女王様の憂鬱
>713氏

いきすぎる心の整理に、開いてしまった引き出しをうまく仕舞えない。
そんな気分の女王は、最近とみに悩んでいた。
――私は、このごろおかしい
変なんだ。ハボックのことで頭がおかしくなりそうだ
S気質の女王ロイ子は、変わらずハードなプレイを好んでいる。
そのパートナーにすえた正反対の属性の下僕、ハボックと恋人になってようやく3ヶ月を迎えている。
彼女はいつもハボックの息子を愛し、攻めたてて喰いいつぶさんばかりの勢いで乗っかっている。
膣の緊張が最大になるという彼女好みの騎乗位や、あの姿勢のままハボックの首に縄をかけて引っ張り、揺らしまくって腰使いを行ったり…あまつさえ、首の跡が赤くなったハボックの様子を見て、更に狂ったように暴れている自分がいる。
終盤、気持ちの良さよりも追随するロイ子の鞭さばきで白目を向きかけたハボックをそのままに、挟んだ状態で笑えるような格好で、彼の息子をあらゆる角度から交差してもいた。
そんな風に快感を求めていることも実に頻繁だ。
48手の全ての征服をも試みたいが、鞭が使え、かつ両手で獲得できる締りの良い体位となると、互いの嗜好範疇からなかなか楽な姿勢へと移行しそうにない。
それゆえ暴れ馬ロイ子は、ハボックと共に性欲の限りを搾り取っている。
今となっては、処女喪失の頃の、初々しく抱かれた最初の夜など、はかなすぎる思い出だろう。
結合しながら殴る叩く、鞭打つ等…相変わらずの彼女の女王独特の性癖は健在だ。
だが、このところ、時折見せる愛馬のあの甘い囁きや表情に気を取られて胸の鼓動が収まりそうにない。
情事で身も心も重ね、むさぼりあっているのに心の中の整理が追いつかない。
ハボックの時折見せる姿に何かをひきつけられて、彼女はその正体に悩まされていた。
このままでは仕事も手につかない。
ふうっとため息をついたロイ子を見て、その悩ましげな姿に何も知らない
ノーマルな部下達は噂する。
こぼれる美貌に落ちる悩ましげな雰囲気も麗しいと…それもまた、清純で美しい佇まいだと彼らは称えるのだ。
その場にいたホークアイただ一人が彼女の清純さの皮の厚さに閉口していたが…
とどめは聞こえてきた駄馬の台詞だ。
「そうそう、美人はどんな姿も似合うってことだって」
「ハボック少尉は美人さんがお好きですからねえ」
フュリーが無邪気に話に乗っている。
「あったり前だろ、美人は最も清純なんだからな」
「わあ、なんか重みがあるなあ。さすがです」
「経験からくる教訓だ」
ホークアイが駄馬に向かって毒づいた。
――あなたの言う清純とは、紙一重のスリルの世界でしょうに数日後、ハボックは風邪で仕事を休んだ。
今年流行している風邪は質が悪いと評判されているだけに、ロイ子はひどく心配する。
電話にもでなかったハボックを思い煩った彼女は…仕事を早めに切り上げて見舞いに行った。
精のつく料理をホークイに教わり、数時間かけて作り上げて持ち寄ったのだ。
「調子はどうなんだ?心配したぞ…」
「ロイ子大佐、来てくれたんですか」
「ちゃんと、食べてるか?飲み物も持ってきた」
「あ…」
近寄ってはいけないとハボックは小声で漏らした。
「風邪、うつります」
「なおのこと感謝しろ。看病にきたんだからな」
そう言って彼女は彼の鼻をぺろっと舐めた。
―――大佐…
「熱、どれくらいだ?」
続いて、乗りかかった姿勢で額をあわせてきたロイ子が恋人の熱を感じ取っていく。
ぽやっとした表情のハボックが、ロイ子の…意外に体温の低いと感じられる額の部分に気を取られ、無言でいた。
――いい匂いだなぁ
美しい美貌の彼女に囲まれ、こうして心配そうに接してくれることにハボックが吸い込まれていく。
やがて、
「すまない」
「へ?何がですか?」
突如として謝ってきたロイ子は、香水をつけてくるべきではなかったと反省気味に詫びていた。
「風邪ひいてる奴には嫌な匂いだろう…」
