変質鎧
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姉さんの胸は、あいかわらず、ない。そりゃぁない、見事にない、ないのだが。
歳が15を越えたせいか、僕の夜毎の指先の運動も関係してか、最近は少ぉーし膨らんできた。
と言っても、同じ年頃の他の女性と比べるのも可哀想なくらいの質量だけど。
それでも薄い下着を押し上げる程度には、丸い形が見てとれる。なんだかうれしい。
大佐辺りに「姉さんの胸が膨らんできました」と電話報告したいくらい。それだけ言って切るけど。
上着を来ると完全に形をなくしてしまうのも、それはそれで可愛らしい、と言うか愛おしい。
あと3年くらいして姉さんが18を過ぎたら、ひかえめながらも女性らしい形になるのかな。
いいね、女性の胸は質量じゃないよ、形だよ形。あの丸くてやや上向きな感じがいいんだ…

と、いろんなことを思いながら服を脱ぐ姉さんを見ていて、ある重大なことに気が付いた。
「姉さん、胸の形、ちがわない?」
「へっ?」
「左右で、ちがうよ大きさが!」
「…あ、そう言われれば、そう…かな?」
「そうだよ、ちがうよ、ほら、こんなに!」

思わず近付いて、両手で姉さんの胸を掴…もうとして質量の関係で掴めず、包むように手を置く。
下着越しの右手にはわずかに隆起を感じるけど、左手には全くない。小さな突起があたるだけだ。
すなわち姉さんの左胸は膨らみがあるけど、右胸にはないということ。
激しくショックだ。目の前が真っ白になって、ないはずの頭がクランクランする。
不躾に胸を触ったせいで、姉さんに蹴り飛ばされたことだけが原因じゃない頭痛がしてきた。
なんてことだ………。左右で大きさがちがうなんて、そんなの僕には許せないよ。

姉さんは下着姿になってから風呂場へ入った。やがてシャワーの音がする。
どうして左右で大きさがちがうのか、床に懐きながら考えて、ひとつの可能性に行き当たった。
体を起こして風呂を見る。まだシャワーの音がしていて、姉さんが出てくる気配はない。
そういえば、風呂に入ってる姉さんの姿を見たことがない。子供の頃は一緒に入ってたけど。
好奇心の追求、端的に言えば風呂を覗くついでに、原因究明してこよう。
そっと扉を開けると、もうもうと湯気が立ちこめる向こうに姉さんの後ろ姿が見えた。
こうして見ると、やっぱり紛れもない女性の体だ。出るとこ出てるってわけじゃないけど。
小さな傷があちこちにあって、右手と左足は機械鎧で、生身との継ぎ目に大きな傷跡があったって。
この世で一番きれいな体だよ、姉さん。その傷ごと愛するような男じゃないと、渡せないよ。
いつか他の男のものになるんだろうけど、その日のことを考えると、一生鎧でもいいかなと思う。
鎧なら、ずっと側にいても咎められないだろうから。でも、そんなの姉さんが許さないか。

ふと見ると、姉さんの下着が簡単に畳んで置いてある。これはさっき着ていたやつだ。
…替えの下着がないようですけど。またバスタオル1枚巻き付けて出てくる気だね。
どうせすぐ脱ぐからという理由で、姉さんは風呂上がりに下着を付けない。
お前もその方がいいだろって言うけど、ああ姉さん、女性の下着姿は男の浪漫なんだよ。
全開で見せられるとちょっと萎えるんだよ、適度に隠されてて欲しいんだよ、わかってよ…。
姉さんの体の曲線にそって流れる湯を堪能したところで、そろそろ目的を遂げよう。
ノックの音や、かけた声は水音にかき消されたことにして、いきなり近付いた。
もちろん姉さんは目を丸くして驚いていたけど、すぐに何かあったのかと厳しい表情になる。
その戦おうとする姿勢は素敵だけど、いくら相手が弟の僕でも、せめて大事なところは隠そうよ。
何もないと告げる僕をいぶかしむ姉さんに、後ろを向いてもらって背中から抱き締める。
姉さんが咄嗟のことに戸惑ってるうちに床に座り込んで、抱え上げて膝の上に乗せた。

「! なにすんだよアル!」
「もう体は洗った? ごめんね、オイル付いちゃうね」
「そうじゃなくて! …っ!」
「あとで僕が洗ってあげるから、隅々まで…ね」
後ろから姉さんの胸に手をまわす。揉むに揉めないから両方の突起をいきなり摘んだ。
姉さんの体が少し震えている。寒いのかな、それとも感じてるのかな。
風邪をひかないように、シャワーの湯が姉さんの体に注ぐように位置を調整した。
白い肌が、ほんのりピンクに染まっていく様が、なんとも艶っぽくてきれいだ。
右手で姉さんの右の胸を刺激する。いつものように摩っても、反応がいまいち弱い。

