なんとなく
>226氏

ある日の軍東方司令部。
本来なら軍人たちの喧騒で少々賑やかなのだが今は何故か静まり返っている。
何故かどこかからか爆発音が聞こえてくる。
よく見ればあたりには黒くこげた軍人たちが転がっている。
と、突然壁の一部が崩れてそこから一人の男と一人の女が飛び出してきた。

「大佐殿!その性癖を我輩が修正してさしあげますぞ!」

その言葉と同時に女の方は地面にその拳を突き立てる。
すると地面からトゲがはえそれが男に向かって突き進んでゆく。

「私は彼女にまだ何もしていないと言っているだろうが!」

男、ロイ・マスタングはその攻撃をかわすとすかさず逃げ出した。
その後を女、アレックス・ルイ・アームストロングはすぐに追いかける。

(くそ!相手が男だったら遠慮なく燃やせるのに!)

そんなことを考えながら必死に攻撃をかわし続けるロイ。

(鋼のめ!後でかならずおしおきしてやるぞ!)

このようになったのは10分前、鋼の錬金術師エドワード・エルリックの一言にあった。
その日は、ここ数日降り続けていた雨がようやくやみ久しぶりに青空が広がっている日だった。
雨が降っている間ロイはホークアイ中尉の「雨の日は無能」発言を思い出しかなりストレスがたまっていた。
その時、エドが東方司令部にいると聞いたロイは彼女を呼び出しからかうことでストレスを発散しようと思いついた。
早速エドを呼び出しからかってみたらエドは面白いほど単純にこちらの挑発に乗りこちらに殴りかかってこようとするが後ろで弟のアルが必死に抑えているのでできないでいる。
それを見て、気が晴れた彼はエドに

「それより鋼の。今夜食事に行かないか?」

と他の女性にたいして言っているのと同じ事を言った。
周りの部下や友人は、またかという顔をしながら彼を見ていた。
その言葉にエドは多少顔を赤くすると顔を俯かせて誘いを受けるかどうか考え始めた。

(いける!)

そうロイは確信した。
その場にいた友人のヒューズがエドに

「やめといた方がいいぜ。そいつロリコンだから食事の後何されるか分からないぜ?」

というまでは。
もちろんロイもヒューズが冗談でそんなことを言ったのだとわかっている。
自分に守備範囲はないと彼は知っているからだ。
ヒューズの発言を訂正しようと口を開きかけたときふとエドのほうを見ると、彼女の口元に笑みが浮かんでいた。
何故か嫌な予感がしたロイは彼女をこの部屋から引っ張り出そうと彼女の腕をつかもうとした。
だが彼女はそれをかわすと

「大佐がロリコンなのは知ってますよ中佐。」だって私が大佐と始めて会ったとき当時11才だった私の胸を思いっきり揉んでくれましたから」

と言った。
その時ロイは世界中から音が消えたように感じた。
彼女にこれ以上喋らせたらやばいと感じた彼は彼女を止めようとした。
だがそれよりも早く彼女は続きを喋りだした。

「しかもその後私にキスしようとしてきたんですよ」

そう言って顔を両手で覆い泣き出した。
終わったと思った。嫌な汗が背中を大量に流れていくのを感じた。
誰かが自分の肩に手を置くのを感じ振り返ると怒りで引きつった笑みを浮かべたルイとヒューズが立っていた。

「・・・大佐殿、少々お話がありますのでこちらに来て下さい」

ルイはロイの腕を掴み半ば引きずりながら部屋から出て行った。
その後を部屋にいたアルを除く男たちは無言でついって行った。
ロイが引きずり出される前に見たエドはニヤニヤしながらロイを見ていた。
「・・・姉さん」
「ん?なに、アル?」

楽しそうに微笑んでいる姉を見てアルは溜息を吐いた。

「事実とかなり違ってない?」
「そうかなー?ちょっと大袈裟に言っただけだよ?」

アルはまた溜息を吐く。

「良いんですか中尉、ほうっておいて?」
「大佐が女性関係にだらしがないからこうなっているんです。たまには良いでしょう」

アルは頭を抑えるともう一回溜息を吐く。
その時遠くから悲鳴と何かが爆発する音が聞こえてきた。

(ああ、皆さんごめんなさい許してくださいごめんなさいごめんなさい・・・)









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