大佐記憶喪失ぅ編
>66氏



―その3―

 暇があれば大佐は仕事を抜け出しフラフラと何処かに出かけてゆく。
 帰ってくれば体から香水の匂い。
 同じだったり違ったり、色々な女の所に行っているのは一目瞭然で。
 皆諦めているのかいつもの事なのかあまり何も言わない。
 オレはと言えば、出かける度に 倫絶 女好き 変態 無能と罵ってやる。 
 それでもあいつは馬鹿にしたように笑いながら出かけて行く。
 何かすげぇムカツク。 何でだよ。 一体。
「いいのか中尉。 大佐あんなんでも。」
「ええ、やらなくてはいけない事は全て片付けていっているからあまり文句も言えないの、それに…」
「それに?」
「いえ、なんでもないのよ。」
 少尉とか他の人に聞いても同じような事しか言わない。いいのかよ…軍がこんなんで…
 それと皆最後の言葉歯切れが悪いんだよな。 感じ悪い。
 この所何もしないでゴロゴロしている時間が増えたような気がする。
 このままじゃ駄目だと思いながらも、夕食後の今もソファーに横になりゴロゴロしてしている。

「なあ、アル…そろそろここを離れようと思うんだけど、どうだ?」
 ソファーの後ろにいるアルに声をかける。 一呼吸おいてからビックリしたような返事が返ってきた。
「え? でも姉さん…大佐の記憶戻るまでは、ここにいたいって言ってたじゃない。」
「ああ、責任感じてここに留まった、そう言った。 けどオレがいたってどうかなる訳じゃないしよぉ…
それに、なんて言うか…こう…」
 こう…なんだろう? その先に続ける言葉が出てこない。

「嫌か?」
「嫌じゃないけど、姉さんはそれで本当にいいの?」
「…………」
「姉さん、大丈夫? なんか変だよ?」
 アルが心配そうに上から覗き込んできた。
「なんかって何だよ。」
 下から睨みつけてやる。 鎧の奥の奥まで睨み付けるようにガンをつける。
 心配してくれている弟に何当たっているんだ? オレは。
 そんな嫌なムードをぶち壊してくれたのは、廊下を走って近づいてくる足音。
「やっほ〜こっちの方に用事があったから寄ってみたんだよ〜。エド、オートメイルの調子どう? 
何か変だったりしない?」
 バタン、とドアが勢いよく開き、ウィンリィの明るい声が飛び込んできた。
 自分の座る場所を作りなさいと手で合図を送られたので、ソファーにちゃんと座りなおして
 スペースを空けてやる。 よろしいとニッコリしてそこに座りこむ。
「ちょっと気になっていたからさ。 で、アル、何の話していたの?」
「いや、姉さんの様子がこの所ずっと変だからさ。」
「確かにね、組み手もやってないんでしょ。 どうしたの? おかしいよ、エド。…もしかして大佐の事?」
「え? 何言ってんだよ。」
「だってあの頃からおかしいもん。」
 アルも横でうんうん頷いている。 
 少し考えてから、自分の思っている事を素直に話しだした。
「まあ…確かに記憶戻らないからな。 前は毎日チョッカイだされててうんざりしてたけど、それが無くなって…いつもと違うなーと思うけど、それとは違うぞ。」
 それが、肯定的な返事だという事にエド子は気が付いていない…。
「…気になる?」
「え? バカ言ってんじゃねえよ。 いつも嫌な事するんだぜ。 それが無くなったからせいせいしてる。」
「でも物足りない…と?」
「ち、違う!!」
「もしかして〜イヤよイヤよもスキの内…とか。」
「んな訳ねえだろ!! どうしてそうなる?!」
「ハァ〜 ハイハイわかりましたっと。」
 それから色々な話をしていたら結構時間が経ったらしく、大分暗くなってきてしまった。
「あ、そろそろ戻るわ。」
「おう、まだこっちにいるのか?」
「うん、後数日間いようと思う。」
 腰を上げアルに歩みよりその腕に絡みつく。 その様子にちょっと違和感を感じる。 
「ねーアル送って。 ね?」 
 ウィンリィが上目遣いで微笑む。 
「あ…。 うん、いいよ!」 
 アルの目の奥が怪しく光った…ように見えた。 何かを含むような2人の言動
 やっぱりおかしい。 どこがどうおかしいのかわからないけど…何か変だ。 
 その疑問も最後に掛けられた一言で何処かに消え去った。
「じゃあね。 エド、いつも言うけど素直にね!」
「な!!」

