小説

ここは、小説投稿していただいた小説をおくところです。
光(FF6ロクティナ)
○光
 
−ずっと、ずっと、夢を見ていたの。
 
−どんな夢だったのかはほとんど覚えていないけど、
 
 悲しかった様な、辛かった様な、痛かったような、そんな夢だった気がする。
 
−もう見たくなかった、目を覚ましたかった。
 
−でも、私であって私じゃない体は動かなくて、目を開けられなかった。
 
−・・・心の中で、必死に「誰か」を呼んでいた。
 
 
 
 
 
 
 
 
飛行艇ブラックジャック
 
まだ乗りなれていないせいか、その乗り物は不思議な感じだった。
それでも少しも嫌だと思わない、むしろ心地よく感じる。
 
(ここは、空も風も近いから・・・)
 
風に揺れる自分の碧色の髪を手にからめながら、ティナは甲板の壁に背中を預ける。
視線の先は、下の部屋に続く階段。
こっちに近づいてくる気配を感じたからだ。
もちろん、誰かも分かっている。
 
上がってきた相手は、ティナがこちらを見ている事に驚いたようだ。
 
「ここにいたんだ、ティナ」
 
そういいながら近寄ってくる彼を見て、軽く苦笑した。
 
「・・・俺、なんかおかしい?」
 
「ううん、違うの。やっぱりロックだったと思って」
 
「上がってくるのが最初から俺だって分かってた?」
 
「ロックの気配はね、よく分かるの。
 なんてゆうか、優しいけど、でも誰よりも強い気配だから。
 きっと、どこにいても分かるわ」
 
ロックは胸中で、なんだかプロポーズみたいだと思いつつ、船の壁にティナ同様背中を預けた。
心地よい風を感じる。
少し後ろを振り返れば最高の景色も味わえるだろう。
ティナも同じ事を考えているのか、優しい瞳で空を見つめている。
 
「・・・あのさ」
 
少しの沈黙を破って、ロックから声をかける。−−邪魔しちゃ悪いかなと思いつつ
しかしティナはそんな事は表情に出さない。
そのまま、優しい瞳のまま、視線をロックに移してくれた。
 
「何?」
 
素直にそう返されて、ロックは次に言おうとした言葉をためらう。
 
「ロック?」
 
ティナも彼のそんな気持ちが読めたのか、もう一度呼びかける。
その呼びかけに促されるように、やはり少し躊躇しながら続きを言う。
 
「・・・もうどこにも行ったりしない、よな?」
 
「えっ・・・」
 
一瞬ドキッとした。
ロックは壁から背を離し、そのままティナの正面に立つ。
 
「もう俺の前から消えたりしないよな?
 俺を、・・・俺達を置いて一人でどこかに行ったりしないよな?」
 
「ロック・・・」
 
「俺は大切な誰かがいなくなるのはもう嫌なんだ!」
 
自分の目を見つめて叫ぶロックの顔を、ティナはしっかりと見た。
怒っているのではない。むしろ、彼は悲しんでいるのだ。
 
「レイチェルは守れなかった。今回だってセリスが俺達をかばって・・・。
 だから、俺は・・・!!」
 
そこまで叫んで、ふいに手に温かみを感じた。
自分の手を見ると、そこにティナの両手が重なっている。
そのまま、ティナは手を胸の高さまで持ってきた。
 
「・・・呼んでくれたでしょう?」
 
「ティナ?」
 
「私ね、幻獣の姿で眠っている時たくさんの夢を見たの。
 内容はあまり覚えてないけど、全部悲しい夢だった。
 不安や恐怖に押しつぶされて死にそうだった。
 でもね、お父さんとロックがそこから助けてくれたのよ」
 