今度は左の手で左の胸を摘むと、途端に甘えるような声が小さく漏れた。
思った通りだ、姉さんは左胸が感じやすいんだね。これって、僕が右利きだからかな。
そうだとすると、姉さんの胸の形が不揃いなのは僕のせい。責任取らなくちゃ。
しばらく胸は右だけ触るようにしないと、バランス取れないな。大きさが揃うまで左はお預け。
でも右胸じゃいまいち感じないんだっけ。じゃ、これから右胸の開発だ。
「アル」
「なに? 姉さん」
「お前、錆びない? なにもここでしなくても、部屋に戻ればいいのに」
「オイル塗ってるし大丈夫だよ、ちょっと趣向を変えてみようかなーなんて」

あれから右胸を擦り続けているのに、姉さんたら冷静だ。やっぱり感じてないのか。
飽きられて本気で反撃されても困るし、不本意だけど、ちょっと左の力を借りよう。
構う対象を左胸に移すと、すぐにいい反応をしてくれる。首を反らせて体重を完全に僕に預けた。
腰を浮かせはじめたから、左はこれでおしまい。すぐに両手で姉さんの膝を大きく割る。
僕らの前の抜群の位置に鏡があって、でも曇ちゃっててよく見えないや、残念。
姉さん勝ち気だから、言葉責めとか羞恥系に弱いと思うんだよね。まあ、また機会を作ろう。

指で割れ目を浅く犯して、ゆっくり上下させる。すべりはいいけど、湯のせいかも。
いつものように、僕の左手で姉さんの大事なところをなぞりつつ、右手は胸を擦る。
ただ、今は姉さんを後ろから抱き込むように攻めてるから、勝手がいつもと違うかな。
そのせいなのか、なんだか姉さん、いつもより感じてくれてるみたいなんだけど。
まだ花芯にも触ってないのに…と思ったら、姉さんは自分で左胸を刺激していた。
「姉さん、だめだって」
「? なんで?」
「左はこれ以上、大きくしなくていいの」
「何の話 んっ ああぁっ!」

姉さんの自慰を止めさせるべく、花芯を摘んで軽く捻った。姉さんの体が跳ね上がるのを力で抑える。
自分でしないように、左手は後ろに回して僕の体との間に挟んで固定した。
自分でやっちゃうくらいだから、やっぱり左がいいんだね。かわいそうだけど我慢してね。
そのまま花芯を揉んでいると、明らかに湯とは違う感触で割れ目がぬかるんできた。
姉さんは頭を僕の肩にもたれさせて、泣きそうな顔ではぁはぁと荒い息をしながら喘いでいる。
もう左胸には触れてないのに、やっぱり姉さん、いつもより乱れ方が早くて、その上ひどい。

「ねえ、姉さん気持ちいい? いつもよりいい?」
「あ、あぁ、あぁぅ…ん、アル…」
「こんなになっちゃって、そんなにいいの? 右胸も感じるようになった?」
「ちが…、お前の手が、あ、ああぁ、はぁ」
「僕の手が?」
「あ、あったかい …から あぁん、…気持ち、いい」
思わず手を止めてしまって、姉さんから抗議されてあわてて再開する。
つい忘れがちだったけど、今の僕は金属だから。姉さん、冷たい手しか知らなかったんだ。
この指は、姉さんの体温で温まることはあっても、姉さんの体温より熱くなることはない。
今はシャワーのおかげで偶然温まっていたんだね。…ごめん姉さん、今まで本当にごめん。

やっぱり生身に戻りたい。この体じゃ、自分の大事な人を暖めることさえできない。
姉さん、生身の男とのセックスは、きっともっと暖かいはずなんだ。
それを初めて姉さんに教える男は、誰なんだろうね。それが僕であるように祈っていいかな。

「…ぁ、アル、手 痛い」
「ごめんね、だって離したら、姉さん自分でやっちゃうじゃない」
「だから! さっきから左の胸がどうしたって あっあああぁ!」
「声が部屋中に響いてるよ、もっと声を小さくしなきゃ、お隣に聞こえるんじゃない?」
「っ! う、ん」
「僕としては聞かせたいくらいだけどね、こんなに可愛い声なんだから」
「ばか、なに んぁっ!」
暖かい指を、姉さんの奥に入れた。ここは、本当はどんなに熱いんだろう。
感触はわかっても温度はわからない。音は聞けても匂いはわからない。もどかしいよ。
もどかしさの分だけ激しく指を動かして、その分だけ姉さんが乱れていくのを見る。
シャワーの音でかき消されてるけど、本当は今、どれだけ濡れた音がしてるんだろう。
自分の声を気にして、姉さんは自ら手で口を覆っている。本当はどんな声を出してるんだろう。
僕が匂いを感じられたなら、今の姉さんからは、どんな匂いがするんだろう。
どれもこれも想像するしかなくて、今の自分が感じられることだけにすがりつく。
姉さん、今の僕には、あなたが見せてくれて、感じさせてくれるものだけが全てなんです。

