家族の肖像
>688氏

ピアノ発表会のロビーで、音楽教室に通う生徒の保護者ら、ヒューズ、ブラッドレイそしてホーエンハイムらは一同に会した。
出番の迫る緊張感を感じる娘らをよそに、我が子が一番だという主張を親父達は譲らなかった。
―――ヒューズは娘にピンクのフリルドレスを着せてその姿を自ら絶賛していた。
そして、両手で抱きあげ、高くかかげる。
「私の娘は妻に瓜二つの美人です。もう、むっちゃ可愛いでしょう?」
―――ブラッドレイはつぶさにあしらう。
「ふむ、だがありていな美人は幼女のころから平凡だと聞く」
―――ホーエンハイムは変化を望む。
「私の研究では、醜悪な幼女が思春期を迎えて発情するときがポイントです。
そこで、はじめて色づく女になるという進化こそが一番ではないかというのが自説でして!」
「誰が醜悪だっコラ!」
「いてっ、冗談だよエド子」
「俺がぶさいくだっていうのかてめえ?」
「違うよ、ぶさいくでも発情すればかわいくなるって」
「死ねやコラァ」
くだらない発言に、唯一娘に電動ノコギリで殺されかけたホーエンハイムはエド子に追いかけられてボコボコに砕かれた。
冷ややかな視線を送るブラッドレイは残るヒューズにこう諭す。
「君の娘の変化は時間軸に沿って正しく進むのだろうな。
成長した美少女が周りにちやほやされる姿が目に浮かぶよ」
「そう、周囲に美少女だと認識されすぎてて幼女の頃から美少女人生でまいっちゃうよなあ、エリシアちゃん」
「パパァ〜、髭痛い、口臭い」
すりすりと抱きかかえた娘にほお擦り視ながら、ブラドッレイの冷静な視線をよそに、ヒューズはのろけをしゃべりまくる。
「可愛すぎてあったりまえで、埋もれちゃうんですよね」
「そうか、ではやはり私の勝ちだ」
「はあ?」
ブラッドレイは、セリ子に目配せし、持たせていた水筒を皆の前でごくごくと飲み干させた。
すると、セリ子は少女からむくむくと変化して、
「あらためてこんにちは皆様。セリ子です。成長促進剤で15歳の体になりました」
「おお、幼女激変ではないか!」
すぐさま反応したホーエンハイムはエド子に再びタコ殴りにされていく。
「セリ子、ドレスが良く似合うよ。見積もったつもりだったが、少しサイズが小さかったかな?」
「お父様、大丈夫です、夜に戻ったら胸もへっこみますから」
もとから、かなりぶかぶかのドレスだと思っていた一同はようやくセリ子の衣装の謎に納得した。
だが、ただ一人…飛びついた。
「ちょっと君、その胸は本物かな?ドキドキ、おじさんに触らしてくれない?」
「あの、…きゃあ」
「おお、くまさんパンツ、やっぱ食い込んでるぞ」
セリ子のスカートをめくったホーエンハイムは、続いてほんわりと膨らんだセリ子の胸をわしづかむ。
「いやん」
「かわいいおっぱいだあ、ちゃんと膨らんでるねえ」
「きゃあん」
さわさわと揉みしだいて興奮していたホーエンハイムは、そこでハンマーによって後頭部をエド子に殴られる。
失神する直前、ホーエンハイムは泡を吹きながら
「エド、子…負けるな、胸が小さいくらいで」
一発、そこで最後の一撃を食らったホーエンハイムはエド子に思い切りよくしばかれた。
しかし彼女の父親の手は、最後までエド子のスカートをめくろうとあがいていた。
エド子は、発表会の出番までに廃棄物処理場と臓器バンクに親父を捨てに行ったため、すこし送れて演奏に入った。
そして彼女はそこで別れの曲を見事に奏でたという。
ブラッドレイは、セリ子がやはり一番だったが、熱の入ったすばらしい演奏だったとエド子に拍手を送っていた。
「あっぱれあっぱれ」
「エド子さん輝いていました!僕、尊敬しちゃうなあ」
終演後、ロビーの隅でブラッドレイとセリ子にそう告げられたエド子は、女体盛りを施された焔の錬金術師の記念品をそこで進呈された。
そして、この父娘がホテルに直帰していく姿を見送り、記念品に話しかける。
だが、記念品は先につぶやく。