(ハアー。 ウィンリィは何言ってるんだ? 全く。)
「シャワーでも浴びるか…」
 誰もいなくなったので、上着を脱いで今まで座っていたソファーに投げつける。
 ベルトをはずしズボンに手をかけようとした丁度その時、ドアを軽くノックする音がした。
 げ、今頃誰だよ…と思いながら声を掛けると、よく聞き知ったあいつの声が返ってきた。
(大佐?! どうしてここに? ええと…うわ〜どうすればいいんだ?)
「何の用だ?」
 ドアを少し開け、顔だけ覗かせ心とは裏腹に不機嫌そうに答えるてやる。
「ああ、ウィンリィ嬢が来ていると聞いてな。 少し用があったのだが…いないのか?」
 中を窺うようにスルリと部屋に入ってきた。
 用があるのは自分じゃ無くて…ウィンリィ…なんだろう…この心のもやもやは?
「ああ、今帰った。」
「そうか…」
「ウィンリィに何の用? 事によっては…」
「イヤ別に…もしかして気になるのか?」
 ニヤニヤしながらこちらを眺めてる。 上着を脱いだので下着が薄いシャツにうっすら透けている。
 流石にこれはマズイか…と思ったが、今更隠しても変に意識しているみたいなので、平然を装う。
「当たり前だろ! オレの幼馴染に変な事してみろよ?! あんたでも容赦しねえぞ。
もう用は無いんだろ、帰れよ。」
「つれないねぇ、鋼の。 ああ、忘れていたのだが前回の本の解読だが、もう1冊残っていてね。
これもお願いするよ。 出来たら直接私に所に持ってきてくれ。 それとこれもやろう。 土産だ。」
「ああ?! またかよ。 まあいいや、受け取っておくから。 これでもう用事は済んだんだろう?」
 片手に本、反対の手に土産を受け取り追い出しにかかる。
「言葉使いは直した方がいいぞ。 それでも一応は女なのだろう?」
 一応信じてくれたらしい…が、
(胸の辺りを見て言うな!)
「前にも言われた、でも無理。」
「フム。 ちょっとバンザイをしてみろ。」
 言われるがままに荷物をもったまま両手を上げる。
 いきなり胸のところに手を添え撫で付けやがった!
 シャツの上から器用に指を這わせてゆく。
 服ごしのたったそれだけの刺激なのに…体が反応して胸の突起が固さをおびてきてしまう。…ヤバイ…
 シャツを捲し上げ下着の中に掌が滑り込んできた。
 そのまま捏ねくりまわされる。 
「やめ……くっ…」
「両手の物を落とすなよ。 特に本は大切な物だからな。」
(やめてくれ! ばれてしまう…自分の体の変化が…) 
 声を出してしまわないようにするのがやっとで、されるがままになってしまった。
「ふむ、やはりわからんな。 牛乳飲め! それとも私が時間をかけて大きくしてやろうか?」
「な、何しやがる、この変態!」
 その手を払いのけ拳を握りしめる。 土産に渡された物が音をたてて落ちた。 
「ははは、私だって貧乳よりは大きい方がスキだ! 君のは触っても解らないからな。
同い年のウィンリィ嬢とは雲泥の差だな。 では失礼する。」
 それを振り下ろそうとしたら、さっさと退散の意を示して素早く部屋の外に出てしまった。
「だれが洗濯板ド貧乳だ〜〜〜!! 」

 全く気付きもしなかったのかよ?! 直に触っておきながら。
 帰って行く大佐に近くにあった物を投げつけてやると、はははと高らかに笑いながら簡単に避けられてしまった。
 馬鹿にしやがって!! 信じらんねぇー 最低!!