「いいえ、全然そんなことないッス」
「本当か?」
「つけてくれたんだ、良かった」
顔をふせたロイ子は頬を染めていった。
漂ってくるかすかな香り…薄給の自分が彼女にプレゼントとして贈った香水だ。
ハボックはきちんとそれを知っている。
ロイ子自身、香水をあまりつける習慣がないのに、これを機に纏いだした彼女の行為を彼は心底嬉しがっていた。
額に触れる黒い髪を、ハボックは指でなぞっていく。
横たわる自分に、ロイ子は柔らかく重なって心配そうにしてくれる。
優しく、自分だけを見つめる彼女の仕草…漂う好きな香水のほのかな香り…ハボックは嬉しそうに微笑んだ。
「似合います。すっごく綺麗だ」
「…あ、ああ」
言われたロイ子はハボックの醸し出すなんとも言えない表情に魅了されてしまった。
体調を崩したせいか、彼は今日、あまりに違った印象に見えるのだ。
少しだるそうにして、目が潤っている。
彼女はその微妙な変化に意識をやっていまいそうになる。
――前々から思ってたが、いや…本当に、ここのところ私は変だ
つかめない、わからない
何かが彼女の胸の奥でざわついた。固まった彼女を見て、ハボックが呟く。
「ロイ子大佐?」
「ん?いや」
ふるふると首を振って彼女は呼びかけを聞き入れる。
「あ、料理…食べるか?」
せめて逃れようと…乗りあがった姿勢から彼女は起き上がろうとしたが、ハボックが腕をつかんでそれを阻んできた。
見慣れた瞳が覗き込んでくる。
色めいた逞しいハボックの体が、動いた拍子に目にうつる。
「さっきから、何か変です。どうしたんスか?」
「何でもない…もう寝ろ」
「いてッ」
げんこつで彼を押しとどめた彼女…
――駄目だ、調子が狂う
以前生じたあの疑問が、彼女の脳裏に浮かんだのだ。
あの時、口で彼を手入れしてやった時に放った愛馬の色気にぐっときていた時の自分が蘇る。
瞬間、まざまざと実感していた。
こんなに男っぽかったか…と正直にロイ子は思ってしまったのだ。
調教行為の開始から、互いの気質を埋めあうと共に、にやけて、だらしなく陛下と呼び尽くす下僕の表情に快感を覚えていた彼女だったが…
そことは違う部分にも目が走る。
鞭打たれている姿に感動する心と、雄の匂いを放つ男に陶酔する部分、どちらも甲乙捨てがたい。
舐めろと言えば舐めるし、走れと言えばどこまでも行ってくれる馬
殴っても叩いても、嬉しそうに答えてくれる僕
罵られたいと喜んで接してくる異常な存在…
そして、今度は雄の気配を醸し出してくる姿の全てが目に飛び込んできたのだ。
跨って走り行く自分が見落としている部分がまだまだあるのかもしれない。
いや、こうして乗馬ごっこをしていないただの女の自分といるからこそ、今のハボックの妖しさに改めて気づけたのではなかろうか
「あ…――」
じわりと、ロイ子は身震いしながら太ももの付け根に微震を感じる。
――や、だ…濡れてきた
スカートの中で彼女は陰部をくねらせた。
やはりショーツが潤っているのが感じられる。
あっさりすぎる自分の反応に恥辱を感じつつ、ロイ子はもう一度股の部分を小さくうねらしてしまった。しかし、ハボックは無邪気に告げる。
「キスしていいッスか?」
「ハ、ハボッ…ク」
――いいも何も、お前、もうしてるじゃないか…
寄りかかる自分を引き寄せて、ハボックは重なるロイ子と唇を合わせた。
舌が互いに覗きあい、深く絡みだしていく。
「ンッ、…ッ」
「ロイ、子…大佐…」
よれよれのハボックのパジャマを掴んでいるロイ子…
口付けだけで上りすぎてしまいそうになる気持ちを、彼女は懸命に抑えていた。
やがて、彼女は荒い息でハボックと身悶えていく。
「あ、っ…ふ、ぁ…――」
まさぐられる自分の体、焔のつきかけている下半身のあの部分…彼女は無意識にハボックに呼応していった。
「ん、…あ…ハボック、ゥ」
