01話 ハロー!殺し屋の赤ん坊!


「だ、だいじょうぶ、だよ」
「でも、お父さんもお母さんもいないし…」
「お、俺がいるよ!」
「!」
「絶対に、守る、から」

5歳だった私は、あの時、隣の家の男の子と二人で一緒に公園で遊んでいたはずなのに、
走り回って公園から飛び出していたら、気が付けばどこにいるかわからなくなった。
一緒にいた子は、すすき色の髪をなびかせて、いつも泣き虫な男の子。
近所の小さな犬の鳴き声にもびくっ!と肩を震わせて歩いている。
だから今も本当は私以上にこわいはずなのに、それでも、震えながら私の手を引いて、
前を歩いてくれていたのは誰でもない。彼だった。


「ツナー!なんで今日、先に帰ったの?!」
「別にいいだろ?ってか、なんでが俺の部屋に?!」
「自由に来ていいって言ったじゃない」
「いつの話だよ!すっげー子供の頃の話だろ!もう中学生だぞ!」
「ツナ大好きー!」
「んなー!それは止めろってば!ってか、話聞いてる?!」
「聞いてる、聞いてる」
「嘘付け!!」

皆様、こんにちは。そして初めまして。
私の名前は、
そして今、私が抱きついている男の子は、通称ダメツナこと沢田綱吉。
学校では、皆がツナことをそう呼ぶ。私の家とお隣同士で、小さな頃からの幼馴染。
だから、私は誰よりもツナがどんな人か知ってるつもりだ。
皆が言うように、ダメツナなんかじゃなくて本当は…。
すごく優しくてかっこいいということも…。

「優しいツナが好きだよ!」
「分かったから、離れろって!」
「ツナのバカー」
「どうせ俺は馬鹿だよ」
「本気にしちゃ、嫌だよ!」
「お前の言ってる事、無茶苦茶だぞ!」

そんな他愛もないやり取りが続いていたとき、二階から誰かがツナの部屋に上がってくる足音がする。

「綱吉ー、また途中からサボったんだってねぇ」
「あ。奈々さんだ」
「やばい…」

ツナは、青い表情をするが、奈々さんはとても人妻とは思えないくらい可愛らしいツナのお母さんだ。私がいつツナの家に行っても、優しくて温かく迎えてくれるから私も大好き。
でも今は、どうやら学校を途中からサボってしまったツナと揉めてるみたいだけど…。
二人の間で暫く押し問答が続いていたが、痺れを切らしたように奈々さんは、ツナに一枚のチラシを差し出す。

「家庭教師!?」

予想していなかったのか、一気に嫌そうな表情へと変わったツナに対して、ポストにおもしろいチラシが入っていたと奈々さんは上機嫌だ。

「『お子様を次世代のニューリーダーに育てます。学年・教科は問わず リボーン』素敵でしょ?ねぇ、ちゃん!」
「なんか、カッコいいです!良かったね!ツナ!」
「何処がだよ!うさんくさいよ!」
「えー、そうかな?でも女の人だったら私は、嫌だなぁ」
「大丈夫よ!!きっと凄腕の青年実業家庭教師だから!」
「勝手にイメージつくんなよ!」

ツナが、「絶対に嫌だ!」と言い張った。その時だった。

「ちゃおっス」

私たちの足もとから聞こえてきた声に、私たち全員が反応して下を向く。

「俺は家庭教師のリボーン」

当然のようにそう言い放ち、まっすぐに立っていたのは…
なんと、黒い帽子とスーツを着こなした赤ん坊だった。

「か、可愛い!」

私がそう言う横では、ツナも奈々さんの笑う声が聞こえた。

「お前がツナか」
「悪いけどお前に教わる事なんてないよ!」

ツナが笑いながらリボーン君を帰そうとした瞬間、衝撃が走った。

ドシッ!