 ドアを勢い良く閉めてそのドアにもたれ掛かる。
 なんだかわからないけど凄く悔しくて情けなくて、知らず知らずに目頭が熱くなってきてしまった。
「クソ! うっ…く、大佐…の馬鹿野郎… …スン…馬鹿ぁ…ロイの馬鹿…」
 ぽろぽろ涙を流しながら小さな声で先ほどまでいたあいつに罵倒を浴びせる。
 先ほど触れられた場所を自分の手でそっと触れ、そのままゆっくり指でなぞってゆくと、くすぐったい。
 ここをあいつの指が這っていった…そう思うと体が火照ってくる。
「ロイ…んっ…」
 下の方もじわりと熱を帯びてきた。 その熱をどうにかしたい…
 ズボンの中に手を滑り込ませようとして、その手前でピタリと手の動きがとまる。
「何やってんだよ…オレ…」
 力なくズルズル滑っていき、そのまま下にへたりこんでしまった。
 なぜなのかわからないが、凄く惨めで…悲しくて…
 
 ウィンリィの言葉がぐるぐる頭の中を回っている。
 キニナル? モノタリナイ? スキ? ンナ訳ねえよ。 そう…そんなハズ…無い…

―4―

 大佐の記憶喪失の件から既に数ヶ月が過ぎようとしていた。
 今日も大佐はフラフラと出て行きまだ戻ってきていない。糸の切れた凧みたいだな…と思う。
 頼まれた解読も済み、やってきたのはいいのだが、渡す相手がいなければ意味が無い。
 宿に戻ろう。 そう思って出て行こうとしたら
 ホークアイ中尉に呼び止められ、大佐宛の書類を渡された。
「大佐の私室にこれを置いてきてくれないかしら?」
 ああ、ついでだからいいよ。と受け取ると、 ごめんなさいね。 とすまなそうに言われた。
 この場合 ありがとう とか、お願いね とかじゃないのかな?
 少尉や曹長は、こちらをチラチラ窺っている…
 う〜ん、やっぱりみんな変だな。 上の奴が変だと下も変になるのか?

 大佐の私室に行ってもやはり姿はなかった。
 キョロキョロ見渡してから椅子に腰掛ける。
 あいつの匂いがする革張りの椅子は思っていたよりも座り心地がよくて、ついそのままウトウトしてしまったようだ。
 どの位の時間が経ってしまったのだろうか…フト、人の気配で目を覚ます。
 最初に目に入ってきたのは、自分に掛けてくれたであろう上着。
 慌てて起き上がるとそれは、音をたてて滑り落ちた。 
「おいおい、汚さないでくれよ。」 
 不意に掛けられた言葉に慌ててしまい変な声が出てしまった。
「え? あ? わぁ、ご、ごめん、ありがとう、すいません …ってあれ、大佐?」
 声の主は机をはさんだ反対側のソファーに座り、
 何を考えているかわからない顔つきでこちらを見つめていた。 居心地が悪い。
「い、いつの間に戻ってきてたんだ?」
 慌てて落ちた上着を拾い上げパンパン埃を落とし、ありがとうと返す。
 頼まれていた書類、解読した本、資料も手渡した。 あとは…何もないよな。 うん。
 大佐がソファーから立ち上がり、そして顎の下に手を添えて、くいっと顔を上に向けられた。
 流れるような動きで、考えてるヒマもない。 そのまま口の横を舐められた。 
「うわっ、た。 な、何すんだよ!」
「涎だよ。 垂らしながら気持ちよさそうに眠っていたぞ。」
 口に手を当ててクククと心底おかしそうに笑われた。
「声かけて起してくれよ! 恥ずかしいんだからよ!」
 真っ赤になりながら慌てて口元を拭う。 
「見ているのも中々面白くてな。 つい眺めてしまった。 寝言で私の事を何か言っていたようだが…」
 え、何かマズイ事を言ってしまったのだろうか?
「もしかして、君は私のことが好きなのかな?」
 音が聞こえてきそうなくらい心臓が跳ね上がった。 赤くなっている顔がさらに赤みを増してしまったような気がする。
「ち、違う。 んな訳ねえだろ!」
「君は一応は女なのだろう? 前にも言ったが、その言葉遣いは止めた方がいいぞ。」
「あんたには関係ねぇ。」
 プイと机に向き体と顔を逸らした。
「そうか、では私は行くよ。 用事があるからな。 ここを出る時は、戸締りを頼むよ。」
 反対を向いているので見えないが、足音が離れていくのが聞こえる。
(いいのか? このままで。 出て行ってしまうぞ。 引き止めなくていいのか?
 …でも、なんて言ってだよ?! 引き止めてどうするんだよ?!)
 そんな心の葛藤の最中

