天然アル子バレンタイン
>164氏

「いい匂いだな、何してるんだ?」
 大きな鍋の前でアルが、本を片手に格闘している。
「チョコレートだよ。 ほら、明日ってバレンタインデーでしょ?
兄さんがいつもお世話になっているからさ、東方司令部のみんなにあげようと思って。
義理チョコだけどね。」
 アル、お前はなんて出来た妹なんだ。 女の子らしくなってきて…オレは嬉しいよ、うん。
 しかし…鼻先にチョコつけて、笑いながらそれに取り組む姿はまた…
「兄さんにもちゃんと用意してあるから、楽しみにしててね。」

―当日―

「へへへ。 兄さん、はい。」
 頭に大きなリボンをつけたアルが、部屋にちょこんと入ってきた。
 チョコらしい物は何も持っていないようだが…
「ボクをあ・げ・る。」
 何ですと?! 今なんて言った?! オレの耳が腐っちまったのか?!
「あああ?! な、なに言ってるんだよ、アル!! 意味わかっていってるのか?!」
 その意味は…その意味は…うおぉ〜〜〜他の野郎が聞いたら いただきます。だぞ?!
「だってー、大佐が大好きな人には、チョコより裸にリボン捲いて自分をあげる方が喜ばれるって言ってたから…」
 大佐! オレの妹に何吹き込んでいるんだよ!! 後で〆る!!
 今のは兄貴のオレでも正直きつかった…普通なら下半身にクリティカルヒットしちまうんじゃないか…?
 でも…アル、お前本当に知らずにやっているのか?
 もしかして知っててやってるんじゃないか? オレをおちょくってるんじゃないか? 
 うあああぁぁ〜〜〜頭痛ぇ〜〜〜母さん、オレはどうしたらいいんだよ?!
 そんなオレの苦悩の顔を見てアルは大きな瞳をから涙をポロポロ流しはじめた。
「兄さん…ごめんね。 ボク…大好きな兄さんに喜んでもらいたくて…クスン…本当にごめんなさい。
兄さん怒らないで…」
 な、泣くなぁー。 泣かないでくれ。 オレが悪かった。 疑ってすまん!
「わかった、わかったから、もういいから。 な、泣きやめ。」
「…怒ってない?」
 潤んだ穢れのない瞳でこちらを覗き込む。
 そんな目で見ないでくれ! 変に疑ってしまった自分がはずかしくなっちまう。
「あたり前だろ?」
「よかった。 流石に裸にリボンは恥かしくて出来なかったからさ、
じゃあ、ボクをどうぞ食べてくださいな♪ お腹にチョコついてるんだよ。」
 よくねえよ!! 今謝っていたのは裸にリボンをしなかった事か〜〜〜!!
 服の裾を捲し上げチョコのついたお腹を露にする。
「ああ〜溶けちゃってる…早く舐めとっちゃて!」
 だあぁぁぁ〜〜〜〜〜〜やっぱりわかってねえよ。アル!!
 ナニやってるんだよ?! ナニ言ってるんだよ?!
 くそ! 本当に食っちまうぞ!! バカやろう〜〜〜〜〜!!
 
と悩みながらも手を出さないお兄ちゃん。
おや…本当に天然なのかわからなくなってきた…
次回…ホワイトデーに天然アル子の本性が暴露される!!…訳はない…










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