もうひとつ呻きを漏らした彼女は、はっと我に返って淫らな気分から自分を覚まそうと顔を手で覆ってしまうが、
「駄目、見せてよ…ロイ子大佐…」
「や、だ…妙な顔してるから、見るな…」
――お前を見たら、もっとおかしな感じになる…
照れなのか恥ずかしさなのか、あの隔たりを…たいして直に触られもしないうちから…しかもあまつさえ風邪をひいて寝込んでいる男相手に濡れてしまった。
彼女はその事実で頭がいっぱいになって、顔を真っ赤にしているのだ。
後ずさりで遠ざかろうとするロイ子をハボックは、起き上がって掴みよせ、キスに繋げた。
「ッ…――」
――そんなに触られると…
瞬間、彼女は囁かれた。可愛いいとハボックが言い伝えたのだ。
「ハボックッ…――」
喉を濡らして伝えてくる愛馬の声、…その色香にのけぞった女王は胸元を押さえて、体中を赤らめる。
そんなロイ子を、更に彼は見つめてくる。
「すっごく綺麗だ。愛してます」
「ち、違うぞ!」
「え…可愛いって言ったから怒ってる?」
「あ、いや、だから…お前、判って言ってんのか?」
はやとちりだ。
ロイ子は裏返った声で茹蛸のようになっていった。
まるで、勘違いしたのだ。
早々に濡れていることを、しかもここのところずっと生じていたハボックへの思いと重なったためか…
深いキスと妄想だけで蜜をこぼし、下着を濡らしてしまった自分のことだとロイ子は取り違っていた。
早くも感じ入るそんな自分を可愛いだなどと形容して言ったのだと思って、とっさに違うと言い返してしまった。
まだあそこも何も、触っていなかったハボックはそれを知らない。
要点の取り違えに、素直に受け取れなかった自分を今更ながら、恥ずかしく感じてしまう
ロイ子…大佐…何かいつもと違って綺麗だなあ――――
俯く彼女の赤くなった全身からさまよう色香にあてられたハボックは、再び両手で顔を押さえてしまった彼女に近づいた。
てのひらをゆっくりと放させると、艶かしい彼女の瞳がゆらゆらと輝いている。
その時、ベッドから起き上がったままのハボックはよりかかる彼女の頬にそっと口付けた。
無論、彼はロイ子の不自然なまでの奇妙な落ち着きのなさに不思議なものを感じてはいた。
しかしながら、つきあいだして3ヶ月、この時期になっても愛らしい仕草を見せる彼女にいっそう心酔してしまい明確な理由を持ち得ないでいる。
「どうして?」
「ハボック…――」
「どうして、泣きそうな顔してるんスか…俺、何かした?」
「素で言うな…駄馬のくせに」
強がった口癖はいつもと変わらない。
好きだといえば顔を赤らめるし、綺麗だの可愛いだの告げると変に大きな反応を返してくる素直でない恋人…
苦笑しながらもハボックはそれを大切に思い出に刻んでいる。
いい加減、似たような反応を返してくる彼女の心情に気づけばいいのかもしれないが、ハボックはそこに至るまでのロイ子の姿に目いっぱいに気を取られて…あれら全てが照れ隠しの微塵にも思い至っていない。
以前、ネックレスをプレゼントした時もそうだった。
途中からそわそわとした印象を零しだし、かわいらしくてたまらない様子を感じ取ってはいたが、あの頃から今日にかけて特に今は印象深い…
「ねえ、陛下って呼んでいいッスか?」
このままあの流れに行きたいとハボックは嬉しそうに求めてくる。
この美しい、かつ可憐な人が自身をさばく姿に豹変するのを期待したのだ。
身も心も彼女と踊っていきたい…そう願ってしまった彼…
「…だ、ダメ…だ、そんなの」
スカートに両手を及ぼすハボックの動きを躊躇いがちに、ロイ子が抗おうとしている。
唇を器用に啄ばまれ、やおら熱に浮かされたままの彼の愛撫に感じながら、彼女は同じことをもう一度言う。
「あ、ぁ…ハボック、ダメ…風邪が治らないだろ?」
「へっちゃらッス」
「や、だァ…でき、ない…アン、噛むな…馬鹿」
「きてよ、陛下」
彼女の悩ましい所、首筋からうなじを唇で愛撫すると、電気が通じたかのようにロイ子が喘ぎを零してくる。
