STAR


藍色の空が広がる草原で、彼は一人そこにいた。
空にはまだらに雲が掛かって、星がところどころに輝いている。
さあっと音を立てて一陣の風が吹き抜けた。
服を髪を吹かれるままに揺らして、草の間に座り込み空を見上げる。
それはあまりに自然な姿で、一枚の絵のように辺りの風景に溶け込んで見えた。
やがて。
空の端から少しずつ雲が増えて空を覆いだすと、 パラパラと雨の粒が草原に降り注ぎ始めた。
それは強くもなく弱くもなく、静かに彼を濡らしてゆく。
それでも。彼は一心に空を見上げたまま動くことをしなかった。

ぱさり。

不意に何かを投げつけられて、彼はそこではじめて振り返った。
肩に引っかかっているそれを手に取り、自分のコートであることに気付く。
「風邪、ひくだろうが。」
不機嫌そうな顔で。そっけない声で。
でもそこにいるのは、彼の弟。
「そうだな。…ありがとう。」
わざわざもって来てくれたらしいコートに袖を通す。
まだ温かくはないけれど、それはとても優しい。
でも、彼はまだ座ったままだった。
「雨降ってる。帰んねーのかよ。」
焦れたような声。 それに、彼は再び空を見上げることで答えた。
「流れ星が、見たいんだ…。」
その言葉に、彼の弟も空を見上げる。
次第に雲が厚くなってゆく空は、彼の希望を叶えてくれそうにはなかった。
「無理だろ…。」
諦めて欲しくて。
小さく呟くと、彼はふと口元にかすかな笑みを浮かべた。
「うん。だから…星が流れないから、お前のことを考えてた。」
「…。」
ざあっと風に乗って、雨が強く吹きつける。
「覚えてるなんて、思わなかった。」
この場所を、と彼がポツリと呟いた。
一人になりたくて、誰にも伝えずにここへ来たのに。
ずっと昔。 まだ何も知らない子供だった頃。
何度も何度も、日が暮れるまで二人で遊んだこの場所へ。
「なんで、忘れてるなんて思うんだよ。」
「そうだな…。」
苦々しい弟の声を聞き、ははっと声にだして笑う。
彼らの中にあった互いへのわだかまりも、
未だすべて消えたとは言わないけれど、過去の話になりつつある今に。
懐かしい場所に、二人でいる。
「星なんて…」
躊躇うように紡がれた弟の言葉に、彼は耳を傾ける。
「いつだって、また見にくればいいだろうが。」
「ああ、雨がやんだらな…。」
ようやっと立ち上がって、彼は雨に濡れた頭を軽く左右に振った。
雨の雫がパラパラと離れてゆく。
「また…来ようか。」
「…ああ。」
一緒に、と誘う彼の言葉に弟はかすかに頷いた。
それを素直に嬉しいと思う。
この温かい気持ちは、きっと自分の胸だけに広がっているわけじゃない。
「ありがとう。…じゃあ、帰ろうか。」
一緒になって濡れてしまった弟を促して、彼はざくざくと草を踏み分け歩き始めた。
一度だけ振り返り空を仰ぐ。
厚い雲の向こう側、美しく尾を引く流れ星を。
自分達は、きっと見ることができるだろう。

いつか。





すみません。久しぶりがこんなので…。一応祐昴ですよ?(笑)
さっぱり意味不明ですが、雰囲気だけ感じ取ってもらえれば嬉しいです。
これは、べんべんというユニット(??)の「風吹く道」という曲がイメージです。
とてもいい歌なのですよ〜。でも、すっごいマイナーだし歌い手さんはプロですが、
べんべんとしてはインディーズだから聞く機会ってなかなかないかもしれません…
でも、しんみりしたのからふざけたのとか下品なのとか(笑)
いろいろ曲種が豊富で楽しいのです。
岡崎昌幸さんというと、分かる方もいらっしゃるかと。
炎ミラとか何かで歌ってましたよね。べんべん、お勧めなんだけどなあ。
で、最初はアポクリ(Jサヒ)のイメージだったので
それで書こうと思ったのですが、歌詞をよく見たら「東京」の文字が。
そんなの、気にすることもないと思うのですがならばせっかくだからとリヴァに変更。
その思惑は…ええと、失敗…でしょうか(泣笑)
でも仮にもリヴァサイトなんだから、
アポクリよりはリヴァのほうが需要があるよなあ思ったのでした。
少なくとも、食い倒れよりはな…(笑)


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