―バタン―

 ドアの閉まる音が妙に響きわたった。

  
「くそ! くそ! くそ!!」
 そのままの状態で机を両手で叩きながら吐き出す。
「なんなんだよ、一体。 オレは、オレは…」
(好きだといっておけばよかったか? 言えば抱きしめてくれたかもしれない…
 でもそれは大勢の女の中の一人としてだ。 それは嫌だ! どうしちまったんだよ、オレは…。)
「あいつの所為だ。 あいつの…くそ! そうだよ。 オレはあいつが…あいつが…」
(好き? そんなわけない… あいつは女に節操がなくて、やばくて、エロくて、最低な奴だ! 
 人を馬鹿にして、言葉で丸め込んで、悪い事も平気で、いけしゃあしゃあとしてる。
 あんな奴好きになったら大変じゃないか! でも…)
 認めたくない! 認めたくないが…
「好きなのか? 好き…多分これが好きって事なんだ…」
 自分に尋ねるように小さく呟く。 
「やっと言ってくれたな。」
 いきなり後ろから声がかえってきた。
 振り向けば、ドアの所にあいつ…ロイ・マスタング大佐が腕を組んで佇んでいた。
 出て行ったのではなくドアを閉めてそこにいたのだ。
 そしてオレの事を窺っていたんだ…趣味が悪い。

「私の事なのだろう? それは。」
 ゆっくりと近づいてくる。
「ち、違う! あんたの事じゃない…」
 最後の言葉は消えかけていた。 自分の目の前までやってきて顔を覗き込み優しく問い掛けられる。
「では誰の事だ? 鋼の」
「あんたには関係ない。」
(違う。 こんな事を言いたいんじゃない!)
「そうか、私の勘違いか。 邪魔したな。」
(行ってしまう今度こそ本当に…嫌だ!!)
 気がつけば大佐の服を掴んでいた。 恐る恐る顔を覗き見れば呆れた顔をしている。
「ふ〜。 君は本当に素直じゃないな。」
 最初の時と同じように机と大佐の体で自分は挟まれて押さえつけられてしまった。
 耳元に顔を持っていき耳たぶに優しく歯を立てられる。
「ひゃ…」
「ベッドの中みたいに少しは素直になったらどうだ?」
「な…!!」
「初めての時の事を思い出すな。」
「…!! 記憶戻ったのか?!」
「いや。」
「どうゆう意味…ん…」
 唇を塞がれ舌が歯を割って滑り込んできた。
「ん…ん……ふぁ…」
 これでもかと言わんばかりにしつこくからませてくるので逃げるのも諦めて自分の舌も唾液と一緒に絡ませてやる。 大量の唾液が混ざり合い口の横から流れ出す。
 やっとで離れると つう、と粘着質な糸が引いた。
 少しぽぉっとしていた所に、信じられない事実を突きつけられた。
「記憶が戻った訳ではない。 元から忘れた訳ではないからな。」
「な!!」
「あまりにも君が可愛いから苛めたくなってなってしまってね。
まあ、最後は私も意地になってしまったが…」
 優しく頬に手を添えじっと見つめられる。 黒い瞳に吸い込まれそうだ。
「1度も好きと言ってもらった事がないからな。
君の気持ちを無視して…と言うのもイケナイなと思ってな。」
(今まで散々ムシしておきながら…!! 今更何言ってんだよ!!)
 乱暴に上着の前を肌蹴、シャツと下着を捲くしあげられた。
 飢えた獣のように胸を吸いながら揉みしだく。 
 残った手は下に移動して下着の中を弄り始めている。