「鋼の、何も言うな」
「風邪ひかない?」
記念品は寒空の下、盛られた刺身の鮮度を遅さぬように冷いまま放置されていたらしい。
あの父娘の使用済みを進呈されたエド子は、
「しょうがねえなあ、ひきとるよ」
くしゅんとくしゃみをもよおして凍えている女体盛りにコートをかけた。
記念品はうれしそうにわかめ汁をたらしてエド子に抱きつく。
そして二人は新たな姉妹として幸せに暮らしていったいう。


*****************


豪奢なスイートルームに直帰した彼ら、キング・ブラッドレイとその養女、セリ子は夕食をたらふくたいらげた後も上機嫌でいた。
何より、本日の娘のピアノ発表会の出来の素晴らしさに、ブラッドレイは感嘆し、その酔いもなかなかさめずにいたので、
「それでは、私が褒美に歓びの気持ちを作ってやろう」
「お父様?」
きょとんとした娘はいつのまにか、スイートルームに設置されてるステージング装置にぎょっとした。
だが、やがて彼女は父親のこれから行われる動作に期待感をつのらせていく。
そう・・・おもむろに、マイクスタンドを担ぎ上げたブラッドレイは熱唱し始めたのだ。
「お父様すごい!これはあの『伝説のチャンピオン』ではないですか」
「ばか者っ、私はフレディだ!」
「フレディ、・・・輝いてます!」
セリ子はうっとりとしながら父親の歌いっぷりに感嘆の声をあげていた。
披露が終わると、酒の一気飲みをした自称フレディはセリ子に向かって据わった目つきで、
「形から入らねばすっきりせん」
と言い残し、大っぴらに上着をはぎとりホムンクルスの衣装に着替え、ポマードで乱れた髪を整えた。
「では行くぞ」
「はい、お父さっ・・・いえフレディ!」
今度は『キラー・クイーン』を熱唱しだした父親に、絶叫しながらセリ子は涙を流し、感動していた。
「さすがに寄る年波には勝てぬかな、息があがる」
筋肉質でがっちりした体格の風貌を持つ男ではあるものの、独唱後、ぜえぜえとスタンドに寄りかかっていた父は自重気味につぶやいた。
あまりに激しい振り付けで歌ったせいなのだろうか、自称フレディは少々、疲労を感じつつあったのだ。
肩を揺らして呼吸するフレディに詰め寄り、セリ子は無邪気に更なる感嘆の声をあげる。
「お父様、いえフレディ!最高の贈り物です。僕、本当に幸せです」
「そうか、お前の前で歌ったのは初めてなので緊張したぞ。だが、本当の褒美はまだあるのだ。
あれを鋼の錬金術師にやったので、替えのものを用意しておいた」
「え、本当ですか?」
「ああ、今度はそれほど巨乳ではない。それに少々煙草臭い」
「格闘系ですか?」
「覆面プレイに向いておろうな」


2週間後、アル子のバイオリン発表会に集った一同は再びロビーで娘自慢を行っていた。
――ヒューズは、負けじと大はしゃぎでいた。
「うちの超美少女エリシアちゃんはバイオリンも弾けるようになったんですよ。
ピアノも弾けてバイオリンもできるだなんて、まさに才色兼備な娘で困っちゃうなあ」
――ブラッドレイは吐き捨てる。とうとう彼はホムンクルスの衣装でここに来て…
「下手の横好きというのがあろう。専門教育を施したので、セリ子は今度、国際コンクールジュニア部門のソリスト候補になったよ」
――かつての記念品は無言でいた。
なぜ、この場に面しなければならないのかと、ばつの悪そうな表情をし、顔を終始曇らせる。
だが、つきそいのエド子に腕でつつかれ、
「あの、大総統閣下…お伺いしたいことがあるのですが」
「誰だね君は?」
すっかり服を着込んで、盛られていない平時の姿のロイ子に初対面であるかのようにフレディは訝しげな顔で答えた。
「…エルリック姉妹の付き添いです…」
そこでセリ子がぽんと自らの手を叩く。
「お父様、あの方ですよ。焔の女体盛りの方ですよ」
「ああ、あの刺身のぬるいわかめ汁…ホーエンハイムの姿が無いと思えば君が今日の保護者役かね」
「は、はい…」
