものが、熱気みたいなのがどろっと渦巻いている。
ウィンリィがつかんだシーツは、ベッドの端からとうにはがれて寄っている。
「ウィンリィ、かわいい」
まるくこねこね、とぷとぷつっつき、にゅくーっとひっぱり。
「えど・・もうちょっと、もっとゆっくり、っふあん! あ、それ、たぶんそれが、」
「いいの?」
「いいの! もっともっとして、あ、ああ・・」
小魚みたいにぴくんぴくんと跳ねるウィンリィのからだと、焼けただれたみたいな声に、なんだかおれも体がぞわぞわしてきて、ふともものやわらかいところがむずがゆくなってくる。
「ああ、えど、えど大好き、もっとしてぇ・・はぅ」
「おれも、好き」
どきどきして、ついつい指に熱がこもって、やさしくしなきゃと思っても力が入ってしまう。
ぐぷ、と、ちょっと痛そうな感触がして、思わず手を引いたら、
「やあ、やめないで!」
びっくりした。泣いてるのかと思った。それくらいウィンリィは切なそうだった。
「いい、おねがい、あぁっ、いやぁ・・はぁ、えど・・」
「いたくない? もっとするよ? ぐにぐにってするよ」
「して、してぇ、お願いもっと・・んっ!」
おれもだんだんどうしたらいいのかをつかめてきた。
ちいさくはやく動かし続けるのがいちばん良いみたい。
「えど、すごい、じょうずっ!」
いつのまにか、真っ赤なつぶが、ぷくっとふくれている。
手が痺れるまで一生懸命、おれはまさぐった。
震わせるようにしながら、おれも知らないうちに足をさすりあわせてしまう。
ぐにゅ、ぐにゅ。音がする。ウィンリィはきゅうきゅう泣いてる。
なんかおれも、頭がへんになったみたい。
ぼうっとしながら、こわれた機械みたいにかたかた腕を動かす。
「あぅ、そっちも、えど、そこも、いいかも・・はうぅ」
さけたところのしたの方、なんだかべたべたで本当はあんまり触りたくなかったけど、ウィンリィがせがむので、おれはじくじくとろとろのそこをそうっとかきまわした。
「んぅ・・いいよぉ、あぁ、えど・・」
ウィンリィは自分の指をくわえてた。三日月型に、いくつかしろっぽく後が残ってる。
からだ全部でウィンリィは喜んでる。肩も足もうねらせて、服が汗でべったりだ。
やわらかいお肉が、ひく、ひく、と動く。縦に指をうめこんだら、指のつけねあたりが中心になってうごめいてるのが分かった。
そのあたりもいっしょにとんとんしはじめる。
なでて、こすって、うにうにして。

つきん、と、手首がちょっと痛んだ。
「ウィンリィ、もう手がくたくただよ、おしまいにしよ」
「やぁ・・もうちょっとだから・・」
「でももう、お昼の時間とっくに過ぎちゃったよ」
「もうちょっと! お願い、ね、エド」
「・・うん」
ウィンリィがあんまり真剣なので、おれはうなずいた。
もうずっとウィンリィは、顔を真っ赤にしてうんうん言ってる。
ずるいなあと思った。一人で楽しそうにしちゃってさ。
でも、すっごくかわいい。
ぐに、ぐに。ぐに・・
「――あぁっ!」
ウィンリィは大きな声をあげて、その拍子に手をびくっと突き出した。
その手がおれのほっぺたに、がつっ、って当たった。
「いってぇ・・」
はあはあ息をしてるウィンリィをよそに、おれはうめいた。
「・・あぁ、当たっちゃったぁ? ごめんー・・」
ウィンリィがへにゃっと笑う。
「あ、さわらないで!」
「え・・」
「いいの、もういいのよ。ありがとっ、エド」
「――? う、うん」
よく分からないなりに、おれはあいまいにうなずいた。
「気持ちよかったあ・・」
「そ、そう? なら良かったけど」
「あっつーい・・汗がべったべた。お風呂はいりたい」
「ベッドめちゃくちゃにしちゃったね」
「うん。ばっちゃん帰ってくるまえになんとかしなきゃ・・あー、でも」
ウィンリィはぎゅっとおれに抱き付いて、
「そのまえに、エドもちゃんと気持ち良くしてあげないと、だね」
その時、ぐうっとおなかが鳴った。
二人でくすくす笑いながら、おれは言った。
「その前にごはん! ね?」


おしまい







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