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早朝の戯れ
今日は直貴の休み。
卒論とかで忙しい中、この日はたまたま私も休み。
寝室に置かれたダブルベッドに、今私達は身を横たえている。
ほんの5分くらい前に、直貴がセットしたらしい目覚まし時計が鳴ったばかりだ。
なのに、当の直貴は全く目を覚ます気配がない。
「直貴。目覚まし鳴ったよー?」
私は直貴を揺さぶった。
直貴は低血圧だ。
それは本人もよくわかっていて、
改善すべく様々な試みをしていることは知っている。
それでもなかなか改善が見られないのはどうしてだろうか?
こうやって見ていると、直貴の寝顔は可愛らしいと思う。
26歳になったのに髭は薄いし肌もそんなに荒れてはいない。
「いいなぁ・・・すべすべ」
その頬に手を当てて、私は呟いた。
その手を離し、ぼんやりと直貴を観察していると、
突然手が私の後頭部に当てられ、引き寄せられると同時に唇を塞がれた。
「んっ・・・」
朝からこんなに熱烈にキスされるなんて滅多にないことだ。
「おはよ、有梨」
唇を離し直貴は何でもないことのように言う。
私は恥ずかしくてうつむくしかない。
「有梨は恥ずかしがりやだね」
直貴は苦笑した。
「そう言う直貴はなかなか積極的ね」
「そうかな? 最近お互い忙しくてすれ違い気味で、
キスとかしてなかったなーって思ったからしただけ」
直貴は昨日は日勤で、私のアパートに帰ってきたのは12時を回っていた。
私は私で昨日は家庭教師のアルバイトがあって帰宅は12時近かったから、
昨日の夜は疲れて2人してさっさと眠ってしまったのだった。
「それにしてもどうしてこんなに朝早くから目覚まし鳴らしてるの?」
私の疑問に答える代わりに直貴はもう一度私にキスをした。
「たまにはこうやってじゃれるのもいいかなぁと思って」
そう言った途端、直貴は私の腰の辺りをくすぐった。
「ひゃっ・・・! ちょっと直貴! くすぐらないでよ」
最初はただくすぐるだけだったのに、段々愛撫に近いものになっていく。
「直貴っ・・・!」
唇を塞がれ体中を愛撫されていく。
早朝の明るさの中で、私は久しぶりに直貴に愛された。
「こんな朝から・・・恥ずかしいわ。夜ならともかく・・・」
私の抗議もどこ吹く風、と言う感じで、直貴は笑って私に覆いかぶさった。
「・・・重い」
「たまにはいいじゃない。でも疲れたな。寝ようか」
直貴は私の身体を拘束したままベッドに体を投げ出す。
「・・・このまま・・・?」
服も着ていない素っ裸の状態で寝るなんて恐ろしい。
でも直貴はもう何も言わなかった。
あっという間に、眠りについてしまったらしい。
私も諦めて、もう一度眠ったのだった。
2005.2.20