1 朝焼けまで、あと一時間






普段は目覚まし時計が鳴るまで目を覚ますことがないのに、
今日は珍しく、まだ薄暗い時間に目が覚めた。







お腹が痛い。



下腹部と腰に、特有の痛みを感じる。












枕元の目覚まし時計は、午前5時21分を指していた。






私を抱き寄せたまま眠る直貴を起こさないように起き上がる方法を考えるけど、
それはかなり厳しい問題だった。








でも仕方ない、と起き上がると、案の定、直貴は目を覚ましてしまった。



「・・・有梨・・・?」


「起こしてしまってゴメンなさい」



私は直貴の頬にそっと触れた。




「今、何時・・・?」


「まだ5時半よ。だから、直貴はまだ寝ていて」






そう言ってベッドから降りた途端に鈍いながらも痛みが襲って来て、
私はお腹を抱えるようにしてしゃがみこんだ。





「有梨」



直貴の慌てたような声がして、直貴は私の前にしゃがみこんだ。



「お腹?」




そう言って直貴は指を折りながらしばらく思案した。




「生理痛だね?」


「うん・・・」





直貴は私を起こして、お腹にそっと手をやった。





こう言う時、直貴の対応は素早い。





さすが医学部卒。



専門外のことでも、迅速に対応するのはさすがだ。



「ベッドに入って温まった方がいいよ」



直貴の言う通り、もう一度ベッドに戻ると、
直貴に後ろから抱きしめられるような体制になった。


お腹に当てられた直貴の手が、温かくて気持ちいい。





直貴は私の下着の中に手を入れて、私の下腹部に直接手を当てた。





直貴の手の熱が、私の下腹部へと移されて行く。



「体中冷え切ってるなぁ」




直貴の足が私の足に触れた。


直貴の足の方が、全然温かい。



「仕方ないでしょ。冷え性だもの」


「そうだね。今日は、温かくして行きなよ。冷え込むらしいから」





体が温かくなってきたら眠くなってきた。





「後で有梨の大好きな、温かいココアを入れてあげるよ」



直貴の低い声が心地よく耳に響く。



「ありがと」







愛しい人の腕の中でうとうととまどろむ、午前5時半。





朝焼けまで、あと1時間。










2005.2.19



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