エド×アル子純愛系
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「に、兄さんってばっ、こんなところで…んっ」
エドが反抗しようとしたアルの口を塞ぐ。
舌の絡み合う音が部屋中に響き、しばらくして唇が離れると唾が糸を引いた。
更にアルの口の端に垂れた唾液を舐め取りながらアルの腰を掴み引き寄せる。
「いーじゃねーか、どこでやっても一緒だろ。ほら、脱げって」
ぶっきらぼうにエドが急かし、服の裾から手を入れ柔らかいふくらみを掴む。
突然の愛撫にアルは思わず声を漏らした。
「あっはぁっ…や、駄目、ここは、ぐ、軍部なんだから」
アルが人間の体を取り戻せたのを機にエルリック兄妹は軍部に通うようになっていた。
エドはさっさと軍から離れるつもりだったが、お世話になったのだからとアルが言うのでしばらく軍の仕事を手伝うこととなったのだった。
そんな訳で今日も仕事を手伝っていた二人は休憩室で一眠りしようとしていたのだったが。
「せっかくアルが元に戻ったってのに最近軍の仕事ばっかだったし、俺もたまってんだよ…な?やらせてくれよ」
何だかんだと言いながらもう服を脱がせ、スカートに手をかけている。
ここまできたらもう何を言っても無駄なことはアルにもわかっていた。
「ん、もう…じゃ、いいよ、んっ…でも一回だけだからね」
「やっりぃ!」
幼い子供のようにガッツポーズをしているエドを見てアルは微笑んだが、その後に容赦なく来た愛撫に思わず声を出した。
「やっ、ふあっ・・・兄さ、もっと落ち着いてってば・・・っはぁっ」
アルの言葉を聞いているのかいないのか、エドは何も答えず胸をまさぐる。
最初は声を抑えようとしていたアルも、段々こらえきれなくなってくる。
「あっ、や、んん・・・はぁあっ」
エドの手が下着にかかろうとした矢先だった。
「あー、お楽しみの最中ですまんが」
「ぬぁっ!?」
エドが振り返ると、渋い顔をした大佐がドアの側に立っていた。
「兄妹でやるのはかまわんが、軍部では控えてくれないかね鋼の」
「て、てめーいつからそこにいたんだよ!つーか出てけ!」
大佐の目が妹に釘付けになっているのを見てエドは慌ててロイを部屋から締め出した。
「な、なんなんだよ一体。いいところで邪魔しやがって」
「『いいところ』で悪いが呼ばれてるぞ、鋼の」
「は?誰に」「大総統だ」
聞いてガックリうなだれるエド。
「大総統が俺に何の用だよ一体・・・」
「知らん。ともかく早く行った方がいいな。1時間くらい前から呼ばれていたぞ」
「ま、マジかよ!アル!俺呼ばれてるみたいだからちょっと行ってくる!ここで待ってろよ!」
そのまま走り去ろうとしたが、ふと思い出したようにロイの方を振り向いた。
「てめえも早くどっか行け!アルに近づくんじゃねーぞ!」
般若かと思うくらいの顔をしてそれだけ言うと、エドは走っていった。
ロイはしばらくその後ろ姿を見ていたが、やがて金色のみつあみが見えなくなると、堂々とアルの居る休憩室に入ってきた。
「きゃ!わわ、えっと、ごめんなさい、まだ服着てなくて・・・っ」
「いや、着なくていい。どうせ脱がすのだからな」
「へ?」
予期せぬ返答にアルが戸惑っているとロイは後ろ手でドアを閉め、鍵をかけた。
ガチャ、と重い音に危機感を感じて体を起こす。
「た、大佐?あの」
「こんな格好の妹を置いていくとは鋼のも甘いな」
「え、ちょ、やっ」
ロイは逃げようとするアルの手を掴み、ベッドに押し倒した。
「済まないね、そんな格好でいるから我慢出来なくなってしまった」
「じょ、冗談ですよね・・・?」
「本気だ」
それだけ言うとロイはすかさずアルの下着の中に手を入れた。
ぐちゅ。
粘液性のある音がして、ロイの指に蜜が絡みついた。
「それにこれだけ濡れていては困ると思うのだがな」
