3 朝食後の小休止



 結局、私達が起きて活動を開始したのは10時を過ぎていた。




 シャワーを浴びた後、冷蔵庫の中にあった食料で適当に朝食を作る。




 オムレツと、サラダ。


 それから、パン。





 ゆっくり朝食を済ませて、私達はクラシックのCDをかけながらコーヒーを飲んだ。



「晴れて来たね」


 今日の予報は曇り。だけど空は青い。






「折角だし、どこか出かけようか?」



「そうね。ちょっとお散歩して、遊びたい」



「久しぶりに映画を見たいな」



「それ、いいね。今どんな映画やってたかしら?」




 のんびりコーヒーを飲みながら、
私達はとりあえず午後新宿に出て映画を見るなりして遊ぶことを決めた。







 それから、お互いの近況を話し始めた。




 半同棲生活を送ってはいるものの、最近はお互い忙しくてゆっくり話をする時間もなかった。




「ついこの間、咲穂に会ったのよ」


「咲穂?」


「水嶋咲穂よ。私の同級生の。サークルにいたじゃない」


「あぁ・・・」




 咲穂はサークルの同級生の中でも結構仲良くしていた方だと思う。


 でも咲穂は就職して忙しくなり、私は私で院に進学して忙しくしていたから、
時折メールをするくらいになってしまっていた。




「咲穂は出版社に就職したんだけど、最近小さなページを任されるようになったんですって。
張り切ってたわ。今度またゆっくり話そうって約束したの」



「そう。最近サークルのメンバーに全然会ってないな」


「そうね。そう言えば咲穂、直貴のこと話してたよ。まだ付き合ってるのかって」



 苦笑しながら報告すると、直貴は憮然とした表情を見せた。



「何だそりゃ。俺達は別れてるって思ってたわけ?」


「そう言うわけではないけれども、すごいラブラブだったよねって言われた」





 付き合い始めたばかりの頃、直貴は今では想像がつかないくらい過保護で、
色々なことにうるさかったような気がする。



 私の言葉を聞き、直貴も苦笑した。


「そう言えば昔は独占欲丸出しで付き合ってたな」


「どうして?」


「どうしてって・・・有梨を独占したかったからだよ」






 直貴が嘘偽りなく本心を話すから、恥ずかしくなってしまった。






「直貴って本当にストレートよね」


「そう言う有梨はなかなかストレートに表現してくれないよね」


「だって恥ずかしいじゃない・・・」





 直貴のストレートさは見習わなければと思うけれども、でも恥ずかしくてできない。






 「じゃあ私食器を片付けるわ」



 飲み終わったコーヒーカップを持って、私は立ち上がった。


「あからさまにこの話題を避けたね」


 直貴はそう言って苦笑した。





 あからさまと言われても、他に方法を思い付かなかったのだから仕方ない。




「もう休憩はおしまい! いい加減活動しないと」




 私の強引な話の進め方に苦笑しつつ、直貴も自分の食器を持って立ち上がった。




 1日はまだ、始まったばかりだ。




2005.2.21




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