ふわっと広がって

とっても甘い








Sweet−kiss







憂鬱と言えばそうなるのかもしれない。
下の方に感じる鈍痛を気づかないフリして昂治は起き上がった。
今日は久しぶりの休日。
その所為もあり、

――自制ってもんがないのか…

内心ではいくらでも言える。
アコーディオンカーテンを夜過ぎ開けるようになったのは
いつからだろう。
微かに覗くカーテンの隙間から星を見るようになったのは?
ベットの軋みに恥ずかしさを覚えたのは?
いつからこんなに――と考え込んでしまう項目は多々ある。
ベットに腰掛、自分の姿を再確認した。
パジャマは着乱れなく、清潔感あるシャボンの香りがする。

――…俺、パジャマ着替えたっけ?

記憶を辿れば、自分の痴態がまざまざと浮かぶ。
そして着替えさせてくれたのは祐希であると解ると、
何とも言えない恥ずかしさと嬉しさが混ざって顔が真っ赤になった。
頬を手で押さえ、熱が引くのを待つ。

「今は…」

時間は朝の8時過ぎ。
母親のいない休日であっても、朝食はしっかり摂らないと
体によくない。それに自分はあまり体力がないのだ。

――朝食の支度をして、その前に祐希を起こさないとな…

立ち上がって筋肉を解すと、すぐに歩き出す。
アコーディオンカーテンを開ければ、
相変わらず散らかった部屋に入った。
ベットにくるまっている弟の姿は猫を彷彿させる。
布団から覗いているのは長めの髪と片足だけだ。
その塊に昂治は近づく。

「おい、朝だぞ。」

反応なし。

「起きろって!」

揺さぶってみる。

「……」

反応なし。

「起きろっ!」

布団を引っ張った。
祐希の体はベットの上で回転して、
それでもキレイにベットに着地。何の害もなく、眠ったままだ。
進展と云えば、相手の寝顔が見れるようになっただけだ。

「起きろっ……っ…、」

ズンっと重い痛みがはしり、へなへなと昂治は座りこむ。
痛みの原因を睨んでみるが起きる気配はなかった。

「…起きろよ…」

呟いて、昂治はベットにコテンと頭を乗せた。
小さな寝息をたてて眠る弟を見る。

――カワイイ顔してるな…あいかわらず…

カワイイと言うよりキレイと云った方がいいだろうか。
こうやって寝顔を見るのは久しぶりだった。
朝起きて、抱きあったの嘘に思え寂しさを覚える。
だから一回だけ、意を決して傍にいて欲しいと云ったのは
遠い昔のように思える。

――あの時は血迷ったな…

寂しさはなかったが、起きた早々
もう誰にも言えない世界が繰り広げられたのは言うまでもない。
だから今は事が終わった後、
少しじゃれあって祐希には部屋に戻ってもらっているのだ。
ホントはずっといて欲しいのだが。
長年培ったこの性格と理性がそれを抑制した。

「祐希…」

呟く声が思ったより熱っぽくて昂治は顔を赤くする。
顔を上げて、祐希の頬に触れた。
そして軽くペチペチと叩く。

「朝だぞ、起きろよ。」

目がピクっと動くが起きる気配は全くない。

「ん……」

少し呻いて覗く舌が赤くちらついた。
昂治の心臓を跳ね上がらすのに十分なほど赤く艶やかで。

――何かキスしたいかも

思った事に昂治は真っ赤になった。

「……」

顔を真っ赤にさせながら昂治は周りを見渡す。
一つ深呼吸をして、そっと頬にキスをした。
した後すこし相手を眺め、小さな息を零す。

「…そういうのは口にするもんだぜ、」

「そんなの恥ずかしいだろ、それに寝てるんだし。」

「キスはキスだろ?」

「そうだけど……って、うわぁあああーーー!!!」

驚く昂治の頭を掴んだは祐希だ。
そのまま昂治を引き、自分の体に倒れこませる。

「な、なーーー!!起きてたのか!!」

「いま起きた、」

「だったら…っ!!」

抱き込まれ、わたわたしている昂治に祐希は笑み浮かべる。
その笑みを、何とか起き上がった昂治が見た。
そこには二度と見れないだろうと思っていた笑顔がある。
つられるように微笑んだ昂治に祐希は揶揄うような笑みになった。

「口にしろよ、」

「口にって、何言ってんだっ」

叱るような昂治の口調。
起き上がっている昂治の頭を撫でる仕草は優しい。
いつもなら無愛想で不機嫌そうな顔をする祐希だが、
こういう時にはここぞと優しげな顔になる。
それがズルイと昂治は切実に思った。

「兄貴?」

「…一回だけだぞ、」

仕方ないと言った声色なのだが、開いている瞳は
微かに情欲に濡れていた。
目を瞑り、ゆっくりと昂治の唇が祐希に近づく。
それを眺め、祐希は相手の髪をすくように撫でた。

やわらかい感触。

「ん…んぅ…」

声が漏れる。
離れようとする頭を押さえながら、
祐希が口腔に舌を入れてきた。
歯列をなぞり、口内をくすぐって――

「ふぅ…ん…」

舌が絡む。
しっとりとした感覚は何か甘い味を覚えさせた。
昂治の体を抱きしめ、角度を変える。
口腔を犯す舌に目をぎゅっと瞑らせながらも昂治は応えた。

ツゥ……ッ

そんな感じに唾液の糸を引きながら唇が離れた。
見た先には怒るモノでなく、トロンとした表情の昂治がいる。
頬に祐希がキスすると、昂治は真っ赤になりつつも
祐希を見つめた。

「兄貴って案外エッチだな、」

「そんな事ないぞ!」

「顔真っ赤だぜ?」

「それは祐希だからだろっ!」

その言葉に祐希は目をパチパチさせた。
そして少し目を伏せる。
祐希の頬が微かに赤い。

「…?」

首を傾げる昂治を祐希は抱き寄せた。
互いのぬくもりがじんわりと伝わる。

「祐希?」

「……」

こう抱きしめられるとトロンとしてくる。
昂治は祐希から伝わる鼓動に耳を寄せた。
驚くほど早い鼓動に少し笑みが浮かぶ。

――これが幸せってものかな…

ふっと昂治はそんな事を思った。













それはびっくりするほど

甘くて

ボクにしみこんでいく

キミのキスとボクの鼓動
















書き逃げ〜




††御礼††
もう鼻血噴出っス!!!!
地球の二分の一は
ワシの鼻血で染まることでしょう!!
(ギ○スに載るな・笑)
うぎゃ〜vv祐希がもう、めちょカッコイ〜!!
・・・vv
すぶたさん本当にありがとうございますv(^^)

FROM 八甲田吹雪
祐昴だvv あまあまだぁっvvv
あんな妙に抽象的且つ限定的な
リクエストでこんなに素敵な小説をくださって
ありがとうございます!
誰もいないのに辺りを見渡したり、
起きてるのに「寝てるんだし」と
言ってしまう昴治がダイスキデス!
すぶたさま、ありがとうございました!
FROM 望月シオン
 



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