素顔のままで
>138氏

軍人という職業柄こういうことは馴れていた。
が、馴れているとはいえ馴染めるものでもない。
軍帽を目深にかぶり直すとちらりと横を眺めた。

泣かない未亡人の背中が、晴れた空に妙に馴染んでいた。




「マース、おい、マース!!」
呼ばれて振り向けば、士官学校以来の親友が髪を振り乱しながら走ってきた。
「おおマスタングじゃねーか。なんだ、いつ中央にきたんだ?
 お前も国家錬金術師の採用試験がらみか?」
「ああ、試験管に任命されて……いや、私の事はどうでもいい。
 さっき事務局で聞いたんだが、お前が軍を辞めるってのは本当なのか!?」
「辞めるなんて大袈裟だな。ちょっと休暇をもらっただけだよ。
 お前にもそろそろ連絡しようかと思ってたところだ」
そういいながら愛おしげに腹部を撫でた。
「そろそろ4ヵ月目なんだ。軍の仕事はけっこうハードだし、ここいらで区切りを付けておかないとな」
それに……
ナニを思い出したのか、ヒューズの目尻がでれっとさがる。
「仕事してると無茶すんなってグレイシアが怒るんだよ」
やばい。そうロイが思った時には遅かった。
「いやー、グレイシアって本当に可愛いよな。
 怒った顔もキュートっていうか、こう、腰に手をあてて、
 『マースは妊婦の自覚が薄いんだから、もっとしっかりしなきゃダメでしょ!』ってな……」
クネクネとしなを作りながら続けられるグレイシア自慢に、ロイは脱力感を覚えずにはいられない。
「相変わらずだな、マース。確かにグレイシア嬢は可愛らしいが………」
「そうだろそうだろ、お前にもグレイシアの可愛さがわかるだろう
 ………ってマスタング!お前まさかグレイシアを狙ってるのか!??」
とたんにマースの目に殺気がこもる。
「おいおいおいおい。グレイシアに手ぇだしてみろ…ただじゃおかねえぞ………?」
「落ち着けマース」
「俺は十分落ち着いている」
「…………そうか。なら、まず私の眉間に銃の標準をあわせるのを止めろ」
チッという舌打ちは聞こえなかったことにする。
「何度も言っているだろう、いいかげんに信用してくれ。確かに私は女好きだしグレイシア嬢は可愛い。それは認める。だが、だが彼女は」
ほんの一瞬だけロイの顔が苦しげに歪んだ。
「…………アイツの妹だ」
マースはそれに気付いたがあえて何も言わなかった。
「亡き友人の妹で、お前の義妹だ。いくら魅力的でもそんな娘に気軽に手などださんよ」









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