「うわぁ! ちょっと待て!!」
「長い間我慢したのでもう押さえられなくなっているのだよ。」
「あっ…え? だってよく女の所に行っていたじゃないか…」
「ああ、あれか。 あれは君の気を引く為さ。 前に連れて行ったブティックに行って時間を潰していた。 あそこなら香水の香りも移るからな。」
「信じらんね…んっ」
「前にも言っただろ。楽しみの為には時間もお金も惜しまないと。
流石に…これだけ長く続くとはおもわなかったが…」
 喋りながらも器用に指を這わせてゆき敏感な所を攻め立ててゆく
 上から下まで全てが性感帯になってしまったような気がする。
 何処を触れられてもビクビクと反応してしまう自分の体が恨めしい。

―5―

「ハン…やぁ…大佐…」
「名前で呼んでくれないのか? あの時は泣きながら呼んでくれていたじゃないか…」
「あ、あの時って…なんだよ?」
「あの時は戻って抱きしめたかったのだが、なんとか我慢した。 偉いだろう?
本当はあのまま自慰行為をしてくれたら嬉しかったのだが…
せっかく1人で楽しむ方法を教えてあげたというのに。」
「…お前っ…何言ってんだよ…」
「愛だよ、愛!」
(意味わかんねー)
「実はだ…とても心配だったからな。 ウィンリィ嬢に頼んでオートメイルに盗聴器を仕込ませてもらった!! これも君への愛ゆえの為だ!!」
 スゲエ偉そうにとんでもない事を言い放った。 体の熱が一気に冷めた。
「し、信じらんねーーー!!…え?と言うことは…」
(あれもこれも聞かれてた?!)
「プライバシーの侵害だ!! 離せこの変態!!」
 変態か…と呟きながら、いきなり口の中に人差し指を侵入させてきた。「よーく舐めておきなさい。 そうしないと辛いのは君だよ。」
 何を言われているのかは解らないが…こんな時は素直に従っておいた方がいい…
 その指を丹念にしゃぶり舐めあげる。
 歯でも立ててやろうか、とそれを実行するよりも先に抜き取られ、体が浮いた。
 ひょいと向きを変えられて机の上にうつ伏せにさせられる。 尻を突き出す恥かしい格好だ。
 指についた唾液を今まで触られた事の無い場所に塗りつけられ、唾液で濡れた指がそこで動きを止める。いつもと違う感触…もしや…
「ちょ…ど、何処に指入れようとしてんだよ!」
「後ろの穴…アヌスだよ。こちらも結構いいらしい ぞっと。」
 言葉とともに今だ感じた事のない衝撃が襲った。    
「や、やめろ! ひぃ…」
 抵抗しようにも半分脱がされた衣類が手枷のようになってしまい、それを
 抑えられれば手の自由は奪われて、動かすことが出来ない。 下もまた然り。
 なんかこれ全て計算済みなんじゃねえか? といぶかしむ
 もしそうなら変な所で有能だなこいつ…

「名前を呼んでくれないか?」
「ロイ、ロイ、ロイ、ロイ、ロイ!! これでいいだろ! 指抜け!!」
「他に言いたい事は?」
 何を言わせたいか解っていたが、悔しくて素直には言ってやらない。 いや言いたくない。
「ロイ…ス… …ロイ…の馬鹿! ロイの変態! ロイの無能!!」
「ホホーゥ」
 ぐぐと指に力をこめられ更に奥まで侵入させてきた。 異物感が気持ち悪い。
「ヒャアッ!!」 
 中を掻き混ぜるように荒々しく動かされる。
「やぁ…やめ…ろっ…!」 
 執拗に責められて翻弄される。 
 痛みか、恥ずかしさか、快感か全てがグチャグチャ混ざったような感覚。
 泣いているのか、感じているのか全く解らない。 そこに甘い声がかかる。
「さて、私の名前は?」
「ロ…イ」
 激しい指の動きがゆっくりになり、その動きに合わせて背骨の上にも指が這う。
 その刺激でビクリと体が反り上がる。
「私は君が好きだ。君はどうなのかな?」
「ス…キ…ッ!」
 優しく撫でるような動き。 残った指が下の敏感な場所を擦る。 そこから甘い痺れがはしる。
「では、私の求める答えは?」
「オレ、もっ…ロイが…スキィ…。」
 逆らえない。 勝手に口から滑り落ちてしまう。
「よしよし良く出来た。偉い偉い。」
 やっとで出て行く。 そのまま頭を撫でようとしたので、ほぼ半泣き状態だが凄んで叫ぶ。
「ちょっと待て! その手で触んな!! 汚い。」
(手を洗っている最中に逃げ出してやる! こんな所いてたまるか!!)
「で、なんで抱きかかえてるんだよ!」
 エド子を小脇に軽々と抱え、今にも鼻歌まじりでスキップなどするんじゃないかという足取りでベッドまで運ばれてしまった。
「逃げてしまうかもしれないだろ?」
 ぅ…バレてた。
「まあ、逃げたら 鋼の錬金術師は後ろの穴の調子が中々イケルと言いふらしてもいいからな。」
 まあやる訳は無いのだが、恥ずかしさとパニックで正常な思考が停止してしまった。
「ヤダ!! 逃げないでちゃんとここにいる!」
「よし。 では服を脱いでここで大人しく待っていなさい。」
 ベッドに降ろされるとグシグシ泣きながら半分脱がされて枷になっていた服をゆっくりはずしていく。
 騙された…あの頃から…3年前からいい奴の仮面被っていたんだ…(今頃気が付いたのか?エド子)
  