「あ、ア…!」
――ダメだ、こいつは本当にやりたそうだ。もう限界…
「うわッ…!」
途端、勢いを増したロイ子は、愛撫していたハボックを枕に突き飛ばした。
だが、やぶへびだった。
「…あ、ハボック…―――」
乱れた髪の流れと、枕に沈ませた拍子に見えたハボックの厚い筋肉質な体…それらを目にして更に彼女は濡れていく。
怯んだが、伏せた瞳をそのままに目線だけを培ったロイ子は彼の襟元を隠すように片手で延ばしていった。
「ロイ、子…陛下?」
「とっとと寝てろ!」
この声で、自身の欲情を隠したい。
強いアクセントで今一度、彼女は伝えた。
だが、駄馬にはまったく抑えがきかない。
「風邪なんかたいしたことないッスよ」
「黙れ、それから陛下はなしだ」
「何でぇ?」
――なんだ、こいつのこの顔…自制できなくなりそうだ、まずい
獣と化しかける自身を認識したくない…
ロイ子はわなわなと染みいくあの部分に抑制をかけようとはする。
「やりたい、したい…ロイ子陛下ぁ」
しかし、懇願してくるハボックの放つ、妖艶な性欲の匂いに吸い込まれかけるロイ子は体の内奥を振るわせて欲しがってしまう。
言葉と裏腹なものが彼女の台詞を埋めていく。
「風邪ひきに乗っかるほど私は酷い女じゃないぞ」
「交尾したいッス、裸で焔のボイン陛下に見舞われたいッス」
「できるか、そんなもの…それから、…へ、変な屋号つけるな」
「暴れ馬しましょうよぉ」
「引っ張るな、ちょ…っと服を…放せ、よ」
――やばいって、お前、…その目やめろって…
じくっとまた彼女の下着にあたる花園の奥がわなないた。
とろりとあふれる感触がじかに伝わってくる。
――やだ、弄りたい。うずいて止まらん
「好きッス…大好きだ」
「だ、だから…さらっと言うな」
「本当に、俺は欲しい…今すぐ欲しい」
「ダメだ、私は…――っ」
強引に抱き寄せられて、熱い抱擁を受けたロイ子はやがてそのままそこに収まった。
滾る男の匂い、請われる愛…魅力に満ちた恋人の心地よさ…
――ごまかせない…たまらない…こいつのあれを見たい、聞きたい
「――嘘、だ」
「ロイ子陛下?」
「陛下、やめろ…」
「じゃあロイ子大佐」
「大佐なんかつけるな」
「何で怒ってるんスかね…じゃあ…」
――私がずっと探していたお前の姿
俯いて、黙り込んだロイ子を抱きしめていたハボックは、ゆっくりと彼女の顔を覗き込んで真正面から唇を動かした。
「ロイ子――」
「……っ――――――――」
はじけるように彼女の胸の奥が高鳴った。
言われなれないハボックの声にますます奮えが収まらなくなってきた。
嬉しくて、唇が綻んでくる。
――見つけた。これがお前の凄いとこだ
ようやく気づいた彼女は、ハボックの存在の重みを痛感する。
そして心奪われた今一度…名で呼び覚まされた。
先ほど言い放った疑問を彼は聞いてきた。
「ロイ子…―――何が嘘ですか?」
――悔しい、そうやってお前は私を鷲づかみにするんだぞ
そう感じたロイ子は自分からキスで返した。
答えなどくれてやりたくなかった…
自分をいとおしげに見つめるこの男にさっさと濡れた自分など話してやりたくない。
こうして聞きたがる恋人といつまでもじゃれあいたい。
ただそれだけでいいと瞬時に思い至った。
「ハボック、…あ、したい…私はほんとは」
「ロイ子…ロイ子――愛してる」
手繰りよせて、脱がし、脱がせあう勢いに変わっていた二人は濃厚なキスから交わりに向けての愛撫を関わりだしていった。
だが、ロイ子と呼ぶたびに、いつしかハボックのほうもまだ慣れないために躊躇いがちである空気を零す。
どこかしら、言い馴れない名の告げ方に、ぎこちない仕草を持ちえてしまったらしいのだ。
―――そこで、女王は完全なる調和に向けて降臨し始める―――
一度、確かめたのだから良い。
