花の人
>19氏

花束を受け取り、目を細める。
彼の想いがそのまま凝縮されたかのような、深紅の薔薇。
彼の心が香りになったら、きっとこんな香りだと思うような、甘い香り。
人前では悪態をつくただのクソ餓鬼だが、その心の底はとても優しいものを持つ少年。

目を細め、少し頬を赤らめて、受け取ってから何も言わないロイ子の横でエドは迷う。
言うべきか、言わざるべきか。
手の中では、かの人に似合うだろうと思って自分らしくもなく衝動買いした銀色の指輪。
滅多に、宝飾品になど目をやらない自分が、思わず立ち止まった品。
ロイ子の漆黒の髪に映える、銀色。
まぁ、普段は手袋の下に着けられるのだろうから、目立たないだろうけれど。
細く、長いしなやかなロイ子の指に、よく似合いそうなシンプルな物を選んでみた。
ふと、目線が合ってしまう。
「何だ?鋼の。さっきから真っ赤になったかと思ったら普通の顔色に戻って、また紅くなったりして。怪しいな」
「いや・・その・・・あんた・・・・・・・・・・・・・だな、って思ってさ」
「ん?すまない、聞こえなかった」
「何でもねぇよ」
呟いて窓の外を見る。
遠くの方で、弟がウィンリィと買い出しに出かけて行くのが見える。
「オレさー・・・あんたが」
「ん?何?」
ちら、っと見ると花束に顔をうずめて笑うロイ子の姿。
「あんたが、そんなに花が似合うなんて思わなかったんだ、ホント。でさ。これ」
言いながら、持っていた包みを渡す。
「アンタに、もっと似合うって思って。これは枯れないから、ずっと持っていて欲しんだ。オレの横で、ずっと」
きょとん、とロイ子らしからぬ顔で包みを受け取り、開く。
中身を確認して、そのまま固まる。

俯いたまま、何も言わず、身じろぎすらしない相手に不安を覚えてきた頃、ロイ子がやっと顔を上げた。
その目は潤み、何も言わない。
「あ、ごめん。オレ、あんたの気持ち考えずに・・・ごめん、悪かった!」
手を合わせ、謝るエドに、抱きつく。
「ありがとう、今年の誕生日は今まで生きてきた中で最高に嬉しい誕生日だ、鋼の・・・いや、エド。私も、君のそばにずっといる、ずっと。」
でもどうせ結婚するんだったら背丈がもう少し伸びてからだな、と密かに思うエドであった。






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