それぞれの関係 夫の場合 1P
隣で編物しているこの子
一応、僕のガールフレンド
でもね、ガールフレンドであって、恋人ではないわけ
早い話セフレといった方がいいかな?
でも、それじゃぁ、あまりにもストレートでムードも無いから、だからガールフレンドって言うのさ
そして、ここは彼女の部屋
僕達はこうして時々連絡を取り合って彼女の部屋で会っている
そして、食事してSEXして僕は自宅へ帰って行くんだ
そんな関係なんだ
「ねぇ、ねぇ、山田君、ちょっと背中こっち向けて」
「ん?何?」
「ええっと・・・うん、丁度いい感じ。もうすぐ出来るからね。待っててね」
何?何が待っててね?だって
もしかして・・・この編物・・・僕へのセーターを編んでるの?
えー?!そんなの僕頼んでないんだけど!!
「ねぇ、ちょっともしかして、これって僕のセーター編んでるの?」
「うふふ。内緒にしておこうと思ったんだけど我慢出来なくなっちゃった♪」
「そんなー。困るよー。こんなの貰っても僕着れないよぉー」
「どしてよ?!」
どうしてって・・・彼女忘れてるのか?
付き合う前に、約束したよなぁ〜
僕には奥さんがいるし、君とはドライに大人の関係で付き合いたいって・・・
そしたら、この子も「わかったわ。もちろん私もそうよ」って返事したよなぁ〜
それが、今じゃなんだこれ?
僕へのセーター?なんなんだこの恋人きどり?!
「あのね、僕達の関係では、そーゆー約束してなかったハズだけど?」
「・・・・・・・」
「こんなの貰って僕どうすればいいのさ?着る事なんて出来ないよ。自宅にはもちろん持って帰れ ないしさ、ここで君と会う時だけ着るわけ?そんなのバカらしいよ」
「・・・・・・・」
「僕達は恋人じゃないんだよ?わかる?僕は結婚していて、ちゃんと妻がいるんだ。君だってそれを わかっていて誘ってきたんだろ?君があまりにも口説くもんだから僕も誘いに乗っちゃたけど・・・
その時に約束しただろう?お互い割り切った付き合いにしようって・・・
君だって“私も一人に人に縛られたくないけど、体が寂しいから相手になって欲しいの”って、そう言 ってたじゃないか。それなのに、このセーターは何?どーゆー訳?」
「う・・グス・・・グスン・・・」
わわわ!泣き出しちゃったよぉ〜
も〜まいったなぁ〜。すぐ泣く女は卑怯だよぉ〜
こういう状況で「はいサヨナラ」って部屋を出る程、僕は非道になれなないしなぁ〜
なにより・・・彼女とは同じ会社なんだよ・・・
部署こそは違うけど・・・あまり波風立てたくないんだよね・・・
「うう・・・確かに・・・確かに最初そう言った私だけど・・・グズン・・・でも、でも・・・
あなたをどーしても好きで・・愛してて・・・それで・・・グスン・・・それであなたを手に入れたくって・・・」
んん!!なーんか雲行きが怪しい展開になってきたぞぉ・・・
「あなたにどーしても愛されたくって!私嘘を言ってあなたを誘ったのぉおおお!!
わぁああああん!!」
ぎゃーーー!!そんなぁーーー!!
ちょっと待ってよぉ!僕、そんな気全然無いよぉー!
悪いけど、君の事は愛してない!
愛してるのは僕の妻だけだ!!
君には性的な魅力しか感じてない!
そう、体だけなんだ!心なんていらないんだ!
君の心はいらない!だから君も僕の心は必要としないでくれ!!
そう、僕の心は叫んだんだけど・・・それをまた言えない僕
セーターを抱きかかえたままワンワン泣く彼女を見ながら途方にくれるしかない
無言の僕
セーターを抱いて泣く彼女
そんな彼女を見ていたら、段々と僕はうっとしさを感じてきた
面倒くさいな〜
もう、こんな関係やめちゃおうっと
これ以上泥沼化するのは嫌だな
・・・そう、いつかは別れなきゃいけない関係なんだ
今日、今が別れ時かもしんない
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