「やめろ…っ」
だが、ホープは無言のまま愛撫を続ける。このままではあの夜のようになってしまう。いや、ホープはもっと先に進むつもりだ。
「いつかは」そう思ったことが脳裏によぎった。いつかは、ホープに抱かれてしまう自分が。でも、それが今こんな緊急事態の時、狭いエレベータの中?
ライトニングはなんとか抗おうとした。しかしその時にはもう、ホープの指はライトニングの熱い中心をなぶっていた。
「こんな…ところで…」
初めてなのにと言いたかったが、なけなしのライトニングの自尊心がそれ以上言わせなかった。ライトニングの体は意思とうらはらに熱く燃えていくばかりだった。漏れそうになる吐息をこらえていると、狭い室内に無言のホープの吐息と淫らな体液の音が響いた。それだけでライトニングは恥辱で気を失いそうになった。
ホープの体勢が変わった、と感じたそのすぐ後、中心に熱く固いものが押し当てられた。ライトニングはまだそれがなにを意味するのかわからなかった。だが、次の瞬間、自分の中に押し入る異物に悲鳴を漏らした。
「う…っ」
ホープはいつのまにこんなに力強くなったのだろう。痛みのあまり反射的にホープを押しのけようとするのに、委細かまわずホープの腰はライトニングを突き立てる。何度も何度も。
ホープは初めてではない。慣れている。こんな時なのにライトニングはそのことに気づかされ、そしてそのことで傷つく自分を感じた。まだ幼い、子供のようだと思っていたのに。こんなことに興味や関心など薄い少年だと思っていたのに。
「できるだけ…早く終わらせますから…」
ホープの乱れた声もライトニングは切なかった。最後だからとホープは言った。ならば、その想いを受け入れて自分の想いを押し殺そう。ライトニングは痛みの声を必死でとどめた。
結局時間はさほどにはかからなかったのだろう。先にエレベータから降りていたファングが
「遅いぞ-!!」
とは言った。だが二人がなにをしていたのか、急いで身支度を整えただけなのにファングは気づく様子がなかった。いや、本当は気づいていたのかもしれない。気づかないふりをしてくれたのかもしれない。ホープの想いはルシ仲間にはとっくに知れ渡っていたのだから。知らないのはライトニングだけだった。
ライトニングは数分前の痛みと熱さを振り払うかのようにオーディンにまたがい、町の喧噪を突っ走っていった。
「最後だから」と言ったくせに、その後もホープはライトニングを求めた。
「案外二人きりになれる時間ってあるもんですね」
そんなふうに言うが、二人きりになれるのではなく、強引にそう持っていってるだけだろとライトニングは心で舌打ちをしたくなる。
<続きます>