感じていることを暗に指摘されアルの顔が真っ赤になる。
同時にこれからの行為を期待してか、更に蜜液がとろとろと溢れ出た。
ロイがそれを掬い取って舐める。
普段とは違う妖艶な顔つきの大佐に思わずアルの胸が高鳴った。
アルの体液を舐めとった後の唾液のついた手で、胸を揉まれる。
エドと違って随分大きい手のひらは、アルの双丘を荒々しくまさぐり乳首を摘む。
普段とは違う愛撫に思った以上に感じてしまい、恐れで一杯だった頭の中が快感を訴え始める。
「あぁっ、あぅっん、や、はぁっ」
その声を聞き大佐は満足そうに笑み、その口を乳房に近づけた。
生暖かい唾液のついた舌に舐められ、段々と中心が硬く尖っていく。
「ふぁっ、あぁっ、んんんっ」
口と片手で乳房を愛撫していたロイは、あいた手で蜜の溢れている場所を軽くなぞった。
「ひあぁっ」
熱い快感にアルは更に高い嬌声をあげる。
「ふむ、やはりここがいいのだな」
一人納得したように呟くと乳房を触っていた手を離し、両手でアルの太ももを大きく開いた。
アルの濡れた女性器があらわになる。
「や、やだぁっ」
兄以外の人にあそこを見られているという事実が、快感に溺れて忘れていた羞恥心を引き戻した。
「や、やめてくださ、あぁあっ」
ロイが顔をそこに近づけてキスをしたために、アルの懇願はすぐさま嬌声へと変わる。
ぬちゅ、ぐちゅ、じゅるる、と音を立てながらロイは蜜を吸う。
その快感にアルはもう喘ぎ声を抑えることは出来なかった。
「やっ、ふぁっ、あはぁっ、ああぁあんっ」
ロイが蜜を吸うたび、またそこから蜜が溢れ出した。
とうとうロイの舌が中に入り、突起を舐めた。
「はぁぁあっ!」
「いい声だ。いつもこんな声を鋼のに聞かせているのか?」
そう言いながら今度は指を中に入れ、アルの首筋を舐めた。
「やぁぁあっ・・・」
快感にアルは涙を流す。その雫を舐め取りながらロイは指を襞に這わせた。
ぐちゅぐちゅと淫猥な音が部屋に響き、その音で更なる快感を得る。
もうアルは限界だった。
「た、たいさ・・・」
「ん、何だね?」
アルの呼びかけが何を指すかロイにわからぬはずもなかったが、
ロイはあくまでとぼけた顔でアルに答える。
「あ・・・も、もう駄目なんです・・・」
真っ赤になってアルは言ったが、ロイはそれでも許してはくれなかった。
「言いたい事がよくわからないな。はっきり言ってくれないか」
「そ、その・・・た、たいさのが、欲しいんです・・・っ!」
性欲が羞恥心に勝ち、アルはとうとう彼を求めてしまった。
その言葉を聞いてロイは満足そうに頷くと、軍服を脱ぎ始める。
彼の性器は既にそそり立っていた。
その先っぽでアルの入り口を撫で、それからいっきに貫いた。
「あああっ!」
「くっ、きついな・・・」
うっすらと汗を浮かべながらロイはゆっくりと動きを始めた。
律動に沿ってアルも喘ぎ声を出す。
「あっ、あっ、はぁっ、あぁっ、あああっ」
ず、ぐちゅ、と音がし、律動が繰り返される。
同時にロイはアルの乳房を舐め、乳首に歯を立てた。
「ふぁっ、ああっ、あはぁっ」
ロイは太ももを持っていた手を離し、クリトリスを攻める。
「ひぁぁぁっ!」
あまりの快感にアルはびくびくと震え、ロイを一層締め付けた。
「あああっ、たいさっ、もうだめぇ・・・っ、あああああああっ!」
やがてひときわ高い嬌声が聞こえたかと思うと、アルは体をしならせてロイと共に果てた。
「大丈夫かい、アルフォンス君」
上機嫌で軍服を着なおしながらロイはアルに話し掛けた。
一方アルはというと、エド以外の人と寝てしまったことにひどく落ち込んでいた。
「・・・・・・ひどいです、大佐」
「何を言ってるんだ、やってる最中はあんなに喜んでいたくせに」
言われて行為を思い出し、アルは真っ赤になる。
