酒と女と友人と
>607氏
【百合注意】
「今年もまた、中尉の部屋で年越しか」
床に座り、ソファーにもたれ、シャンパングラスを傾けながらネグリジェにガウンロイ子は呟いた。
「私では、ご不満ですか?」
「いや、そんな事はないけど…」
「けど?」
「随分、長い付き合いだが、未だに君の恋人に会ったことがない」
「恋人なら、そこにいます」
優しく微笑むリザの視線の先には、すやすやと眠る愛犬・ブラックハヤテ号の姿があった。
「人間の男には、興味はないのか?」
「興味がない訳じゃありませんが、それ以上に興味深い方はいますよ」
「ほう、始めて聞いた。どんな人だ?」
ロイ子はソファに肘をついて身を乗り出しす。
リザはソファに腰掛けたまま、ロイ子のシャンパンを注ぎながら答えた。
「優しくて、思いやりがある人。その癖、強がって意地を張ってばかり。それで、いつも損ばかりしてる。バカが付くほど正直で、仲間の事になると見境が無くなってしまう」
「うーむ、あまり出世しそうにない男だな」
「おまけに、雨の日は無能」
「は?」
「無能なんです、その人。水に濡れると、まるでシケたマッチ」
「あ…あの〜、もしもし?」
「不倫女で、クリスマスやお正月、家族が集まる時期には必ずうちに来て、入り浸る寂しがり屋のバカ女…」
「ちゅ…中尉? リザ?」
グラスをテーブルに叩きつけるように置き、リザはロイ子の鼻先まで顔を近寄せて言った。
「だーかーらー、男なんてやめとけ!!」
「はっ、はい!?」
「あなたは、私が、命に替えても守ってあげます! 女房子供が一番の男なんてやめて、私のものになりなさい!!」
「ででででも、私達は女同士…」
「ロイ子!!」
「はい!?」
「誰にでも欠点はありますから!!」
リザは、いつになく酔っていた。
酒に強い筈の彼女が何故と、小首を傾げながらも、ロイ子は半笑いで宥め始める。
「まあまあ、リザ。気持ちは嬉しいよ。でもね」
「私が女なのが、そんなに不満ですか!?」
「不満も何も…」
「私だって、好きで女に生まれたわけじゃないんです。でも…でもね…」
ロイ子は狼狽えながらもグラスを置いて、突然泣き出したリザを、抱きしめてやる。
「わかった…、わかったから、ねっ? リザ?」
「本当に?」
「うん、うん」
「嬉しい!!」
やにわに押し倒されて、ロイ子は慌てた。
「リザ、ちょ…まっ…んん…!!」
リザが唇を重ね、舌を吸われ絡ませてくる。
驚いて固まっていると、大きな胸を優しく揉みしだかれた。
「ま…、待って、リザ。私はッんうッ…や…そんなぁ…」
ネグリジェの裾をたくし上げられ、リザの指が下着越しに割れ目をなぞりあげる。
「ああ、これが、ロイ子の……」
割れ目からはみ出したクリトリスを優しく指の腹で押されて、ロイ子は小さな呻き声をあげた。
「や…やめて、リザッ!」
「ここが、感じるのね…?」
「や…だめ……リザ、女同士でこんな事…いけない…あんッ…」
「そうかしら。では、これはなに?」
ショーツの腋から滑り込んだリザの指が、ロイ子の膣の中へと潜り込む。
「やッ、やめてッ!」
慌てて膝をとじ合わせても遅い。
自分の物でもない、男の物でもない指が、優しくロイ子の柔肉をまさぐり始めた。
「あ……いや…動かさないで……」
「そう? この辺りはどうかしら?」
「…うッ……ふぅッ…アアッ、いやぁッ!!」
「そう、このザリザリした所がいいのね?」
「お願い…や…やめてッ、あ…ああッ!」
「思った通り、可愛い声で鳴くのね」
「やぁ…やめてぇッ……」
「いつもはこの指より、何倍も太い物を銜えて喜んでるくせに」
「お…お願い…リザ…」
「貴女がいけないのよ。そんな可愛い目をして私を見るから…」
「リザ…」
「いいわ。男では味わえない快感を、教えてあげる…」
顎を掴まれ濡れた瞳で、ロイ子はリザを見あげた。
同性に身体をさぐられるのは、異性とは違った恥ずかしさがある。
でも、リザなら…。
「リザ……」
甘い声で名を呼び、ロイ子はあっさりとリザに身をゆだねた。
二人の新年は、まだ、始まったばかりだった。
おわり