 ちょっと待て…もしかしてオレって皆に騙されていたのか?!(その通り。)
 中尉とか少尉とかアルとかウィンリィとか…
 あれも、これも、それも、おかしいと思っていたけど…
 くそ!! 後で覚えておけよ!! そう思ったら涙がひいた。  
 
 ベッドの上であぐらをかき、戻ってきたあいつを睨みつけてみても全く気にする様子もない。
 何かを言ってやろうと思ったのだが上手い言葉が出てこない。悔しい!!
「あんた すっげぇ〜嘘つきだな。」
「ははは、鋼の君よりは劣るさ。」
「何処がだよ!」
 ベッドに腰を落とし涙の跡を舌で綺麗に舐め取られた。
「私は素直だよ、好きなら好きと言う。 ヤリたいならヤル。 君の場合は好きでも言わない、ヤリたくても嫌だと言う。 それに気持ち良くても中々素直にならないではないか。」
「な! …でもあんたのそれってただ単に本能の赴くままってやつじゃないのか?」
「まあ、そうとも言うがな。 では本能の赴くままヤラせてもらおうか。」
「え?! ウソ…んっ」
 唇が塞がれあっという間に押し倒される。
(こいつの舌ってすげえエロイ! 手も口も言葉も身体も全てエロ過ぎる!!
だからだ、だからキス位でこんなになっちまうんだ… 体がおかしくなっちまうんだ!)
 身体の内側から熱が溢れ出てくるような感じがする。 
 唇が離れると、もう我慢できないとばかりに服を脱ぎ捨てエド子の上に覆い被さってきた。
(素早い…もう服脱いじまいやがった。 げ、下半身すげえ元気じゃん。 屹立してるよ。
ってもう足割って体滑り込ませやがった!! 早すぎだ!!) 
「まだ駄目ッ」
 熱いものがまだ受け入れる準備の整っていない秘部に添えられ、そのまま奥まで突き進められた。
「イッ……!!」
「長い間つれなくした罰だ。」
(それは自分だろ!!)
 と、突っ込みたかったのだが…そうすると、どうされるかわからないので黙っておく。
 痛みに慣れようとして目に涙を溜め、小さく震えながら呼吸を整える。
 その様子が、またそそられるような色を醸し出しているのだが…エド子は知る由も無い。
 ズズズとロイの物がキツく締め付けているそこをいどうしてゆく。 少し動かされるだけでもまだ鈍い痛みが走る。
「ちょ…まだ動くな!」
「もう我慢の限界なんでね。それに痛くないと罰にならないだろう?」
(やな奴…) 
 ゆっくり引いて突き上げる。 その何度目かの刺激で痛みよりも快感が勝ってくる。
 くちゅくちゅと卑猥な水音も聞こえるようになってきた。
「ヒャン! あっ…だめぇ…」
「駄目だと言っている割には君のここは私を締めてけて離してくれないようだが?」
 腰をいきなり止め、下の突起を摘まれ軽く捻られる。
「はぁ…ん!!」
 それだけで軽くイきそうになってしまう。
 もう我慢出来ないと言っておきながら、なぜ途中で止めて人を弄ぶのか…
 言ってる事とやってる事が違うじゃないか…
「今ので大分動きやすくなったな…」
 でもその動きはゆっくりしたもので、自分が求めているようなモノではない。
「どう…だ?」
 ロイはそれを知っていてわざとやっているのだ。
 わざとたかみにのぼらせてくれないのだ。 達しそうで、達せないもどかしさをあたえて。
 自分の奥を激しく突いてもらいたい…それをオレの口から言わせたいのだろう。
 嫌なのに…必ず最後にはこいつの思い通りになってしまう。 それがまた悔しい。 
「ああぁぁ…ふあっ…もう……ロイッ…おねが…いっ」
「何を…だい?」
「焦らすなぁ…バカ…ぁ…!」 
「どうしてもらいたいのか…言ってもらわないとわからない…よ。」
「んっ…い、イかせてぇ! 奥まで…ロイでっ……いっぱいに…して…」
 言い終わる前にぐっと腰を押さえつけられ、勢いよく突き上げられる。
「ああぁんっ!」
 ロイ自身もギリギリの状態だったらしく、余裕のない激しい動きで高みに追いつめられていく。
「い、いっちゃ…う…」
「私も…だ…」
 突き上げる動きを早くして中に熱を叩きつけられた。
「ああっ…ヤダ……ダメェー!」
 弓なりに反り返り絶頂を迎え一瞬意識を手放した。