「た、大佐が悪いんですっ」
「ははは、どちらにしろとても良かったよ、君の喘ぎ声は」
「なっ」
「じゃあ私は仕事があるので失礼するよ。ではまた機会があればよろしく」
にこにこしながらロイは去っていったが、
さりげなく二回目を暗示する彼の言葉にアルは呆然としたのだった。
「い、行っちゃった・・・」
アルは呆然としながらぼそりと呟いた。
ベッドのシーツはこれ以上ないくらいに乱れ粘液でべたべたになっていて、
脱がされた服はその周りに散乱している。いかにも情事の後といった感じだった。
「あーあ、どうしようこれ・・・兄さんが帰ってくる前にどうにかしないと」
ベタベタする体を我慢して服を着ながら考えを巡らせた。
とにかくどうにかして兄さんが帰ってくる前にここを片付けて、それからシャワーを浴びたい。こんな体のままで居たくない。
何より大佐とあんなことをしたなんてことがもし兄に知られたら。
そう思っただけで目尻に涙が浮かぶ。
―――駄目だ、絶対隠さなきゃ。兄さんに嫌われるなんて絶対に嫌だ。
そう決めてこの状態をなんとかしようと腰をあげた瞬間だった。
トントン。
「アル、入るぞ」
「えっ」
突然のことに止める暇もなく、エドはドアを開けてしまった。
「に、兄さん、ごめん出てって!」
アルは慌てて締め出そうとするが、勘のいいエドはが気づかないはずもなかった。
「何だよ、この臭い」
険しい顔をしてアルに問い掛ける。
そんな怖い兄の顔を見たことが無くて、弁解しようとしたが声が出ない。
「あ・・・」
冷や汗が出るというのはこのことを言うのだろうか。
頭に血が上ったような、それでいてうすら寒いような気分。
エドを止めることも出来ずただ立ち尽くす。
その間にエドはつかつかと入ってきて無言で部屋中を見回していた。
「・・・・・・まさかヤったのか?」
しばらくしてやっと聞こえてきた兄の声は、今まで聞いたことのないくらい冷たい声だった。
その背中を見ながらアルは思い出す。
ああ、そういえば前にも耳にしたことがあった。
父を「アイツ」と呼ぶとき、ニーナが殺されたとき。
―――それから、人体錬成を決意した時だ。
そこでアルの意識は現実へと引き戻された。
向こうを向いていたはずのエドが急にこちらを振り向いたからだった。
その顔を見て、どきりとする。
怒ったような、それでいて泣きそうな顔。
「兄さ」
「ヤったのか?なあ、答えろよ。相手は誰だ、大佐か?」
思ったより静かに、だが燃えるような瞳で聞かれて。
アルは気づくと静かに頷いていた。
その肯定の動作を見て、エドは更に絶望的な表情を見せた。
ボクは自慰とでも言えば良かったんだろうか。
そうしたら兄さんにこんな顔をさせることはなかったんだろうか。
でも、兄さんに嘘はつきたくなかった。
「ごめんね、大佐とやっちゃった」
その言葉を聞き、無言で部屋を出ようとするエド。
アルには兄が何をしようとしていたかわかっていた。だから、ドアの前に立ちふさがった。
「ごめん、兄さん。謝るから、大佐のところには行かないで」
「お、お前、大佐を庇うのかよ」
「だって、恩人だから」
「だからってなぁ、そんなんで収まるかよ!・・・お前は大佐が好きなのか!?」
「違うよ。違うけど・・・」
「意味わかんねーよ!大佐はお前を汚したんだ!何で許せんだよ!俺は許せねえ!」
エドはダン!と側にあった机を叩いて喚き散らした。
「ごめん、兄さん」
アルがそう呟くように言った途端、エドはアルを掴んで力任せにベッドに押し倒した。
「兄さん?」
兄が何をしたいのかアルにはわからず、眉をひそめて問う。
だが、エドは聞かずにアルの服を脱がせ始めた。
そこでアルはやっと気づいた。兄がしようとしていることに。
「兄さんやめて」
「やめるか!お前、大佐にレイプされたのが良かったんだろ、感じたんだろ!