不変で安定するよりも、派手に動き回る自分たちの姿のままが一番良い…
そんな答えにたどり着いた。
ハボックの両頬をしっかりと手で包み、ロイ子はやや斜め上の角度から高圧的な瞳を放つ。
「命令だ、やはり陛下と呼べ」
「はい、女王陛下」
「でははじめたまえ」
主導権を握りこまれたかのように覚えたハボックは、更なるプレイへの軋轢に大歓喜のまま応じていく。
武者震いで、彼はざわざわと身の毛がよだつ。
この女王は、本当に手ごわい。
飼いならされて、躾られ続けた彼には、特に新しいものを要求してくる。
「犯してみろ」
襟を淫らに開いた姿で胸を持ち上げ、寄せて彼の顔をそれで押さえつけた彼女…唾を飲み込み、興奮気味にハボックはその深みに顔をうずめていく。
――う、わ…ぞくぞくする。ロイ子陛下、めちゃくちゃいい…
乳首がたってる
「犯すって…い、いいの?…―――って、痛ててっ」
むにむにっと、ハボックの両頬がおもいきりひねられた。
「気安く話すな、私を誰だと思ってる」
「ハ、ハイ!それでは陛下を犯さしていただきます」
気を取り直し…とは言ったものの、ハボックは見つめられるとなかなか強引にはロイ子の肌を散らせなかった。
ロイ子が興味深そうにこちらをみつめているのだ。
常日頃、性交自体の出だしを渋るロイ子を甘く解き施していく流れで、愛撫はしていた。
恋人同士としての初夜の頃から、ホークアイによるローター尽くしの時すらも、自分から挿入に及んで女王降臨を導いたりもした。
しかし、こう改まって犯せと命令されるのとは違う流れだ。
「なんだ、萎えたのか?」
「そんなワケないでしょう」
「ハボッ……ぁ」
挑発的な目でストレートに問われたハボックは、続いて開きだしたロイ子の唇を喘ぎに変えてやった。
彼女のショーツの濡れ染んだ部分をつついたのだ。
「あ、やあんっ…」
「すっげえ、やる前からこんなに…」
「やっ、あ」
「ひょっとして、疼いてたんじゃ…」
言い終えるや否や、ばしんとハボックは叩かれた。涙声でロイ子が訴えてきたのだ。
「い、淫乱とか言うなよ」
「もう暴力的で、最高…大好きです」
「お前のセンスはどうなってるんだ?」
「陛下のあそこのすっぱい匂いがたまりません」
「あ、っ…ハァ」
勢いじみたハボックの主張は、言葉と共に彼女を押し倒していた。
そして直ちに女王のスカートを取り払い、全裸に剥いてその秘孔を彼は丹念に舐めていった。
内襞に通う舌に食まれ、ロイ子がぶるぶると体をくねらせる。
「あ、あっ…そこが…イイ、ヒィッ」
膣口から滑らせた指で彼女の敏感によがる姿を引き出していたハボック…
神経、粘液腺等の入り組んだ…子宮より浅い部分にある女王の性感帯…
彼は無増に弄っていく。
「あぅ、アァ…感じちゃうぅ、ハァン」
刺激で膨らんできた彼女の膣壁…漏れる粘液に、更なる量が生まれていく。
そして、がくがくと悶えた彼女の様をハボックは貪欲に見惚れていた。
「すっげえ、潮吹きする陛下っていつ見てもたまんねえ…」
「う、あぁ…あう」
刺激されたオーガズムではやった彼女の痴態が、ハボックの意識を跳躍させた。
「あ、ッ…だ、めぇ…いっちゃう、あん」
吹いた姿も彼女は凄絶に美しい。
乗りかかり、自分の性器をはめてよがる女王も、指だけでこうして到達する姿も本当に情欲的だ。
赤くなって上りあがったGスポットを突いているハボックの頭を、髪ごと掴んで女王は悶えた。
「ああ、気持ちいい…ハボックゥ、中が変…ハアン」
「陛下ぁ、俺もおかしくなるッス」
「ヤァン…アァゥアア!」
その瞬間、快感にまみれた彼女は尿道口から潮を放った。
やがて弛緩したまま、彼女はとろとろと液をこぼれさせていく。
「や、あぁ…舐めちゃいやぁ」
ぺろぺろとハボックがそれを口に含み、彼女の羞恥心を覆っていく。
「ハボックゥ…」
「名器ッスよ、陛下のこれ、…俺、はやくしたいッス」
「乗りたいぃ、ハボックを挟みたいぃ…ああ、もうぅ」