「俺が・・・?」
 
ティナはうなづいた。
 
「怖い夢を包んだのは、お父さんとロックの優しい呼び声」
 
「ティナ」
 
手を握ったまま、ティナはにっこりと微笑む。
 
「私はどこにも行ったりしないわ。
 ロックが、皆が、大好きだから。
 そして、レイチェルさんもセリスも皆、助けてあげるの」
 
「・・・うん」
 
 
「「ありがとう」」
 
 
言葉がちょうど重なって、一瞬視線が混じった後、二人は同時に吹きだした。
やらなきゃいけない事はいろいろあるけど、今はこの小さな一時が嬉しい。
 
 
 
 
 
 
 
「あのね」
 
しばらく笑った後、また最初の体勢−−壁に背を預けた体勢−−で二人は立っていた。
正し、さっきとちがうのは片手はつないだままという事だった。
 
「一つだけ、はっきりと覚えてる夢があるの」
 
「どんな夢?」
 
すぐには答えは返ってこなかった。
代わりに握られている手の力が強くなった気がする。
 
「・・・私ね、一人だったの。一人で暗い所にいたの。
 自分の事も皆の事も何にも覚えてなくて、ただ暗くて何もない所にいた。
 一つだけ、目の前に小さな光があるんだけど、足が動かないの。
 夢の中の私はすごく泣いてたわ。光の方に手を伸ばして、でも届かなくて・・・」
 
ティナは決して、ロックの方を見なかった。
ただ、目の前の空間をぼんやりと見つめながら語る。
 
「いっそ光なんかなければいいのに・・・って思った。
 自由になりたなかった。光という救いが欲しかった。"誰か"に会いたかった。
 ずっとずっと呼んでたの、"誰か"を」
 
「夢の中のティナは、救われたのか?」
 
「・・・憶えてない。
 光にたどりつけたのか、そのままそこにいたのか、今は全然思い出せないわ。
 だけど、たぶん光にはたどりつけたんだと思う。だって・・・」
 
そこまで言って、ティナは言葉を止める。
下から声が聞こえたのだ。
聞こえにくいが、この船と共に紹介されたばかりのセッツァーの声の様に聞こえる。
彼の声は一つの名前を連呼していた。
 
「ロックの事、呼んでるみたいよ。行ってあげた方がいいわ」
 
「でも・・・」
 
まだ話の途中だったのが気がかりで、ロックはそこを動けなかった。
 
「私の事はいいから。行ってあげて」
 
ティナにそう言われ、しぶしぶロックは立ち上がる。
繋がれたままの手をそっと離す。
 
「じゃあ、ごめん」
 
階段の所へ駆け出す。
次第に下から聞こえる声も大きくなってきている。
 
「ロックー!!」
 
「今行く!」
 
大声で返し、階段を下りて消えていくロックをティナはずっと見ていた。
−−が、一回消えた後、ロックはまた身体を半分だけ戻してきた。
 
「ティナ!」
 
ティナは返事はせずに視線で先を促した。
 
「俺達はずっとここにいるから!だからティナもずっと一緒にいような!
 ティナは一人じゃないから!皆いるから!約束だからな!」
 
それだけ言うと、ロックは今度こそ本当に下に下りて行った。
 
 
ロックの姿が見えなくなると、ティナはさっきまでロックと繋いでいた左手を見つめる。
まだ、ぬくもりが残っていた。
 
 
「きっと、光にはたどり着けたよ。だって・・・」
 
 
"ティナは一人じゃないから!"
 
さっきのロックの言葉を思い出す。
優しくて強い彼の気配はもう近くに感じない。
それでも、言葉にこめられている彼の気持ちは心に残っている。
 
「だって、目を開けたらあなたがいたから・・・」
 
"彼"という光に導いてくれたのは、他ならぬ彼自信。
 
「ね、お父さん・・・」
 
ティナは胸元に光る紅い石に、その左手を当て、一人つぶやいた。
 
SUMMER COLORと言うサイト様でキリリクしてもらった小説ですv(すいません日本語ヘンです)
BY    蜜柑様
〜コメント〜
lemon様からのリクです。
ロックとティナの心情をうまく書けたらなーと思ったのですが、
意味わかんないかも・・・。スイマセンです。
 
更新日時:
2003/10/04

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Last updated: 2003/10/17

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