じゃあ俺もやってやるよ、お前を無理矢理犯してやる!」
悲しいくらいの笑みを浮かべて喚くエド。今にも泣き出しそうだった。
「やめて、こんなことやったって兄さんが後で後悔するだけだよ」
「うるせえ!」
叫びながらエドは右手でアルの胸を荒々しく掴んだ。
「痛・・・っ痛いよ、やめて」
「痛いとか言いながらそのうち感じてくるんだろ、なあ!?お前は淫乱な奴だなアル!」
淫乱、と言われて、アルはとうとう今まで我慢していた涙をポロポロとこぼした。
「違う、違うよ・・・ねえ、ボクが好きなのは兄さんだけだよ。だからやめてこんなこと」
「好きなのは俺じゃなくてセックスだろ!」
そう言ってエドは左手で太ももの間に手を入れた。下着をずらし、膣に指を入れる。
「やぁっ、やめて、ふぁぁあっ」
先ほどの行為がフラッシュバックし、再びそこから蜜が溢れ出す。
冷めてきたはずの体がまた熱を帯び、ほんのりと赤くなった。
「ほら、もうこんなに濡れてきたじゃねーか。」
と左手をぐちゅぐちゅとかき回す。右手は休まずに胸を揉みしだき、もう片方の乳房をしゃぶる。
「あぁぁ・・・っ、お願い兄さ、ぁぁあ、やぁ、め、はぁぁっん」
急速に手を動かされ、アルは快感に身を震わせる。
粘液の音と共に、甘く熱を帯びた声が淫猥な音楽を紡ぐ。
段々と激しくなる指の動きにつれて、その声も小刻みになっていく。
エドが指を曲げてぐりぐりと擦るとアルは体を弓なりにさせながらあっという間に達した。
「手だけでイくなんてやっぱアルは淫乱だな」
アルをイかせた後も尚エドの表情は和らぐことはなく、アルははぁはぁと息を吐きながら涙をこぼした。
「兄さん・・・ひどいよ・・・」
「・・・っ!ひどいのはお前だろ!?俺が、どれだけお前のこと・・・っ!」
エドはそこまで言ってから顔を歪める。続きは言わずにまたアルの口を塞いだ。
「んっ、やっんんっっ!」
「俺はっ俺はっ」
エドの頬でキラ、と光が反射する。アルはそれが涙だということに気がついた。
「兄さん」
「俺は・・・!」
「ごめんなさい、兄さん。ごめんなさい。だからお願い、泣かないで」
そう言って、アルは手を伸ばしエドの頬に伝う涙をぬぐう。
「兄さんのためなら何でもやるから、だから泣かないで。おねがい・・・」
アルはエドの頬に口付けた。エドの目が見開かれる。
途端にエドの目から涙が溢れ出し、アルの上へとこぼれた。
「・・・っごめん、俺、こんなことするつもりじゃ・・・っ、ごめん、アル、ごめん・・・っ」
泣きじゃくりながら謝るエドにはいつもの大人びた気配はなく、ただ、ひたすら妹に向かって謝罪の言葉を吐き出し続けていた。
「兄さん、ボク兄さんのこと大好きだよ。誰よりも大好きだから」
「・・・お、・・・俺も」
やっとのことで声を出すエド。
涙も鼻水もだらだらと流している兄を見てアルは思わずくすりと笑った。
「良かった、じゃあ両思いだね。」
はにかむように笑うアルを、エドはぎゅっと抱きしめた。
夕日で真っ赤に染まった部屋の中で、二人はそのまま涙を流し続けていた。
おわり