「お、あ…ちょ、待ってって」
甘い声でさえずる女王が彼の息子を掴んできた。
「ダメぇ、もう、入って犯しまくってぇん」
握りこまれた隙間から、欲情まみれのロイ子が、
「やりたいのぉ、ハボックッ!」
とねだり声を響かせた。
――ちょっと陛下、目がマジだ
「おちんちん、パンパン欲しいぃ」
「陛下、ぅあ…」
しこたま彼女は秘部を濡れ光らせ、ハボックの息子を握りこんで器用な仕草で扱いて張り詰めさせた。
そして、相手の皮膚をがっしりと掴んだ女王は、余った手をしてものすごい力で彼をベッドに押さえつけた。
上から重なり、見下ろした彼女は、押さえつけた馬を愛していく。
「ああ―――ハァアアン」
「う、わ…すっげえ…突撃だぁ!」
興奮状態に拍車がかかったままのハボックは呻いて、女王のきつい内部を自身が貫く感覚を覚えていった。
ロイ子は官能のままに…ハボックの怒張を膣の内部へ悦んで飲み込み、ハボックとセックスを行っていった。
「お馬ぁ、あ、入ったぁ、ああん」
女王がすかさず腰を振り始めた。
括約筋が働き、ハボックの息子は締め付けられていく。
「すっげえ、ボインも名器も最高っス」
「ああぅ、揺れちゃう…擦りつけがぁ、イイ…貴様、もっとぉ、走らんかぁ!」
快楽を得るために修飾される道具のなさを惜しんでいるロイ子…
両手に何も手にできない女王が不満を怒りにかえてハボックを罵倒した。
「罵ってよ、もっと陛下…走っちゃうぞぉ」
「あっ、あぅ…―――ヒャアン、馬が当たってじゅくじゅくぅン」
腰を刻みながら、ハボックは走り出すその力を全開にしていた。
繋がったまま、ロイ子は体を前に倒し、前傾した膣の内部をハボックと共に感じいった。
ぎしぎしと彼女は暴れ、ハボックもまた、負けん勢いで彼女の中を擦り応じていく。
そのうち、汗まみれ…下は愛液まみれの女王は、狂ったように叫びつくす。
ハボックの息子で内奥にはまった快感にひたり、
大きく悲鳴をあげながら愛馬をひっぱたいたりもした彼女…―――
「ダメぇ、もっと捻って、こすって動かんかぁっ」
続いてばりばりと、彼女は爪で歓喜の声をあげながらハボックをひっかいていった。
「ひあぅ、馬鹿者ぉ、ギャロップがたりんぞぉ…おおぁ!」
ゆさゆさと乳を揺らしている女王は、はあはあと悶え、自ら揉みながらも弾けた胸を震わせている。
乳首をつまみ、ハボックに見せながらも感じていく。
突状の乳首の先から、彼女の汗やよだれが混じって滴っている様は本当に淫らだった。
ハボックの気を追いやっていくほどその痴情は苛烈を極めた。
見るだけで、ますます彼の息子が元気になっていく。
「爆乳サイコーッ、ゆれ捲くってまスッ」
「ああぅ、走ってぇん…ああ、もう…燃え尽きちゃうぅん」
「あっつくて、締まりがいいよぉ」
「はあ、あぁぁ…もう、もう…ハボックゥ」
ぎしぎしと激しい振動でハボックが腰を動かし、突き上げる。
ロイ子が嬌声にまみれた淫猥な顔で子宮奥深くで踊っていく。
「あっついよぉ、陛下の体があっついぃ…燃えるッス」
――ロイ子陛下、淫乱すぎてたまんねえ
「ああっ、ダメぇ、足りない…もっと熱く、激しく突いてぇ…アァン」
何を考えたのか、夢中になったままロイ子は爪でひっかいたハボックの血から練成陣を施し、本当に燃え出す焔を持ち出した。
「うお、陛下、布団が燃えてるぅ」
「愚か者ぉ、何を怯むかあぁ…アアァ」
「うあうあ、燃やさないでぇ」
「んアァ、突撃ぃ…ああぅ」
必死の馬の突き上げにロイ子はびくびくと感じとっていく。
「ああ、熱い…あぁぁ!」
「ボイン陛下ぁ、燃やしちゃダメッス」
「あぁ、んあぅ、分かっているぞおぉ…だけど、だけどぉ〜」
「だっけど、締め付け…すっごいよぉ」
「やめちゃいやぁん!」
ハボックはこれまでにない勢いで、ロイ子の体を揺らして、彼女を抱いていた。
ぎりっと爪の力が抜けて指をしならせていく女王…あれ以上焔をださせないよう、彼は必死で走りまくった。
