No Way to say
24氏
イーストシティの書店で販売している、女性誌はどれもバレンタインデーの特集ばかりだった。
今流行中の服やバッグ。それに化粧品の紹介などもしてほしいが、バレンタインデーの季節だけあって、どの雑誌もチョコの作り方とか、告白のしたかたなどと、そういうものばかり特集していた。
エド子は、そんな雑誌の一つである「イーストシティラヴ」というピンクの雑誌を、穴があくほど見つめていた。見ているページは、もちろん。チョコの作り方の特集のところだった。
久しぶりに休暇をとることにした、エルリック姉弟はイーストシティ内の軍の宿泊施設に泊まっていた。
エド子は、部屋からアルを追い出し、完全に一人で部屋を独占し、独り言を言いながら、ずっと雑誌を読んでいる。やはり女の子。いつもは男勝りで強気な彼女だがバレンタインデーは誰かにチョコをあげるともりだった。
「チョコマフィンに・・・・・チョコレートケーキ・・・・・うわっうまそう〜。」
たまに雑誌に載ってあるお菓子の写真に心を奪われているが、本音は世界一のチョコを作りたい!らしい。
ひそかに顔がにやけていたが・・・・・。
「やっぱ大佐は大人だし・・・・・・ビターチョコレートの方がいいのか・・・・・?」
うーん、と顔をかしげながら大佐を頭に浮かばせる。だがいつもの無能面しか浮かばず、ブンブンとエド子は首を振って、頭の中から大佐を消した。
「なになに・・・・・25を過ぎたらミルクチョコレートよりビターチョコレート・・・・・ほら、やっぱり!」
自分が思っていたことが雑誌に書いてあったので、エド子は顔を明るくさせる。
「だよなー。ミルクチョコレートだと、糖尿病になるしなー。」
そんなことはないと思うが。
「よし、ビターチョコレートに決定!よし、作るぞ!」
勢いよく立ち上がって、ガッツポーズを決めるエド子。と、その時。
「姉さん、そろそろ・・・・・・・・・・・・・あ。」
「お?」
ガッツポーズをした瞬間、痺れを切らしたのかアルが突然入ってきた。
実は今のエドの格好は、ピンクの淡いブラとスパッツ。
ぶっちゃけ言っちゃうと、見られては恥かしい格好なのだ。
「あー・・・・姉さん、ごめ・・・・・。」
「アルぅ・・・・・・・見たなー?」
「ごごごご、ごめっ!!」
「出てけええっ!!」
パンッ!と聞こえたと思うと、アルは廊下へと飛ばされた。