「うわっ」

ばっちりとツナの鳩尾にハマったリボーン君の蹴り。

「す、凄い」
「そんじゃー始めっか」

ツナ大丈夫かな?
気絶してるんじゃ・・・
私は、倒れたツナを起こそうと思ってツナへと近づいた。

「ツ、ツナ!」
「ん?」

わずかにピクリとリボーンくんの眉が動いたのも露知らずに、私は、懸命にユサユサとツナの体を揺さぶる。

「ツナ!起きてよ!大丈夫?!」
「お前…まさか」
「え?」

リボーン君は私の方をジッと見て、真剣な表情をみせる。
真っ直ぐなそのリボーン君の視線から逃れられず、体が硬直するのが分かった。

「何だったんだ…」
「あ。ツナ!」

ツナの声で、我に返り、良かったー!と私がツナに抱きつこうとしたその瞬間

クン

「ん?」

ブバン!

「つ、ツナー!」

またしても、ツナはリボーン君に投げられ、体が宙に浮いて床に叩きつけられた。

「俺の本当の仕事は、お前をマフィアのボスにすることだ」

リボーン君は、そう言って懐から銃を取り出した。

「はぁ!?マフィアのボスだって?」
「カッコいい…」
「おい!」
「ご、ごめん!つい!」
「俺は、お前を立派なマフィアのボスに教育するよう依頼された」
「ツ、ツナ?」

あまりにも突拍子もない話で、ちらりと私はツナの方を向くとツナは放心状態だった。

「やり方は俺に任されてる。一発撃っとくか?」

そう言うと、リボーン君はツナへと銃を向けた。

「なっ!」
「え!」
「でも今じゃない」

そういって銃をしまうと、リボーン君はお腹が空いたらしく、ツナの部屋を出ていった。
思わず、私たちに安堵の息が漏れる。

「マフィアのボスだって。ツナ」
「そんな馬鹿な話あるわけないだろ!」
「えーカッコいいのに!」
「絶対、嫌だ!」

それより飯を食いに行こう。とツナに誘われて、私はツナと一緒に階段を下りた。
そして、リビングに下りてくると…

「わっ!」

もぐもぐとおいしそうに奈々さんの手料理を食べるリボーン君の姿。
奈々さん曰く、ツナの成績が上がるまで住み込む契約になっているらしい。
大丈夫なのかな…?という心配を胸に抱えつつも、おそらく家に居たくないのであろうツナに誘われるがままに一緒に外へ出た。


「冗談じゃないよ!ってか何で外までついてくるんだよ!」

いつの間にか私たちに付いて来ていたリボーン君をツナが睨みつける。

「ツナが私をご飯に誘うなんて、久しぶりだったのにねー」
「え。そうだっけ?」
「そうだよ!」

そう、ツナに…。

「あれ、京子ちゃんだ」
「え!!」

ツナは私の口から出た名前にビクリと肩を震わせると、塀の所に急いで隠れた。
「もう…」
「?」

リボーン君が不思議そうに私とツナの様子を見上げている。
そう。ツナが私を誘ってくれなくなったのは、ツナに、好きな人が出来てからだ…。
気分が落ち込みそうになるのを振り払うように私は、ぶんぶんと首を振った後、笑顔で大きく手を振る。

「京子ちゃん!」
「あ!!」

私の声に反応して、京子ちゃんは笑顔で足早に近づいてくる。
京子ちゃんはとっても可愛いくて、優しい私の自慢のお友達だ。
だから…ツナが好きになる気持ちも、分からなくもないんだ。
私も京子ちゃんは大好きだから。

「きゃー、かわいいー!の弟君?」
「ううん。そういう訳じゃないんだけど…」
「ちゃおっス」
「どうしてスーツ着てるの?」
「マフィアだからな」
「わぁーかっこいいー!」
「だ、だよねー!」