ゆるんだ部分であがる女王が全身から蒸気をあげていく。
跨る姿勢で飲み込んだ部分で快感が彼女を責める。
「イィ…アァッ!」
「ロイ子…陛下ぁ」
ひくひくと…やがて絶頂にたどり着いたロイ子…
共に、激しい抱き方を行っていたハボックも同時に陶酔していった。



ようやくひとつの交雑がひと段落ついた頃、ハボックとロイ子は正気を取り戻した。
ぜえぜえと息を取りもどしながら、とにかく動けないでいるハボックをそのままに、裸のまま彼女は消火活動を終えていったのだ。
やがて、火消しをすませたロイ子は横たわるハボックのうつろな顔を覗き込む。
「――どうしよう、ハボックの顔が赤い」
当たり前である。
焔による火傷らしき跡も彼の顔にはついている。
瞬間的に火であぶったせいか、たいした熱傷とはならなかったが、なんということをしたのだろうと彼女は悲しんでしまった。
それにもともと風邪をひいて、だるそうにしていたのだから、搾り取るほどエネルギーを消費させてしまったハボックの体調を気に病んだ。
見舞いにきたのに、料理も食べさせずに何をしにきたのかと…
訪れた自身の性欲と交換してしまうだなどと、なんと愚かなことをしたのかと獣じみた自分を彼女は恨んだ。
「ああ、ハボックゥ…元気になってくれえ」
自分の行なった性欲まみれの行為に罪の意識を持ちながら、ロイ子は彼に縋り付いた。
そして、ハボックの顔をはちきれんばかりの胸で刷り込ませていく。
「ハボック、ハボック…私の名馬」
「うぐぅ、おっぱいがぁ」
柔らかい彼女の胸の感覚で気を取り戻したハボックが、ようやく声を戻した。
丸く大きなロイ子の乳房を揉んで答える女王の愛馬…
泣きじゃくる彼女を前にどうにか息を吹き返す。
「ハボック!」
「柔らか〜…、気持ちいい」
「ごめん…ごめんなっ…ぅ…許してくれ」
熱のあがったハボックの額にロイ子は目をつぶって自身をおしあて、涙を零した。
たがが外れると高揚した性癖に溺れてしまう自身を嘆き…
彼女は名馬を愛でたいのにその屈曲しすぎた愛し方を悔やんでしまった。
震えて力なく寄りかかるロイ子を見て、ハボックははにかんだ面影を零す。
どんな彼女も彼は愛している。何をしても彼は包み込んでいたいと全てを捧げてしまう。
「愛してます」
「お前、ずるい…いっつもそればっかりだ」
好きな言葉を投げ打つハボックに、ますますはまっていく女王は…
悔しそうに繭を潜めて彼に唇を合わせた。
優しく、そしてねぎらうように愛でる彼女のキス…ハボックはいとおしげにロイ子と抱き合う。
「今後はお手柔らかに願いますよ、女王様」
「いいからもう眠れ…風邪が治るまでずっと傍にいてるから」
「嬉しいなぁ。襲っちゃうかも、俺」
「熱で頭が変になってるぞ、お前…」
真っ赤になって困った風に顔を変える愛しい彼女…
眠気にまみれた彼はまた、それを可愛いと言い放つ。
続けて彼は、最後にロイ子の心を射止めて目を瞑る。
無意識に読んでしまった彼女の名前、いとしい想いで満たされて
「――ロイ子」
「なっ…――!」
ロイ子が言い返すまでもなく、すやすやと寝息を落としたハボックは寝入っていった。
肩をびくびくとさせ、しばらく胸の鼓動を抑えながら嬉しそうにしていた彼女は、馬鹿と一言零して誤魔化してしまう。
――ああ、好きだな…お前のことが本当に
満面の笑みで彼女は眠るハボックの横でくっついていった。
そして、眠気とともにやがて一緒に沈んでいく。
熱い香り、愛している恋人の寝息…包みたい、包まれたい…
再確認できた愛情と共に、彼女はここ数ヶ月、思い悩んだ引き出しを仕舞うことができた。
「こうしていたい、私も…ジャン」
どこまでも二人一緒だからこそ

終わり。





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