僕は姉に恋をする
>75氏
コンヤ ボクラハ ミタビ キンキヲオカス
月明かりが差し込む部屋で、彼女が小さな寝息を立てている
彼女ー僕の姉。たった一人の家族
昼間の姉さんは、よく笑いよく怒りその小さな身体に似合ないほどの行動力と頭脳を持っている
でも今の…夜眠っている姉さんは、いつも結わいている金色の髪もほどき無防備なほどシーツから白い素肌を見せている
無防備なのは、ここにいるのが僕だけだからだ
つい最近まで鋼の鎧だった弟。鎧でも人でも彼女にとってはただ一人の大切な弟
だけど僕にとっては…セカイデタッタヒトリノヒト
もう2度と離れ離れになりたくない‥そう呟いて見ても、彼女は姉の顔のまま優しく微笑むだけ
姉さんが眠っているベットに手を掛けると、小さく軋んだ音を出す
幼い素顔とぷっくらと膨れた艶やかな唇は、僕の影で見えなくなった
「・・・ん・・・っ」
小さく呻き寝返りをすると、指輪を嵌めた左手薬指が僕に向けられる
昨日プロポーズされ貰ったと、照れながら話す彼女
世界で一番アルが好きだと話す姉さん
左足右腕を持っていかれ血だらけになりながら、僕の魂を練成した姉さん
僕が人にもどった時、気を失うまで泣きながら「ごめん」を繰り返す彼女
綺麗で強い姉さん。反面儚く脆い15歳の少女
だから彼女は支えてくれる誰かがずっと欲しかったのだろう
瞳に涙を溜めながら顔覆いかくして、笑顔で指輪を受け取る姉さんの姿が浮かんで見える
壊してしまいたい。何もかも
いや、姉さんの幸せを喜ぶべきだ・・弟しては
でも14年間隠してきた気持ちは・・・鎧の間は自分をだませてこれたけれど、人に戻って
彼女が人としての幸せをかみ締め泣き笑っているのをみたら、隠せなくなった
許せなくなった。彼女を
僕をおいていこうとしている、姉さんを
「だから、姉さん。今夜僕は貴方を奪うよ・・」
静まり返った部屋の中で、僕は姉さんに唇を寄せた
「姉さん」
「……」
軽く唇を当て離す
少しだけ触れた唇は、思った以上に柔らかくしっとりしていてそして甘かった
ねぇ、姉さんその甘い唇で愛をささやいて、そいつを強く抱きしめるの?
ねぇ、姉さん潤んだ瞳であいつを見て、あいつにその身体を開くの?
渡さない。あいつに
誰にも見せるもんか。綺麗で強くて優しくて脆い貴方を
だから、姉弟の絆も姉さんの些細な幸せも、姉さんが願う僕の幸せも
何もかも、ぶち壊してやる
崩れ去ればいい。貴方がそばにいない未来なんか
今度は、強く触れる
僕の全部の思いを込めて、深く深く入り込んで行くように
「んっ・・!?」
息が苦しくなったようで、空気を求めて口を開いたところに舌を絡める
唇も舌も唾液も蜜のように甘い。
もっともっと触れたい。深く深く貪りたい
「ん。んんんんっ・・・やぁっ!」
自分の身体が強く突き飛ばされて、跳ねのく
「・・・アルフォンス・・・?」
姉さんは、何が今起こっったのか分からなかったのだろう
金色の瞳を丸めて、不思議そうに僕をみている
「え?・・・え?アル?・・・・何してたんだ・・?」
「・・・・・」
僕は答えない
答えない僕を訝しく思ったのか・・・姉さんは、小さくまた「…アル?」聞いて来る
僕は、そんな姉さんにクスリと意地悪く微笑んでみせながら
姉さんにとって思いもしななかった事を口にする
「何って?・・・わからない?・・・姉さんに欲情してたんだよ・・・」
あ・・アル?・・・な、何言って・・・るのか・・わかんねえぞ・・?」
普段温厚で優しい弟がこんなことするわけがない、こんなこと言うわけがないとでもおもっているのだろう?
怒るとすぐ手をだすのに、その手は小さく震えてシーツを握り締めているだけだった
「きゃっ・・」
だから言ってやる。姉さんの小さい身体を抱きしめて、力いっぱい抱きしめて
細い首筋に唇を寄せて、今度は理解できるように耳元で囁く
「姉さんが・・・好きなんだよ。いまここでめちゃくちゃに抱きたいほど・・・にね」
「ちょ・・ちょっとまて・・。俺・・考えているから。いまワケわかんないから・・・」
「ふうん。頭の良い姉さんも、2度言われても分からないことがあるんだ?」
皮肉を込めて言うと、カッときた姉さんが右手を振り上げる
顔を打たれる前に片手でひねりあげて、もう一つの手で左腕を押さえ込む
「・・・っ」
「無理だよ。姉さんは女、僕は男。力で敵うわけないだろ・・?」
「はなせっ。変な冗談はよせっ!!」
「冗談なもんかっ!!」
「イタッ」
僕は吼えて、姉さんをベットに押し倒し両手を絡め押さえ込む
自分の顔がひどく歪んでるのが分かる。姉さんが怯えた瞳で僕を見ているから
でも心地いい…
あのエドワード・エルリックが。いつも強気で前だけを見据える瞳の彼女が、僕だけを見ている
たとえそれが、世界一大切な弟に裏切られて悲しみを秘めたものでも
「や・・・やめろっ・・・くぅっ」
「やめるか・・・よっ!!」
姉さんの両手を左手だけで押さえ込み、頭の上に捻じりあげる
そして、空いた右手で姉さんの顔の間近に拳を叩き付ける
ボスっていう乾いた音だけだったが、姉さんを黙らすには効果があった
「言ったろ・・?オレは姉さんに欲情してるんだよ。・・・姉さんをめちゃくちゃにしたいくらい抱きたいんだよ!
