ラプンツィエル
>326氏
「ああ、いらっしゃい大佐」
扉を開けると、少女は花を生けた花瓶をダイニングテーブルの上に置いたところだった。
「……やぁ、アルフォンス君」
「こんにちわ」
にこりと微笑んだその顔はエドワード=エルリックの顔をしている。
リゼンブールと言う名の田舎町に良い腕を持つ錬金術師が居ると聞き、わざわざ足を運んだ事がある。
けれどその家には夥しい血痕が残されたきりで、人の姿はどこにも無く。街で1件しか無い
機械鎧を取り扱う技師職人の家で、ようよう見つけ出したその錬金術師には左足が欠けていた。
老婆の言う事には、彼女には妹が居たらしく。あの忌まわしい人体錬成の際に、全消滅したそうだ。咄嗟に行った魂の錬成は、彼女の右手の自由を奪った。外傷など何も見当たらないのに、指一本動かせない、のだそうだ。――彼女でなければ。
「また、戦争が始まったそうですね」
右手で花の並びを整えながら、アルフォンスはその整った眉根を曇らせた。腰の中ほどまで伸びた三つ編みが、薄手の淡い青色に染められたワンピースの上で揺れる。
「また、前線へ?」
「ああ。もう大佐ではない。今は准将だ。近々少将を拝する事になる」
「それは……おめでとうございます。でも呼び方に困っちゃいそうですね。大佐って呼び慣れちゃったから」
アルフォンスは困ったような顔で、穏やかに笑った。エドワードの顔で。
エドワードの練成は失敗だった。アルフォンスの魂は戻ってこなかった。叫び、嘆き、自分を責め、エドワードが完全に自失状態に陥った後、それは現れたのだそうだ。
アルフォンスと言う名の人格が。
彼女が現れて後、エドワードの心はゆっくりと壊れていった。今では幻のアルフォンスと会話するだけが彼女の毎日だ。アルフォンスが居なければ、生きるための最低限の事すら出来ずにいずれ死に至っただろう。一度だけ尋ねたことがある。辛くは無いか?その答えはこうだった。
『ボクはもう何も失う事無く、永遠に、一緒に生きられるんですよ。これ以上の幸福は無い』
その答えを聞き、もう二度と聞くまいと心に誓った。
あれからもう……5年が過ぎようとしている。
「それじゃあ、お祝い……しないといけませんね」
ドアの前に立ち尽くしていた私の前に少女が立ち、そっと右手を取られた。付けたままだった発火布の手袋に鼻先を押し当てられる。
「……血と、煙の匂いがします」
ちろりと赤い舌が、布越しに指先を嘗めた。ぞくりと背筋を走るものに押されるように少女の腰を引き寄せ唇を奪う。
「ん、……んぅ、……」
乞われるように伸ばされる舌先を絡め、口内を犯しながら服の上から少女の胸元をまさぐる。
小ぶりで形の良い乳房は手のひらで柔かく形を変え、つんと尖った先の飾りに指先が掠める度にびくびくと少女は震えた。片方の手で胸を弄り、もう片方の手は服の裾から滑らかな太ももを撫で上げ、その感触を楽しんでいる。手袋をしたままの手が肌を滑る感触が心地悪いのか、軽く身を竦める仕草にそそられ、一層口付けが深くなる。
アルフォンスの震える指先が、ワンピースの前ボタンに手をかける。震える余りボタンは外れず、焦れた私は薄手のワンピースを引き千切るように剥いだ。裸身の半分が晒されると、白い肌が薄桃色に色付いた。そのまま溺れるように舌を絡め合いながら、その背をテーブルに押し倒す。
「あ、ふぁ、、、あ」
空気に晒された胸の先端を摘むように弄ると、堪えられなくなったのか悲鳴が上がる。
捲り上げたスカートの裾から手を入れ、腹から腰にかけてのなだらかな感触を楽しむ。
