こころ;自分の中の宇宙
「お兄ちゃんの事、愛しちゃってんだねぇ」
リフト艦に配属されたイクミと祐希。
他のメンバーが居ないのを見計らってか、イクミが操縦席に座る祐希の傍に立った。
社交的だが積極的ではないイクミにしては珍しい。
「馬鹿かっ!てめぇは。何、見てやがる。俺はアイツを」
「憎んでる?」
イクミの代弁に一瞬詰まると、祐希はイクミを睨みつけた。
「憎むっていうのは労力いるよね」
どこ吹く風でイクミは操縦席に背を預けると、ドアの方を見ながら呟いた。
意味が分らなくて祐希はイクミを伺ったが、反対側を向いてしまったイクミの表情は掴めない。
分るのは顔を少し伏せていることだけ。
「嫌いな相手なら考えなきゃいい。忘れてしまえばいい、だけど」
イクミの顔が上げられる。
「憎む相手は考えずにはいられない」
イクミは顔だけ祐希に向けた。真剣な眼差しに祐希は目を眇めると顔を背けた。
「だ・か・ら!祐希君はお兄ちゃんの事、四六時中考えちゃってるわけだ」
とたん、いつもの調子に戻ったイクミに祐希は体ごと向き直った。
「てめぇ」
「それは!愛してる、と、一緒のこ・と◆」
指まで立てた力説に、祐希は拳で答える。
頬を撫でながら、イクミは怒り顕な後姿を見送る。
「素直じゃないねぇ・・。ま、自分の気持ちは解り難いものだけど」
イクミは口元に笑みをしいて祐希の操縦席に手をかけた。
「同じ弟として、一応示唆はしてやったから、ソレを認めるか否定するかは己の力量よ。
この先は、遠慮、しないから」
イクミは自分のIDカードを取り出すと、今はまだ友人にお昼の約束を取り付けた。
こころ;他人の中の不思議
再乗船しリフト艦で再び顔を合わせることになったイクミと祐希。
「逃した魚は大きかったなぁ」
軽い口調とは裏腹に、イクミの表情は寂しい。
「まだだ!俺は諦めないぜ」
祐希はゴンと操縦席を殴ると、そこから飛び降りた。
「俺は認めねぇ。ブルーとなんて絶対に!だ」
そう言って祐希はリフト艦を後にする。昴治を探しに行くんだろう。
「素直になったもんだなぁ」
自分達が暴走していた時間、昴治とブルーの間に存在する空気を育んだ時間。
それはもう取り戻せない、やり直せない。
「認めちゃえよ、お前も。・・昴治の為に、諦めろ」
二人を認められない子供な祐希と諦めようとする臆病な己。
正しいのは?
振り仰いだ先にメタリックピンクが映った。
自分をぶつけるしか出来ない祐希と昴治の為と偽る自分。
イクミは自嘲笑みを浮かべると、瞳を閉ざした。
最後に手に入れるのは誰?
ブルーと昴治の仲が良いのは"事実"。
でも、昴治の本心は?
では、昴治の"真実"は?
"真実"は訊かなきゃ解らない。
こころは言葉にしてカタチを成す。
祐希! 素直じゃないねvくすv
でも、やっぱりそこが祐希なんでしょうねv
読んでいて思ったのですが
イクミ!キミいいやつだよ! 二人のためにそこまで出来るやつはいないよ! …でも、やっぱり報われないのがイクミ(笑
FROM 八甲田吹雪
| ††御礼†† | かっこいいです!全体の雰囲気が…! 互いに牽制しあう二人に本気を感じました。 やはり昴治の存在は大きいのねv
…と一人にんまりですvv 七月竜さま、ありがとうございました!
FROM 望月シオン |
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