遅刻の訳
>563氏
正午を大きく過ぎた頃。やっと出勤してきたロイ=アームストロング大佐。
執務室に入ると、眉間にしわを寄せたリザ=ホークアイ中尉が出迎える。
「・・・おはようございます、大佐・・・」
「嫌みかね。ホークアイ中尉・・・」
「そうです。分かりずらかったですか?」
あからさまな責めの視線に溜め息を吐くロイ。
(・・・久し振りなんだから、多めに見てくれても良いもんだと思うが・・・)
「大佐」
ぶつぶつと愚痴りながら席につこうとすると、相変わらず眉を顰めたリザが足早に近寄ってくる。
「な、なんだ?」
思わず仰け反るロイ。内心、愚痴を聞かれたかとビクビク。
だが、リザは胸ポケットから折り畳みの鏡を取り出す。
「首元に後が付いてます。みっともないので隠してください」
あっ!!と首元を手で隠し、真っ赤になりながら襟を整えるロイ。リザは溜め息を付く。
「あと、口紅にパセリが付いています。これから会議ですのでメイクを直してきてください」
「うっ・・・ホントだ。でも出る時にちゃんと直したはずなのに・・・」
ぎょっとした顔で鏡を覗くロイ。
「・・・朝食はエドワード君と御一緒ですか?」
「あっ!!別れ際のキス!!!」
いらない事まで声に出していまい、再び顔を赤く染め化粧室へ走り出す。
(エドワード君が来て明るくなったのは良いけど・・・ちょっと浮かれ過ぎね・・・)
軽く溜め息を着きながら、リザは午後の会議に使う資料をまとめだした。