 先ほどの熱が落着いて、体を起すと白いものがシーツを汚す。
「また中に出しやがったな…」
「君が欲しがったんじゃないか、それに安全日だからよかろう。」
「あ、安全日でも嫌なものは嫌なの!」
「我侭だなー」
(はあ〜こいつに何言っても無駄か…もう諦めちゃおうかな…
こんな奴好きになってしまったオレが悪いんだろうからなぁ…ハアー)
 力なくベッドから出ていこうとしたら、腰に腕を回しグイっと引き寄せられてしまった。そして…
「私を嫌いにならないでくれ…」
 耳元で信じられない言葉を呟かれた。いつも偉そうにしていて、人を小馬鹿にしたような態度を取っているこいつが、しおらしくなっている。
 ビックリしてまじまじと顔を覗き込んでしまった。 寂しそうな黒い瞳とぶつかる…
「エドワード・エルリック。 君は私の事が嫌いか?」
 いつもと違う真剣な顔。ついドキドキしてしまい見惚れてしまう。
 こいつってこんな顔もするんだ…
「き、嫌いじゃない…」
 するといきなり顔が崩れて笑みが浮かぶ。とても29歳には見えない少年のような笑顔。
 凄く眩しく見えた。
 …そう、一瞬だけ!!

「そうか! では今夜はとことん楽しもう!!」
(だあ! もう元に戻りやがった!!)
「時間はたっ〜〜〜〜〜ぷりあることだしな。 ナイトフィーバーだ!!」

「……この絶倫野郎〜〜〜〜〜!!」
またいつものごとく、エド子の叫びがこだまするのであった…


「やっとね…」
「やっとでこの生活とおさらばっす…うう。」
涙を拭う面々だった。
この数ヶ月間イライラしていた大佐の虐めやとばちりがあったもよう…



END

…後日談…
「皆…よくもオレを騙してくれたな…」
 指をぽきぽき鳴らしながら追い詰めてゆく。
「し、仕方なかったんだ!! 何か言おうにも君の盗聴器のせいで全て筒抜けだし…
バレタラ後で大佐にネチネチネチネチ…………
発火布をわざとらしく擦りつけて今にも火をつけられるんじゃないかビクビク、君にこの辛さがわかるか?! 毎日顔合わせてるんだから相当辛いんだぞ、わかるだろ?!」

中尉は「あの状態で気がつかないエドワード君も凄いと思うわ。」

アルは知らないよ〜としらばっくれ
ウィンリィはそそくさとリゼンブール帰ってしまったようだ。
おい! 盗聴器外してからにしてくれよ!!










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