プレゼント
>坂上氏

そろそろ冬物が要るね、そう言う弟の息がわずかに白い。もうそんな季節か。
ここ最近、服は既製品を買っていない。服はすべてオーダーメイドで、着心地が良い。
そんな贅沢をしているが、実はオーダーしたことは一度もない。

生身の体が戻ってしばらくの間、弟は細やかな動きを難しそうにしていた。
特に指先の感じが掴めないようで、思い通りにならない自分の体に苛ついているようだった。
何かいいリハビリはないかとピナコばっちゃんに相談したところ、裁縫や刺繍が良いと言う。
嫌がりはしないだろうかと思いつつ裁縫道具を渡してみると、案外喜んだ。
そして瞬く間に指先の勘を取り戻し、それで終わりかと思えば、裁縫を止める気配はなかった。

始めは雑巾など縫っていたのが、やがて飾りや小物を作るようになった。
布で花を作ってくれたが、そんな物を愛用する姉でないのはよく知っているだろうに。
通勤に付けていけと無理やり渡され、渋々鞄に付けていくと、食堂のおばさんがそれを気に入った。
やたら誉めるので、欲しがっている人の手に渡る方が花も喜ぶと思い、進呈した。
弟も喜ぶだろうと思って報告すると、がっくりと肩を落とし、半べそで自室へと戻っていく。
訳がわからないので放っておくと、なぜ落ち込んでる理由を聞きにこないのかと部屋に来る。
自作品が他人に求められるのは喜ばしいだろうと言えば、姉さんはわかってないと再度半べそ。
ここで放っておくと、後々面倒なことになるのは姉としてよく理解しているので、理由を聞く。
曰く、己の思いの丈を込めて縫い上げたのに人にあげるなど言語道断だと言いたいらしい。
傷付いたなどと言って白々しくぐずるので、仕方なくベッドに誘って機嫌を取る。
確かに、あれを弟からのプレゼントだったと考えれば、人にあげてしまったのはまずかった。
ちょっと反省したので、久々に従順に、やりたいようにさせてやった。
あれ以来、弟は裁縫を止めてしまったかに見えた。
熱心に図書館に通う姿を目撃したが、なにか論文でも書いているのだと思っていた。
街で店の前に立ち尽くし、真剣な目でガラス越しに服を見ていたから、色気付いたなと思っていた。
やたらと体を触ってくるようになったので、寂しいのかと思って構った。
とはいえ弟の顔つきは、何かに打ち込んでいる時のそれだったから、特に心配はしなかった。
ところが、週末に仕事から帰ってきたと思えば、部屋から全然出てこない。
具合が悪いのかと扉越しに聞くが、心配するなという返事だけよこす。
時おり妙な音がしていたが、何かと尋ねても答えてはくれないだろう。
こうなっては何をどうしても出てこないのを、姉としてよく理解している。
何かに集中すると寝食を忘れるのはお互い様、父譲りの困った性質だ。治る見込みはない。
放っておくかと思いつつ、シチューなどを扉の外に置いておくと、翌朝には空になっていた。

そして週始めの休日の早朝、まだ寝ているベッドの中に侵入者があった。
その面影に、てっきり父親が帰ってきてふざけているのだと思い込み、鉄拳を喰らわす。
床に転がる人間を更に踏もうと起き上がってみれば、弟が腹を押さえてのたうち回っていた。
顔は明らかに母に似たが、大人の男の体格に近付くにつれ、全身像は父親に似てきている。
涙目でひどいよ姉さんと言われると、つい謝ってしまうが、この場合悪いのは明らかに弟だ。
死にたくなければ寝入りばなと寝込みは襲うなと、前々から何度も言ってある。
知るものかと改めてベッドに入ると、弟にシーツをめくられ服まで剥がされた。
胸をわしづかみにされ、再度殴ろうかとも思ったが、弟が真剣だったので止めた。
胸を揉みまくられ、尻を撫で回される。弟は鼻息も荒く、朝から元気なことだと感心する。
こちらも何となくその気になってきたので、いつでも始められるよう心身共に準備した、が。
弟は、よし! 完璧だ! などと叫びながら部屋を出て行った。
完璧だ、じゃない。お前のせいでそのつもりになったこの体をどうしてくれる。
しばらく待っても戻ってくる気配がない、しかし体の方は熱が冷める気配がない。
仕方ない、自分で処理しよう。朝っぱらから姉に何をさせる。
横になったまま、両足の膝を立てて開く。そこはもう毛先からしっとり濡れていた。
潤みを指先にすくい取り、肉芽の皮を向いて擦り付けた。ひどい快感が奥まで響く。
このぶんなら奥までしっかり潤っているだろうと思い、空いている方の手の指を差し込む。
太さ長さがいまいちだが、好きなところを好きなように擦れるのが自慰のいいところだ。
最近は、自分で自分を焦らすことも覚えた。その方が達した時の快感が強い。
当然のように焦らしながら指を動かしていると、突然弟の足音がして明らかに近付いてくる。
あわてて指を引き抜いてシーツで拭うが、この匂いはいかんともし難い。
そうだ、寝たふりをすれば。もしかしたら、弟は放っておいてくれるかもしれない。
淡い期待をしながらシーツを被るが、部屋に戻ってきた弟はあっさりそれを剥ぎ取った。
デリカシーのないやつだと内心怒っていると、いきなり服を何着も、目の前に差し出して見せる。
全体的にスカートの丈は短くヒラヒラの、かなり女性らしいデザインばかりだ。
どんな顔して買ってきたのかと仰天したが、よく見るとメーカーのタグがない。
店の飾り付けで目にするものと比べると、どこかが微妙にあか抜けない印象がある。
もしやと思い弟に聞いてみると、やはり僕が作ったのだと言う。
そういえばゴミ捨て場から壊れたミシンを拾ってきていたなぁと、記憶をたどる。
何かに練成し直すのだと思っていたが、そのまま直して使っているらしい。
しかし、服まで縫うか。服なら確かに、そうそう欲しがる人はいない。特にこのサイズでは。
弟もそう考えたようで、これなら姉さんが人にあげたりしないでしょうと笑う。

