「シャンクス・・・・あれ?」

船長室を訪れたは珍しい出来事に一瞬戸惑った。
や他の船員達にはあまり理解できない・・・
シャンクスお気に入りの置物や怪しげな骨董品に埋まる一角の
机と椅子は自分が読書をする場所。

シャンクスはそこに頬杖をついたまま眠っていた。

無理も無い。
5日前からの嵐と、嵐の中なら万が一・・と意気込む海賊の相手で
シャンクスは一睡もしていなかった。
他の船員には順番に、ある程度の休息は取らせていた。
何か面倒な事になれば海水ぶっかけてでも起こすさと笑いながら。

「なんだか久しぶりに寝顔みた気がする・・・」

しゃがみこんで三本傷にかかる赤い髪の隙間に光るいつもは研ぎ澄まされたような瞳も
今は閉じられたまま幾分彼を取り巻く雰囲気は穏やかだった。

は机にそっとラム酒を置きどうしようかと思案した。
このまま部屋に置き去りにするのもためらわれる。

かといって彼をベットまで連れて行けば必ず起きるし、
その後はまできっと寝かせてもらえないはめになる。

はシャンクスの肩に毛布をかけ
自分はシャンクスの足元に座りそっと彼の膝の上に頭を置いた。

「・・・・あったかい・・・・」

やはりこの嵐でも疲れていた。

シャンクスの傍とゆう安心感は一気に睡魔をもたらした。







膝の上が暖かい・・。
シャンクスは自分が眠っていた事に気がつき目を開けると驚愕した。
自分の膝に頬を寄せしゃがみこんだまま眠っているが居た。

「・・・・まいった・・・」

いくら疲れていたとはいえまったく気がつかなかった自分の失態に苦笑する。
自分はの気配によほど安心して慣れて居るのだろうか。

「・・・膝枕はするよりされる方が好きなんだがな・・。」
まぁたまには悪くない・・。

呟き自分の肩にかかっていた毛布をの肩にかけると
シャンクスは再び目を閉じた。














「お頭、これからの航路のことだが・・・」

ベックマンが控えめなノックの後返事が無い事に眉をひそめながらドアを開け
目の前の光景に苦笑する。
起こさないように気配を殺し海図を机に置いて立ち去ろうとしたが
の頬にかかった髪がなんとなく気になった。
払ってやろうとそっと指先を伸ばした瞬間
背筋がひんやりするような気配に襲われる。
ベックマンは軽くため息をついた。

「起きているのなら返事くらいしてくれ」
「今起きたんだ」

シャンクスは口の端を軽く持ち上げ片手で器用にラムのボトルを開ける。

「海図を置いておくからその航路のうちの一つを決めておいてくれ」
「ああ。」

ベックマンは用件はそれだけだと短く言うと
部屋を立ち去ろうとドアに手をかけた。




「奪えるなら奪ってもかまわないぜ?・・・海賊だからな」




一瞬手を止めたベックマンは何度目かのため息をつく。

「アンタのモノでなければとっくにそうしてるさ」

ドアを閉める前にベックも口の端を持ち上げ呟く。










「海賊だからな」









ドアの隙間からシャンクスの押し殺した笑い声と
の髪を柔らかく撫でる右腕が見えた。











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