「あっ!ふっ、ああ、あ!」
唇を開放し、首や鎖骨に痕を残しながら舌先が胸に辿り着く。尖る乳首を舐るように嘗め上げると、震えながら背を逸らす。
その間に、下半身を彷徨っていた手が、親指の腹でスリットをゆっくりと撫でた。
「ひ、んあぁ、あっ」
しっとりと湿りを帯びたその下着の上から、自身を受け入れる場所を親指で押してやると少女はいやいやをするように首を振った。
「たい、さっ、てぶく、ろ……外して、くだ、さ……っ、ああっ!」
その声を無視して中指で入り口をノックすると、面白いように身体が跳ねる。胸元で可哀想な位立ち上がった乳首に柔かく歯を立て、中指で柔かい肉をかき分けながら、親指で肉の芽を潰す。
「い、あ、ああぁ……っ!」
途端、びくりと大きく身体を揺らし、アルフォンスは甘い悲鳴を上げた。
「酷いな……私を置いて、先にイってしまったのかい?」
「ごめ……なさ……」
「お仕置きだな」
下着の上で彷徨っていた指先を、横から忍び込ませ、奥に捻じ込む。
「あっ!ああ、や、てぶくろ、やぁっ」
「嫌だと言う割に、ここはもうどろどろだ」
荒い息遣いの音しかしない部屋の中では、つぷつぷと言う水音すら高く響く。嫌がる彼女に構わず、手袋をしたままゆっくりと彼女のそこに指の出し入れを繰り返す。
「あ、やだ、や、ああっ」
「手袋の感触はどうだね?随分喰い付いて来ているよ」
「ぁ、ざらざらして、ヘン、です……っ!も、もう、もう……」
人差し指を添え、軽くその場所を開いてみると、息を呑む音が高く響いた。
「やだ、っ、開かない、で」
「分かるかね?君から零れた雫が、床にまで染みを作っているよ」
「い、言わな……っ、もう、はやく……っ!」
焦らすようにそのまま数度、指を遊ばせる。逸らされた喉元に赤い痕を見つけてほくそ笑む。
「早く……?何かな、最後まで言って貰わないと分からない」
「あ、あ、もう、くださ、いっ、あっ!」
「何が、欲しいのかな……?」
ぐっしょりと濡れた下着を、ゆっくりと下ろしていく。秘部から漏れた体液が、つと一筋、下着との間に糸を引いた。
「ふぁ、たいさのを、ココ、に……」
細い指先が自らの手で秘部を開く。赤く熟したその場所がひくひくと震え、誘う。
我知らず唾を飲み込んだ。もう限界だ。
「宜しい、存分に味わいたまえ……!」
「あ、はっ、ああああああぁっ!」
叩きつけるように打ち込んだ自身は、熱く柔かい肉の圧を押し広げながら最奥へぶつかった。
入れただけでイってしまったのか、少女の身体がぴくぴくと痙攣する。それに構わずうねるように絡み付く内壁の抵抗を楽しみながら、出し入れを繰り返す。幼い身体付きに不似合いな程、その場所は複雑にねっとりと絡みついてくる。
「あ……、はっ、あ……ぁん、ふ、」
入れてしまえば、理性が吹き飛ぶのは常の事だった。足を大きく開かせて、その中心に捻じ込む。赤く充血した肉芽を摘むと、きゅっと膣が収縮し、がたりとテーブルを大きく揺らして身体が跳ねた。その動きで花瓶が床に落ちる。自分の好きなように少女の身体を揺さぶる。
小ぶりな胸がふるふると揺れる。小さな身体に覆い被さり、噛り付くようにその胸に歯形を残す。
「あ、ああっ!も、ぅ、は……っ、あ!」
「く……」
ざわめく内部では小さな襞が、緩くキツく肉棒を締め上げている。小さな身体を丸ごと征服している背徳感に、頭の芯がくらくらする。
繋がった身体を裏返し、丸く小さな尻を掴みながら突き上げるように犯す。いやらしく自分のモノを飲み込む彼女との結合部分は、彼女から溢れた蜜で泡立っている。