世界中で姉さん一人しか女にしかみえないんだよっ!!・・・だから、選べよ・・・姉さん」
「僕の…オレのものになるか・・・。今日の事を一生悩んで、他の男のものになるか・・?
もう…元には戻れないんだ・・・」
姉さんは、怯えて身体を震わせ続けている。
無意識にあいつに貰った指ををそっと抑えてこの責め苦に耐えている
「っ・・・。姉さんっ。貴方が僕を振り切ってあいつのところに行くのなら、もう2度と触れないっ。会うことはないっ
絶対にっ!!」
姉さんの両目から溜まっていた雫がすべり落ちていった
「オレを…選ぶって言うのなら・・・姉さんからキスをして・・」
涙の筋を優しく唇で舐め取って、片腕で抱きしめる
ああ。姉さんは僕の腕一本で抱きしめられるほど小さいんだ。絹糸のような金の髪も白い肌も、
少し丸みを帯び始めた骨格も、さささやかな胸のふくらみも愛しくてしょうがないんだ・・
「姉さん・・。エド…。好きだ・・・。子供の頃からずっと。何よりも母さんよりも、一番大切な女の子だった・・」
姉さんは黙って身動き一つせずに、涙を流し続けていた
そんなに、そんなにあいつのことが好きなのか?
命を掛けて弟の魂を練成した以上に・・。
弟か・・。結局僕も、姉、弟のシガラミに縛られているだけなのか
もう一度、姉さんに口付けしたいけど・・もう無理だ・・・。ここにはいられない
姉さんを強く抱いていた手を離し、押さえ込んでいた両手を離し無言で立ち上がり背を向ける
「待て…」
姉さんの手が、僕の服の裾をつかんだ。そして、僕の前に回りこみできる限りの背伸びして僕に優しいキスをくれる
「・・・・・俺も・・・おまえの事はすきだ・・。でも、その好きは家族としてのものだ・・。
だから、お前の好きにしろ。俺が・・・俺がお前を失えるわけ・・ないだろ?」
そして、もう一度触れるだけのキスをくれる
姉さんにとって、姉弟と言う名の半身が、命を欠けて守った半身が離れていくのが辛いだけなのだろう
だから、こんな優しいキスしかくれない
ののしってくれて構わないのに。頭の狂った弟を殴り飛ばしたって構いやしないのに
姉さんが好きだ。だけど、憎い・・。
僕の思いをわかった上で、姉として振舞おうとするんだね・・。やっぱり…
そんなことしてると・・つけこむよ?姉さん・・・。
姉さんに見えないように俯いて笑ってから、僕は当然のように言う
「服を・・服を全部脱げよ。姉さん・・。オレの好きなようにしていいんだろう?」
一瞬だけ、キッとした鋭い瞳を僕に向ける
気の強い顔も好きだよ。姉さん
そして、黙したまま夜着を脱いでいく
小さな両の膨らみと桜色の突起が、月明かりに照らされて白く顕わになる
下着一枚になると手がやみ、最後をどうしたら良いものか唇を小さくかんで思案しているようだった
「どうしたの?なんでやめちゃうの?僕言ったよね。全部脱いでって・・」
姉をしたう弟の笑顔を顔に貼り付けて、たたみこむ
姉さんは顔を赤らめ、えいやっていう感じでショーツを脱ぎ捨てた
「こ・・これで・・っ」
僕は、姉さんが言葉を紡ぐ前に抱きしめた
「逃がさないよ。姉さん」
「っ・・。や。いたっ」
胸の膨らみを鷲づかんで、乱暴に揉み出す
「姉さん。わからせてやるよ。姉さんとオレが違う生き物だって。肌も肉も骨も全然違うっていう事ー。
姉さんが女で、オレが男だって事を・・・全身で思い知らせてやる」
「・・ひっ・・・」
まだ濡れそぼってない中心に、自分の欲望を擦り付ける
「や・・まだ。それは・・・っ」
姉さんは、僕の腕の中でイヤイヤをするように身体をゆするけど、逃がしは絶対にしない
一気に中心を貫いた
「うぁあああああー」
痛みで我を忘れるように叫び暴れるが、がっちり押さえ込んで深みの底まで進んでいく
あの機械鎧装着の時の激痛に耐えた姉さんが、僕の与える痛みに泣き叫んでいる
「く・・姉さんの中、きつくてサイコーだよ・・」
「い・・いうなぁーーーーっあぁ」
姉さんを貪りたくて、壊したくて、泣き叫ぶ様も愛しくて感じたくて、己の欲望と狂気を表したまま動き出す
