天然アル子
>535氏

 爽やかな朝だ。 カーテンの隙間から朝日が差し込みオレの部屋を明るく照らす。
 昨夜はとてもいい夢を見た。
 全く覚えてはいないのだが、気持ちのいい、安心する、そんな感じだったと思う。
 もう少しその余韻に浸ろうと、オレの腕の中にある枕を抱きしめる。
 そう言えば、今抱きしめているこの抱き枕、触り心地がとてもいいよな…
 さわさわと撫でると柔らかい膨らみに触れた。
 ん? 枕にこんな物あったか…? 少し力を入れて握ってみると、
「ン…」
 鼻につくような甘い声が…
 
 ……ちょっと待て…オレ抱き枕なんて持っていたか?! そもそも枕が音出すか?!
 恐る恐る目を開ければ…そこには、気持ちよさそうに寝息をたてているアルの顔が…
 今オレが抱きしめているモノは……アルか〜〜〜〜!!
 一気に目が覚めた。
 慌てて腕を解きベッドの隅に後退る
 といっても逃げる所なんてないから壁にベッタリ張り付く形になった。
 何でここにアルがいるんだよ?!
 落着けオレ! 落着くんだ、オレ! よし、最初から考えよう。 
 ここは…オレのベッドだ。 オレがアルの所に行った訳じゃない。 
 何故アルがいるのか…昔からオレのベッドによく潜り込んでいたじゃないか。 よくある事だ。
 うんうん唸りながら考えていたら、アルが身じろぎし、ゆっくりと瞼を開いた。
「ん〜…あ、兄さん…おはよ〜」
 まだ目が醒めきってないのだろう。 トロンとしたその瞳はまた…
 ゆっくり起き上がるとかかっていたタオルケットが滑り落ち、そこから美しい裸体が露になった。
 上も、下も何も身に着けていないんじゃないか?!
「ア、ア、アアアアルゥ!! な、な、なんで裸なんだよ!!」
 そのままの状態でボーと自分の体を見つめている。
「ん…もう〜兄さん知らないの〜? 女の子は〜寝るとき下着つけないんだよぉ〜」
 知るか! んな事!! もしや…さっき握ったものは…生尻か?!
「な、なんでここにいるんだよ!」
 もぞもぞと体を動かし膝を曲げ正座するように座りなおす。
 それ以上動かないでくれ! タオルケットが微妙な位置にきているんだよ! 
 下が見えそうで見えない微妙な…
 これが男心をくすぐるアングルってやつか?!
「ん〜とね…夜寒かったから…潜り込んじゃった。」
「寒いなら上を羽織れ!! 寝巻はどうしたんだよ?! 寝巻は!」
 目を擦りながら、
「もう〜兄さんうるさい。 小姑さんみたいだよ〜ボクまだ眠たいんだから〜」
 と言ってオレの方に倒れこんできた。 裸のままはやめてくれ!! 生乳がぁ〜〜〜生肌がぁ〜〜〜
 オレの肩に頭を乗せて体重をかけてくる。 寝癖のついたアルの髪の毛が流れ落ちてきた。
 それが頬を撫で、石鹸の匂いがかすかに鼻を掠める。
 兄貴のオレでもこれは非常にマズイ! 精神衛生上よろしくない!!
 普通の野郎なら、もう齧り付いているんじゃないか?!
「ア、アル! 眠たいならベッドにちゃんと寝なさい!!」
「うう〜だってこれ、兄さんの所為なんだからね。 夜寝かせてくれなかったから…」
 …え? それって…
「あんなに激しくて…乱暴で…すっごく痛かったんだからね。 もうボクお嫁にいけないかも…」
 ちょっと待て! オレ、オレ…アルに手出ししちまったのか?!
 いや、でもオレはちゃんと上下着てるし。 けど…
 聞いた話によるとヤッた後寒くなってシャツを着る事がある…とか…ないとか…
 そ、そんな…何も覚えてねえよ…
 でも…朝の気持ちのいい夢が、現実だとしたら…?
 どど、どうしよう! 母さんごめんなさい…オレ禁忌を犯しちまったかもしれねえ…

「本当に昔から寝相悪いんだから。 ほら…これオートメイルで叩かれた痕。 
蒙古斑みたいになってるよ。 恥かしいな〜 痕残ったら責任とって貰うからね、兄さん。」
 その証拠を見せようとオレから離れ体を動かす。
 紛らわしい言い方するんじゃねえよ!! 本気で悩んじまったじゃねえか!
 オイ! 女の子がケツこっち向けようとするなよ! 
 せめて…普通の恥じらい位持ってくれ…お願いだ…アル…

朝からゲンナリするお兄ちゃん…



豆知識?
蒙古斑とは、黄色人種の乳幼児の尻などに見られる青いあざ。アルは黄色人種じゃないよね!ハハハ










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