京子ちゃんに話を合わせるように相槌を打つ。
マフィアだなんて言われても、私が見てもそう言うだろう。
だって、どう見ても子供の遊びだ。
まぁ、さっきまでの出来事を見ていなかったらの話だけど…。

「じゃあね、!」
「うん!また明日!」
「ちゃおちゃお」

リボーン君は愛らしい笑顔を見せながらそう言って手を振り、京子ちゃんと別れた。

「はぁー」

一気に神経が擦り減ったようにため息がでた。

「ツナ、あの女に惚れてんだろ」

リボーン君の言葉に、私はピクリと体が反応する。
塀に隠れていたツナが顔を出し、眉間にしわを寄せる。

「お前には関係ないだろ!」
「俺は読心術を習得している」
「え!うそ!」

私が驚いたように思わず声を出すと、にやりとリボーン君は笑う。

「本当だぞ」
「もういいから!俺の事はほっといてくれよ!」
「嫌だ」


ギギギギ

リボーン君は、ツナの腕を思いっきり捻った。

「いででで!ギブ!ギブ!!」
「だ、大丈夫?ツナ」
「告白したのか?」
「するわけないだろ!」

京子は学校のアイドルで自分なんて眼中にないので告白するだけ無駄だというツナ。
「そ、そんな事ないよ!」
?」
「あ!」

し、しまった。
ツナが自分を否定することばかり事いうものだから、思わずいつもの癖で反論してしまった。

「しかし、すげーな。その負け犬体質」
「ほっとけよ!」
「やっと俺の出番だな」
「ふぇ?」
「死ね」
「は!?」

リボーン君は、ツナに銃口を向ける。

「おもちゃ、だよね?」
「死ねば分かる」
「ぇええ!」

私とツナが止めるのを余所に、リボーン君は銃の引き金を引いた。

ズガン!

「ツナ?!!」

弾は見事にツナの額へと当たる。
バタッ!と、ツナが意識を無くして倒れたと思ったその瞬間…。

「復活!!」

「ぇえ?!」

突然、起き上がりそう叫ぶツナの声が町中に響き渡る。
それだけならまだいいのだけど、パンツ一枚は拙いと思う…。
それとツナの額に揺れる炎と、力強いツナの目。
普段と全然雰囲気の違うツナに、私は一気に不安が押し寄せる。

「俺は笹川京子に死ぬ気で告白する!」
「え…ぇええ!」
「笹川京子はどこだー!!」
「ちょっ、待って!ツナ?!」

しかし、そんな私の声などツナには届かない。
凄いスピードでツナは走っていってしまった。

「イッツ死ぬ気タイム」

リボーン君は楽しげな口調でそう言った。

「ツナ…」

なにがどうなってるのか全く頭が付いていかない。
そして、なにより、本当に久しぶりだったのにな…。
ツナがご飯に誘ってくれたの。
いつかその日がくるって分かっていたつもりだった。けど、あまりにも突然すぎて…。
だめだ。泣いてしまいそうだ。

「お前、だな」

リボーン君に涙を見せまいと、私は後ろを向いて静かにその場を立ち去ろうとしたが、背後からのリボーン君の声に足を止める。

「…え?」
「ツナの事が好きなんだろ?幼馴染なんだってな」
「うん。でも、好きじゃない…大好きだもの」
「そうか。空手やってるって聞いたが、見えねぇーな」
「ちょっと前に辞めたの。もともとお父さんから言われて護身用にやってただけだから」

一応、3段です。
あれ?でも、なんでリボーン君。そんな事、知ってるんだろう?

。お前、ファミリーに入らねぇか?」
「え?」

私はそこで、聞かされる事になった。
ボンゴレファミリーというマフィアの存在について…。


あとがき
以前、別サイトにて黒曜編まで完結していた連載のリメイク作品として、タイトルを変えリスタートとなりました。
大幅な流れは変えていませんが、加筆修正が加わっています。
はじめましての方、お久しぶりの方、改めてよろしくお願い致します!

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