奥と花芯と右胸を、丁寧かつ激しく刺激するうちに、姉さんは達したようだ。
姉さんの体と僕の指から伝わる、びくびくとした痙攣と、その直前にあがった嬌声で知る。
これで右胸も感じるようになってくれればいいんだけど、まだちょっと無理かな。
せめて僕が「吸う」とか「舐める」とかできれば、方法はいろいろあるんだろうけど。
この指だけじゃちょっとね…。あ、姉さんは「吸われる/舐められる」も未経験ってことか。
お互い、まだまだ知らないことがたくさんあるね、姉さん。

荒い息を続けたまま、姉さんはぐったりと僕に身を任せている。湯当たりしちゃったかな。
……えーと、いつも姉さんは事後、自分で風呂に直行してるんだけど。
どうやって洗ってるのかまでは知らないから……どうすればいいのかな、これ。
とりあえず湯をそっとかけながら、太股のぬかるみを取ろうと軽くなでてみる。
……全然取れそうにないんですけど……姉さん、早く起きてよ……不安だよ…。
「アル」
「はっ、はい!」
「そんな生易しいもんじゃ取れねーよ」
「そ、そうなの?」
「大体な、中にまだ大量に残ってんだから、そこから洗わないと意味ないぞ」
「え…」
「だから、立って自分で洗うのが一番きれいになるからさ、そこはいいよ」
「あ、そ、そう?」
「それより、お前約束守れよ、自分で言ったんだから」
「え? な何を?」
「体! オイルまみれなんだよ! ちゃんと洗えよ!」
「あ、うん、もちろん洗うよ」
「髪からだからな、それから、左の胸がどうしたって?」

姉さんは、僕が本当のことを話すまで許してくれなかった。おかしいな、完璧な無表情のはずなのに。
どうして、僕がごまかそうとしてたり、嘘を付いたりしてるのが、姉さんにはわかるのかな。

「はあ、つまり左右で形が整ってない、と」
「大事なことだよ、感触とか、見た目のこともあるけど」
「そ〜う〜か〜ぁ?」
「何言ってんのさ! いつかブラジャー買う時がくるかも知れないだろ!」
「ぶ、ぶらじゃーと何の関係があるんだよ!」
「どっちにカップとサイズを合わせていいか困るじゃないか!!」
「…なんで、そういうことに詳しいんだよ、お前…」
「とにかくね! 左右の大きさだけは整えるからね僕は! これだけは譲れないよ!」
「わかった、そこまで言うんなら任そうじゃねーか」
「ん?」
それ以来、毎日姉さんの体を洗うのは、僕の日課になった。まず右胸から洗うようにしてる。
その代わり、風呂上がりの僕にオイルを塗ってくれるのが、姉さんの日課だ。
情事であふれた愛液は、風呂場までのほんの数歩の距離の間に、床まで流れ落ちそうなんだって。
それをこらえて歩くのが気持ち悪かったと、風呂場でもするようになった時に告げられた。
今まで、姉さんの瞬間沸騰ぶりに、より我慢を強いられてたのは僕の方だって、思う時もあった。
姉さんも、僕のことでいろいろ、本当にいろいろ、我慢してくれてるのにね。
ごめんね、ありがとう姉さん。今はあなたが僕の全てです。

努力のかいあってか、姉さんは右胸でも感じてくれるようにはなった。なったが。
相変わらずというべきか、右胸はペッタンコのまま、膨らむ気配がない。
刺激が足りないのかと思うけど、姉さんの乱れぶりは充分感じてる証拠だし。切ない。
これはやっぱり、擦るとか摘むとか揉む以外の刺激が必要ってことの証明なんだ。
端的には「引っ張りあげる」のが最も手っ取り早い方法で、それの疑似的方法が…「吸う」だ。
これは気圧の差を利用したやり方であって、気圧差ならどうにか練成できないものだろうか。
焔の大佐に似たようなことができるなら、僕にだってできると思うんだよね。
待っててね姉さん、必ずその方法を見つけて、胸の大きさを揃えてみせるよ!
あ、でも「吸う」ができるようになったら、まず風呂かベッドで試していいかな?











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