「それで、聞きたいことというのは?」
「実は、私の部下の一人が行方不明でして」
「ほお」
そ知らぬふりのフレディは、記念品でも楽しみにしていたまえと言い残して、わが子を20歳ほどの美女に変化させてからその場を去った。
エド子は、楽器ケースを持ち震え、出番待ちで落ち着かないアル子を見やり、
「大丈夫か?」
「駄目、姉さん、代わりに弾いてよ」
「思いっきり失敗してこい」
「そんな、酷い…僕、上手くないのに発表会なんて無理に決まってるよ」
「記念品だけはもらってくるなよ」
父を除く、貧乏音楽一家でこれ以上エンゲル係数が逼迫するのはごめんだと呟きながら…かつての焔の女体盛りにエド子は目をやった。
黒髪の彼女は、
「ハボ子…どこへ行ったのだ」
いなくなった部下を嘆いていた。
だが、その時、控え室から悲鳴が聞こえる。
悲鳴の詳細は以下のとうり
『いやあ、やめてえ』
『おお、ペンギンパンツ』
『きゃああ』
『おじさん感激だ!二十歳の美女だなんて、素晴らしい。
こないだよりも大きくなったんだねえ、エド子なんていくらもんでもまな板なのに、君のおっぱいはプリンプリンだ』
『やあん』
『ちょっとだけ、お願い!おじさんに挿れさせてくれないかな?』
このタイミングの良さといい、その悲鳴をあげた主といい…
不快になったエド子は、かつての焔の女体盛りに問いかけられる。
「鋼の、本当に臓器バンクにやったのか?」
「全摘して売っぱらったよ。結構な金になったのにな」
「廃棄された破片とか、その細胞から再生したのでは?」
「ミトコンドリアからでも帰ってくるとは予想してなかったさ」
アル子は不安げな眼差しで、平然と交わす二人の会話にびくびくしていた。
「姉さん、それって父さんのこと?」
「違ぇよ、親父は旅に出たんだよ。ちょっと病気でな」
「そっか、そうだよね。父さん、病弱なのに研究で忙しいもんね。
僕らの音楽活動で家計をいつか支えていけたらいいのになあ」
アル子は、父が不治の病を治す研究の旅に出ているというエド子の虚言を、子供の頃から信じている。
このように、何を聞かれても、エド子はどこまでもシラを切りとおしているのだ。
その時、つんざくような大声が響いた。
「追い出されちゃったよ、エド子ぉお――――――――――――!!!!」
エド子は、アル子と焔の錬金術師を、舞台袖への扉を開けてすぐに隠した。
そして突進してくるホーエンハイムにガトリング砲の照準を合わせる。
「くたばれ糞親父」
「パパだよ―――――――――――会いたかった、ぐはあっ」
下半身を露出したまま接近してきたホーエンハイムの腹に、エド子は見事命中させた。
その頃、ロイ子が舞台端で素っ裸のまま火噴きショーを催して、観客の視線と男性客の下半身を盛んにさせながら、アル子の演奏を盛り立てた。
ロイ子のバックアップの甲斐あって、アル子は、チューリップの花を3時間かけて演奏することができた。
アル子の演奏中、エド子はホーエンハイムと格闘していた。
終盤、鷹の眼先生といわれる男前の音楽講師に、手榴弾を100個ほど貰い受けたので、彼女は親父の体の全ての穴からつめるだけつめて爆発させた。
そして通りがかった弁当屋のグラトニーに食べてもいいかと聞かれたので、
「ラストの乳をもませてくれたら食わせてやる」
と言って彼の情婦のラストを一揉みして、彼女にやはり舌打ちした。
ラストは顔をかしげて、
「なんなの?」
「でかいなあ」
妙に納得したように肩を落としたエド子は、さっさと食えとグラトニーに破片を渡して去っていった。
とぼとぼと歩いていく途中、舞台照明と小道具の係りのグリー-子とエン子を見かけたので、彼女らの乳も揉んでみたが、やはり同じ思いでむなしくなっていった。
それと同じ頃、アル子の演奏があまりに長すぎたため、控え室で鍵をかけて娘とでてこなかったフレディとセリ子であった。
だが、順番がきたと呼び出されて1時間ほどしてからようやくでてきた。