着てみてくれとしつこく迫ってくるが、さっきのでたぶん尻の辺りが濡れているはず。
せっかくの服を汚すのもなんだし、かといって申告すれば何をされるかわからないし。
仕方なく、そのまま何食わぬ顔で、被るだけの上着と短かめのスカートを着てみせる。
サイズはちょうどいいようだ。驚いた、採寸された覚えはないのに、ここまで合うとは。
そこを誉めると、姉さんのマネキンを作った、サイズは手探りと目分量だ、と言う。
常にジャストフィットを目指すので、十日に一回は採寸するから、と宣言された。
体型に変化があれば、その都度マネキンを作り直していくのだ、と。
採寸ならメジャーで計れと言ってやったが、手こそ最高の計測器と言って譲らない。
ベッドに押し倒されて脚を広げられ、このぶんなら五日に一回でもいいかなとニヤニヤされた。
やはりばれていたか。だが元はといえばすべて弟が悪いわけで、ニヤニヤされる筋合いはない。
蹴りあげるより一瞬早く、弟の顔は広げられた脚の間に沈んだ。
上着をめくられて胸を揉まれつつ、下は舐められたり吸われたりするうちに、力が抜ける。
軽くいかされると、次はこれに着替えてと別の服を渡された。
おとなしく着替えると、そのまま後ろから胸を揉まれ、片手が股にもぐり込んでくる。
着ている服によってシチュエーションと体位は変えたいよね、と変な同意を求められる。
お前は縫っている最中そんなこと考えてんのか! と言うと、当然だよ! と返された。
あんな服を着せてこんなことをしたい、と妄想していると、良いひらめきがあるそうだ。
お前それじゃ職業デザイナーにはなれないぞと言えば、そんなものになる気はないらしい。
姉さんが着て僕が脱がすためだけに縫うと言い切る。気持ちは嬉しいが阿呆としか言い様がない。
それから二回着せ替えられ、しとどに濡れたところでやっと挿入。正直ほっとした。

終了後、弟の腕枕で横になる。軽いけだるさと疲れが心地よく、少し眠かった。
弟の手が名残り惜しそうに胸をまさぐっている。おそらく次もあるのだろう。
服はどう? 着てくれる? と可愛らしく聞いてくるので、着ると素直に答えてやる。
弟は良かったと嬉しそうに笑い、通勤に着ていって、デートにも着ていってと言う。
ハイハイと返事はするものの、デートの時はさすがに相手が買った服を着ると思うが。
これでいつでも僕は姉さんと一緒にいられるよ、それを忘れないでと言いながら喉の奥で笑う。
服を着ていて、それがどう相手に見えるかは意識しても、誰が縫っただとか意識したことはない。
そんなものだと思うが、いちいち意見するようなことでもないので、黙って頷いた。
ずっと一緒だよ、などと言いながら、のしかかってくる。もう復活したのか、本当に元気だ。
やれやれとため息まじりに、弟の首に腕を巻き付ける。弟の舌と指とが一斉に動き始めた。
今夜あたり冬物にむけて採寸されるはずだと考えていると、ふいに無駄毛の処理を思い立つ。
風呂に剃刀を持ち込んで、全身を泡で包む。さあ剃ろう、と思ったところで弟が乱入。
僕が剃るといって聞かないので、見えにくいところを剃るのにはいいかと思い許す。
しかし下の毛を丸々剃っていいとは言っていない。久しぶりに姉弟喧嘩を勃発させた。
そんな最中なのに、ひらめいた! と叫んで弟は自室に篭ってしまう。
パイパンから何がひらめいたのか、弟よ。どうせスケスケのネグリジェとかだろう。
三日後、やはりスケスケミニドレスを持って現れたので、ワンパターンだと言ってやる。
弟は半べそで自室に引き下がったが、このミニドレスはなかなかいい仕上がりだ。
これに合う下着があれば、気分的に盛り上がれそうな気がする。
風呂で改めて毛を剃り、全裸のままミニドレスに袖を通して弟の部屋の扉をノックする。
これから初めてのオーダーだ。


終わり






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