「あ・・いたぁ・・あぁ。・・・やああ・・・ああ」
姉さんの破菰の証が内股を通って、ベットにしみを作っていく
「姉さんの血で、少しすべりが良くなったよ。これで姉さんも一緒に気持ちよくなれそうだね」
「う・・・あぁ。いたぁ・・や・・いやぁ・・・っ。いやだーっ・・・やぁっ」
「いやだ。いやだ、言わないでよ。・・・これ・・でも傷つくんだよね」
動きをを早めながら、蕾をなぞるとビクッと姉さんの身体が波打つ
「や・・・ぁ・・」
「どう?感じてきたかなぁ・・・姉さん?」
「か・・うぁ・・ひあ・・あ・・ああ・・・うあ・・・」
感じてなんかいないって言いたいんだろうけど・・そんな顔じゃ説得力ないよ。姉さん
涙で顔がぐしゃぐしゃだけど、身体全体にあかみが差してきて、乳房の突起も少しづ硬くなってきてる
急激に姉さんの中が収縮を強める。ビリビリとした痛みを感じるほどに
「あう・・や・・うそ・・だ・・いやぁぁぁぁぁ」
全身が小刻みに震えだし、声を張り上げる
「いっちゃった・・?姉さん・・」
一度、後ろにそってぐったりとなる。瞳は朦朧としてるのか・・輝きはなく虚空を虚ろに見つめる
左手を上げ、何かをつかむようにして、姉さんは気を失った
「ロイ・・」というつぶやきを残して・・
・・・僕は・・高みにたどり着くことはできなかった
姉さんは月明かりのした、ベットの上で静かに横たわっている
情事の前の安らかな寝顔でなく、青ざめた憔悴しきった顔で
僕の手のひらには、姉さんの大事な指輪がある
こんなものあるから・・・
僕はぐっと指輪を握り締めてから、手を開く
掌の上で指輪は解けていく
指輪を構成する分子・原子が分離を始めていく。小さないくつもの黒い手が分解を素早く行って指輪は消えた
そして新たなる物質へと再構築始める
生まれたのは紅い石。賢者の石なんてものでなくて、姉さんに似合いそうな指輪大くらいルビーの石
今・・ここで眠っている人の魂をもこの石のように分解して、再構築できたらいいのに
してしまおうか・・?僕にはそれができるから・・。真理を手にした僕なら・・
だけど・・分解した魂は同じものでも、同じも心を持って生まれ出でるわけじゃない・・
僕は姉さんという心をもった魂がほしい
全を理解しても一を得ることができないものは・・どこに行けばいいのだろう?
「ん・・・」
姉さんが寝返りをして、小さく呻いた
「姉さん・・。姉さんを苦しめるものから…姉さんを・・世界を分離させるね・・」
僕は、姉さんの額の上に手をかざして、真理の扉ひらいた
〜エピローグ〜
「おめでとう」
「おめでとう〜」
綺麗に晴れわたった青空の下の教会で、結婚式が行われている
花嫁は幸せそうに微笑んで、新郎の腕に腕を絡めている
「あんたのようなじゃじゃ馬一人娘が結婚するなんておもってなかったわぁ〜。うわぁ〜ん。ちーん
きれいよぉ〜」
「あ、こら。ウェンリィ。人のハンカチで勝手に鼻を拭くなっ」
「だぁって〜。あんた一人先に幸せになっちゃうんだもの〜・・うえ〜ん」
「おいおい・・」
「わかってるんでしょうねぇ〜。このわたしが東部までお使いにださなかったら、そこにいる旦那さまとは一緒にならなかったんだからね」
「はいはい・・・」
「そうだったのか。どうもありがとう。ウェンリィ君」
「ま、まあな」
ーーねえさん・・・
「え?だれかなんかいったか・・?」
「なになに?どうしたの?」
「あ?あれ?誰かに呼ばれたようなきがしたんだけど・・・?」
「これからタブリスまで新婚旅行でしょ?ボーっとしてたら私が言っちゃうわよ」
「べ、別にぼーっとなんかしちゃいねえよっ」
「そう?」
「それでは、私の花嫁さん。お手をどうぞ」
「・・はい」
花嫁は、新郎差し出す手に指輪した手をのせ、にっこり微笑み車に乗り込む
遠くなっていく丘の教会から手を振る人々とは別に、離れた場所で微笑んでいる少年がいたような気がして花嫁はいつまでもいつまでもリゼンプールの丘を見つめていた
ーーーせかいはぼく ぼくはせかい あなたのたましいがやすらかんことをーーー
end