父親は、すっきりした顔で扉を開けて娘を行けと元気づける。
そしてどこか腰のあたりをもじもじとさせながら、
運動でもしたかのように蒸気した体をかかえて辛そうにセリ子は舞台に立っていった。
しかし、娘の演奏後、ゲリラライブを始めたフレディはそこで5時間ほどマイクを離さなかったという。
終演後、リザ男に挨拶をして帰ろうとすると、フレディ父娘にアル子は呼び止められた。
「うむ、少し喉がかすれたな」
「お父様が一番輝いていましたしね」
「2番目はセリ子、お前だ。そして3番目にすばらしかったのは」
ばっと向けた視線の先、しわがれ声のフレディはアル子をマイクで指摘した。
「え、僕?なんで?」
素晴らしいと賞賛した乱れ髪のフレディとセリ子は、
「奇をてらった最高の演奏だった。姉と同じく、君もすばらしい才能を秘めておる。
是非とも、わが国軍に来るが良い!」
「アル子さん、お上手でした。焔のチューリップなんて初めて聞きました。僕、感動して濡れちゃった」
「これこれセリ子、お前は演奏を途中までしか聞いていなかったじゃないか、あわてんぼうめ」
「あん、だってお父様が・・・」
いちゃいちゃと指で互いをつつきあって乳繰り合った父娘は、アル子に記念品を進呈してそのままバカンスに出かけたという。
進呈された記念品は、目隠しと猿ぐつわをかけられ、全身を麻縄で緊縛されてもがいていた。
バイオリンケースを落としかけたアル子は、目玉をでかくさせて後ずさるが背後から手を引かれる。
そして、アル子の目を覆い、
「見ては駄目。精神衛生上、良くありません」
「鷹の眼先生、今の何?」
彼は、不潔なものでも避けるかのようにひっついてきた記念品をひきはがしてやった。
泣き崩れる記念品は、はがれた目隠しより見えた所から、犬のような目でアル子にすがっていたのだ。
リザ男はひっついてきた記念品から驚いているアル子を再び取りはがしてやる。
「お願い、拾って!」
こんな体じゃお嫁に行けないとむせび泣くハボ子に、
リザ男はクロロホルムを嗅がせて黙らせる。
その時、長丁場の火噴きの後、へとへとになっていた所をそのへんの男達に乱暴されていたロイ子を助けにいったエド子が戻ってきた。
アル子は、リザ男に離れなさい言われてもと第二の記念品に手をかけて離さない様子であった。
それを見たエド子が
「ダメだぞ、うちじゃあもう余裕ないんだからな」
「でも、でも・・・姉さん、かわいそうだよ」
犯されてぼろぼろの格好でいたロイ子がのろのろと歩み寄り、
「ハボ子、どうしてここに!」
おいおいとロイ子は素っ裸で緊縛プレイのハボ子に泣き崩れる。
エド子はそれを見やり、
「あいつだけで手いっぱいだ!さっきだって、助けるのに手間がかかってしょうがねえっ」
「でも、ロイ子さんのおかげで僕はちゃんと演奏できたんだよ」
「火しか吹けないじゃないか」
「火吹くだけでもたいしたもんだよ!」
「どうせその記念品だって、あの父娘の使用済みだろ?」
「そんな言い方酷いよ」
言い合いになった頃、リザ男が二人を仲裁した。
「わかりました。私がひきとります」
そして、彼は楽器ケースから銃を取り出し、ハボ子の縄を撃ち解いてやった。
「ハボ子、ハボ子!目を覚ましたのか?」
「ロイ子大佐ぁ・・・」
がたがたと失禁しながら、数発の銃弾によって恐怖で目を覚ましたハボ子はロイ子にしがみつく。
しかし、すぐさま直帰のリザ男によってひきさかれる。
「うちの躾は厳しいので覚悟なさい」
そう言われて、アル子とロイ子に向けて涙を流しながら、ハボ子はずるずると連れて行かれた。
「ハボ子ぉ・・・幸せになるんだぞ!」
ロイ子は名残惜しそうに彼女を見送った。
アル子も一生懸命に別れの手を振り続けた。
その後、鷹の目先生から赤ちゃんが誕生しましたという葉書が来たという。

おわり





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