裏鋼風味〜レストラン編〜
>136氏
「あまえんぼさんだな。ほら、あーん」
「たっ、大佐ぁー!?」
周囲の視線をものともせず大佐はデザートののったスプーンをアルの口元に差し出す。
「も、もう止めてくださいよ!からかわないでくださいっ!罰ゲームにしたってひどすぎますぅ……」
「なに言ってるんだね君は。デートだろう?」
そう言って大佐は事も無げにアルの口にスプーンを入れる
恥ずかしさに顔を赤らめながらアルはつぶやいた
「ホークアイ中尉に言いつけてやる」
事の始まりは例によってエドが大佐に勝負を挑み返り討ちにあったことにある
いつものように大佐にちょっかいをだされている兄を迎えにアルが大佐の部屋に向かったときだった
「ふはははは、ではアル君は私にまかせたまえ」
「ちくしょー!おぼえてろー!」
「に、兄さん?!」
「さあ行こうかアル君。7時から予約を取ってある。その前に服もあつらえてもらわなくてはな」
大佐の部屋から悔し泣きしつつダッシュで走り去っていくエドに続いて出てきた大佐に訳もわからぬまま拉致られて今に至るわけだが、勝負の景品としてアルのデート権がかかっていたらしいことと、例によって兄が返り討ちされたことは理解した
大佐の机の上に空の牛乳瓶が二本置いてあったし
食事を終えてレストランを出るとアルは安堵のため息をついた
プレゼントされた服もかわいいし、食事もおいしかったけど、それ以上に典型的なデートコースが気恥ずかしくてたまらなかった。が、追い討ちをかけるかのように大佐はいつのまに呼び出した車の扉を開け、アルに乗るように促す
「今日はごちそうさまでした。でももう遅いし、兄さんに迎えにきてもらいます」
アルは嫌な予感がして後ずさる
「ん、何をいっているのかね」
「え」
大佐はアルの肩をぽんと押して車内に押し込むと、自身も運転席に座り車を走らせた
「明日からGW、遅刻の心配もない」
「あのー」
「全く、何のためにそんな服を着てもらったと思う?脱がすためだっ!」
「あわわわわわほホークアイ中尉にいいつけて・・・・・・」
「ははははは!ホークアイ中尉もGW休暇中だ!残念だったなアル君。恨むなら鋼のを恨みたまえ」
「兄さんのあほーっ!!」
終わり