「ああ、んぁ、ふあぁっ!」
「そろそろ、いくぞ……っ」
「んんっ、たいさ、たい、さっ!」
悲鳴と共に絞り上げるように中が蠢き、そのまま最奥に自身を放つ。狭い其処からごぷりと音がして、白濁が逆流してくる。
「……く、」
「は、あ、ぁ」
ぐったりと力を抜いた彼女から自身を引き抜く。彼女はゆっくりとその身体を起こし、快楽の涙で潤んだ瞳で、私の前に跪いた。ちゅ、と音を立て、今まで彼女の中に入っていた肉棒の先端に口付け、吸い取るように口をすぼめた。ぴくりと腰が揺れる。玉を柔かく揉み上げて、竿を唇と舌で嘗め取られる。大体清められた頃には、既にまたそれは立ち上がっている。
焦らすようにゆっくりと小さな口を大きく開き、赤黒い肉棒を喉を突く程奥まで少女は咥えこんだ。吸い上げながらゆっくりと、次第に早く前後に頭を揺らす。指先は細かく振動し、刺激を与え続けてくる。そのうち我慢が出来なくなり、少女の頭を抱え、前後に揺らし快楽を貪る。
「全部、呑むんだ」
「ん、ん、んぅ!」
告げると同時に彼女の口の中で果てた。少女の白い喉がごくりと嚥下するのを見た。
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「……そう言えば、またボクだけ脱がされてるような」
「しかもまたベッドに行き損ねたな」
「気が短いんですよ、大佐は」
「君に言われたくないぞ、そんなこと」
腰の立たなくなった彼女を抱え、ベッドに運んで寝かせてやる。壁に凭れるように座らせ、その隣に腰をかけた。と、アルフォンスは、あー!と声を上げた。
「服破れてる……」
「すまない」
「それだけですか?」
「悪かった」
「前もこんなことがあったような」
「反省してる」
「前もそんなことを言われたような」
「気のせいだろう」
そうだったかな?と首を傾げ、アルフォンスは唸った。思わずくすりと笑みが漏れる。
「人を殺してきたんですね」
唐突な言葉に、僅かに眉をしかめ、もう一度笑った。
「ああ、そうだ」
「ボクら、うまいこと出来てますよね。人を殺す度に女を抱きたくなる大佐と、人に抱かれて存在を確認するボクと」
「皮肉かい?」
「とんでもない。感謝してるって言いたかったんですよ」
アルフォンスの瞼がゆっくりと降りていく。エドワードの瞼がゆっくりと降りていく。
私は時々わからなくなる。このアルフォンスは、果たして本当にエドワードが作り出した幻なのか?
それとも本当に、彼女は魂の練成に成功していたのだろうか?
眠りに落ちる寸前、アルフォンスはぽつりと呟いた。
「けれどボクらの思いは、ずっと、ずっと、決して届かないんでしょうね」
返事をする間も無く、アルフォンスの首が垂れる。
次の瞬間、そこに居たのは先ほどの少女とは別のものだった。
「……あぁ、よく寝た」
やぁ、と声をかけてみる。けれど視線は動かない。
彼女はどこか中空をぼんやりと見つめている。声は届かない。
「おはようアル。なんだよ、眠かったんだよ、そんな怒るなよ。はいはい、わかった、わかりましたー……」
彼女は誰も見ない。自分の中に作り上げた、アルフォンス以外は。
楽しそうに笑う彼女は、穏やかで、安定している。自らの殻の中で、とても幸せそうにしている。
隣に座っていても、その目は私を見ることは無い。
そう、思いは届かない。私たちの思いはどこにも行く当てが無い。
彼女の背中で揺れる金色の三つ編みをそっと手に取り、口付けた。
……また戦場に戻る。